愛羅の異世界体験
食事も終わり、今回のパーティーは解散となった。
俺は王都を出て黒死の森に入った。
食事中にキャロから魔法の発動について教えてもらった。
「詠唱は…」
「あっ俺詠唱破棄のスキル持ってる」
「はぁ!?あんたって人は…詠唱破棄って超レアスキルよ。まぁなら早いわ、後はイメージね」
「ええ、ファイヤーボールなら火の玉が敵に向かって飛んでいくイメージね。あなたの属性に合えばファイヤーボールが発動するわよ」
「そうか。ありがとう。色々やってみるよ」
そんな事があって空間属性のテレポートで家に帰ろうと思っていた。
異世界の家をイメージ、ここから家にテレポートするイメージをする。
「おぉー」
その瞬間、俺は庭にいた。
テレポートが成功した。
久しぶりに地球に戻り、スマホを手に取る。
「え?」
愛羅からの着信が着信履歴を埋め尽くす。
すぐに折り返した。
「ケンヤ?何やってたの?何回も電話したのに」
「ごめん。それでどうした?何かあったのか?」
「うん、あのね…。私…もう学校行きたくない」
「どうした?らしくないじゃん」
「うん。ごめん」
「いじめられてるのか?」
泣きながら愛羅は、ポツリポツリと話し始めた。
よくあることだ。
施設育ちということを馬鹿にし下に見てくる奴ら。
入学早々に目を付けられ、今週になってクラスの男が暴言に収まらず遂に暴力が始まったそうだ。
「明日からうちにくるか?もしかしたら解決できるかもしれない。それまで学校は行かなくていい。但し、許可はちゃんと取ること」
「えっ?い、い、い、い、いいの?」
「あ、場所わかるか?」
「うん、引っ越し手伝で行ったから覚えてるよ」
翌朝早く、超絶お洒落した愛羅がうちにきた。
「よし来たな。とりあえず脱いでもらおうか」
「はっ?はー?なっ、なにいってるのよ」
ビンタを食らった。
「すまん。言葉足らずだった。そのお洒落な服を脱いでこれを着てくれ。そっち部屋で着替えてくれ」
前所有者は次の所有者の為に女物の装備も用意してくれていた。
愛羅にはそれを着てもらう。
鑑定で一番防御力のある装備を渡した。
古代竜の鱗や革が使われた華やかな装備だ。
防御力だけなら俺の装備より高い。
「着替えたわよ」
「よし、ここからは他言無用だ。約束できるか?」
「うん、約束する」
「絶対だからな」
「わかった」
「よし、ならこっちの部屋に入って」
例の扉がある部屋に入る。
「これは…?」
「この扉に入ると地球とは別の世界に行ける。ここでレベルを上げれば、低レベルのこの世界の人間なんてワンパンで倒せるし、殴られようと痛みすら感じないよ」
扉に手を掛け、愛羅の出入りを許可し開いた。
「なにこれ?」
「色々聞こえた?」
「うん」
どうやら同じ魔法とスキルを得たようだ。
職業は賢者のみだと言う」
「ようこそ異世界へ」
「マジ?」
「うんマジ、ステータスって唱えてみて」
「ステータス?」
氏名 アイラ・シャバナ
種族 人族
年齢 15
職業 賢者
レベル 1
HP 20
MP 60
STR 20
DEX 20
VIT 20
AGI 20
INT 20
MND 20
LUK 100
称号 賢者 異世界人
は?ラック差よ…。
「次はストレージ」
「うん…。え?なにこれ」
「何か入ってる?」
「うん、お金かな?あと、武器に装備が色々、洋服も入ってる、後はポーション?薬なのかな?いっぱい入ってる」
「一度、戻るよ」
「う、うん」
扉を出て地球に戻ると愛羅にもう一度ストレージを見てもっらった。
「えーーーー!?魔法も使えええええーー、五、五、五百億円!!」
「うん、それはあげる。だけど、日本で爆買いは控えろよ。目付けられたら大変だからね」
「えー。なら異世界の街行きたい。爆買いしたい」
「先ずは、レベルを上げよう」
「うん」
俺の時の様に結界内で魔物を倒す事に。
「噓でしょ?マジ怖っ…。キモ…。本当に地球じゃないんだね」
「ギガントアント、レベル95。武器はどうする?」
「うん、弓もいいけど剣かな?」
「短剣とバックラーで機動力重視いいかもね。バックラーは防御もできるけどこれで殴る事もできる」
「へー魔法は使えたりする?」
「うん、職業が賢者だったから使えるよ。先ずは此奴倒してレベル上げよう」
「わかった」
途中、昼、夕食を挟んで夜九時、やっとギガントアントが動かなくなった。
氏名 アイラ・シャバナ
種族 人族
年齢 15
職業 賢者
レベル 53
HP 320
MP 600
STR 45
DEX 66
VIT 51
AGI 36
INT 44
MND 82
LUK 222
…。
寝る前に愛羅に魔法の使い方、種類を教えた。
詠唱破棄スキルを得ていた愛羅は魔法を覚えた。
次の日は午前中に魔物を倒し続け、レベル100を超えた所で王都近くへと転移した。
「中世の街って感じね」
「まずは冒険者ギルドに行こう」
「冒険者ギルド?異世界感出てきた」
しばらく並んでいると俺たちの番になった。
俺はギルドカードを渡すと愛羅分の入場料を支払って王都に入った。
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