表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~  作者: やきいもほくほく
二章 不安

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/71

17.ジャネットside⑤


今まで自分が持っていなかったものを手に入れた事で、気分はこれ以上ないくらいに高揚していた。


正式に婚約手続きが済んでからニルセーナ伯爵家にフレデリックと共に訪れる事となった。

馬車で移動している時に、彼は俯いて何か考えているようだった。


伯爵家というのが不満ではあるが、今までウェンディが得ていた幸せは全て自分のものになると思うと心が躍った。


(……ふふっ、わたくしがウェンディより幸せになるのは当然だもの)


だから損をしないように、本当はフレデリックと愛し合っていたのは自分だという事にした。

今までの事もあり微妙な反応を示していた人達も居たが、その噂は面白いように広がった。


ウェンディは何もしない……いや、出来ないのだ。

フレデリックばかりの人生で、使える友人も居なければ対抗する手段もない。

こうなるのは当然だろう。


(本当、惨めよねぇ……)


最近、母との仲は壊滅的に悪くなった。

デイナント邸での居心地は最悪であったが、すぐにニルセーナ伯爵家に嫁ぐ事になるから何の問題もないだろう。


(別にお母様なんてどうでもいいわ。わたくしが嫁げばゆくゆくは伯爵夫人。そうすればお母様より上の立場になるのよ……!それが怖いからって本当、煩いのよ)


何より今更、何を言っても現状は変わらない。


それよりも、もっと詰まらなかったのはウェンディの反応だった。


あんなにフレデリックを「好きだ」「愛している」と言いながら、不貞を知ったとしても、怒り狂いもせず泣き喚きもせず、淡々と対応する姿に驚いていた。


(……もっと悔しがるかと思ったのに、信じられない)


顔を合わせないようにしているのか、敢えてフレデリックを邸に呼んだとしても全くの無反応である。

それに自慢しようとしても母がウェンディに近付く事を絶対に許さなかった。


(詰まんないの……)


あの日からフレデリックは元気がなくなり、何を言っても上の空である。

隈はひどく憔悴しているように思えた。


だけどもう時間は戻らない。

それに父もニルセーナ伯爵も夫人も、婚約者がウェンディから変わったとしても特に何も言う事はなかった。


(当たり前でしょう?ウェンディよりも、わたくしの方が優れているんだもの)


華やかな容姿と愛嬌のある自分は、どこに行っても自慢出来る事だろう。

それに公爵家の令息からも婚約の打診が来たくらいなのだから、伯爵家の令息には勿体ないくらいだ。


ニルセーナ伯爵邸に向かい数日滞在したが、ニルセーナ伯爵は微妙な反応だったが、夫人は「嬉しいわ!」と喜んでくれた。


(ふふっ、当然よ……!)


それからフレデリックの部屋や屋敷を案内されたり、自慢の庭を見せてもらったりと、死ぬほど退屈な時間を過ごしていた。

どれだけフレデリックが素晴らしいか、ニルセーナ伯爵家を今後どう盛り立てていきたいか。

そして必ず男児を二人以上は産んでほしいなど、下らない事を言っては誇らしげにしている。


途中からどうでもよくなり過ぎて欠伸を我慢するのに必死だった。


(はぁ……本当に面倒だわ。ウェンディはよくこんな下らない話を聞けていたわね。帰りたいわ)


あまりにも退屈で頭が痛くなりそうだった。

デイナント邸に帰って、ウェンディに自慢でもして憂さ晴らしをしようとした時だった。


どこを探してもウェンディの姿が無かった。


母も今日は部屋で過ごすと聞いた。


そしてウェンディは夕食の時にも姿を現す事はなかった。

どことなく侍女達も浮かない顔をしている。


父と幼い弟と三人で囲む食卓に違和感を感じていた。

そして問いかけた。



「ウェンディは、どこへ行ったの?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ