23 少し大人になった二人
カーテン越しに朝の光が柔らかく部屋の中を照らしている。
俺は目を覚まし、ぼんやりと天井で揺れる外光を見つめた。
「おはようございます、修一様┅┅」
「おはよう┅┅サクヤ┅┅」
俺の体にぴったりとくっついて、美しい精霊の少女が微笑む。普段古代の女性の髪型に結っている髪は解けて、ベッドの上に広がっている。緑がかった瞳、桜の花のような唇、朝の柔らかな光の中で見る彼女は、やはり男を狂わせる妖魔だと実感する。
昨日の夜、深夜の散歩から部屋に戻った俺たちは、階下で眠る両親を起こさないように気を使いながらも、お互いの興奮を抑えきれず無我夢中で体を重ね合った。頭で覚えたわずかな知識だけを頼りに、俺はサクヤを満足させようと奮闘したが、サクヤにとって、それは予想以上の満足感だったらしい。
俺の不器用な力任せの攻撃に、彼女は泣きながら悲鳴を上げ続け、それでも必死にしがみついて離れようとしなかった。とうとう夜明け近くまで上になったり下になったりして続いた絡み合いは、俺が八回目の高まりを彼女の胎内の奥深くに放出して、ようやく終わりを告げたのだった。
「シャワー浴びに行くけど┅┅一緒に来るか?」
「しゃ┅┅わ?それはいったい┅┅」
「ああ、ええっと┅┅まあ、来ればわかるさ┅┅」
俺はベッドから下りて、脱ぎ捨てていたパンツをはく。サクヤもベッドを出て、着物を着ようとしたが、俺はそれを止めて言った。
「そのままでいいよ┅┅どうせ俺にしか見えないんだから┅┅」
「で、ですが┅┅裸でははしたないと┅┅」
「体を水で流すんだから、どうせまた裸になるんだ┅┅それに┅┅きれいだから、もっと見ていたいっていうか┅┅」
その言葉で、サクヤはとたんに赤くなり嬉しげにはにかんだ。
「では、ずっとこのままでおりまする」
「ば、ばか、それはだめだ┅┅見える奴には見えるんだから┅┅もうこれから先は、俺以外の誰にも体を見せてはだめだからな┅┅」
「はい、かしこまりました、ご主人様┅┅」
俺たちが階下に下りていくと、すでに両親は起きていて、母は台所で朝食の準備をし、父はリビングのソファに座って新聞を眺めていた。
「おはよう、父さん、母さん┅┅」
「おはよう、よく眠れたか?」
「う、うん┅┅ちょっと暑かったけどね┅┅」
「あら、おはよう┅┅なあに、パンツ一つで┅┅サクヤちゃんに笑われるわよ」
「ああ、あはは┅┅そうだね┅┅汗かいたから、ちょっとシャワー浴びてくるよ」
俺の横で、サクヤはどうしようもなさそうな顔で胸と下腹部を手で隠しながらもじもじしていた。
「ねえ、修一┅┅お父さんとも話していたんだけど┅┅」
母が何やら改まった顔で言った。
「明日からいよいよお役目が始まるのよね?」
「う、うん、そうだよ」
「お婆ちゃんの家で、お仲間の人たちと待ち合わせしてるんでしょう?」
「ああ、そうだけど┅┅」
「じゃあ、母さんたちと今日から一緒にお婆ちゃんの所へ行かない?ほら、お盆もお父さんの仕事で行けなかったから、お墓参りもかねて┅┅それと、これからお世話になるお仲間の人たちにも、ご挨拶をしとかないといけないから┅┅ね?」
「あ、ああ、いいよ┅┅」
「学校とか、友だちとか、お別れに回らなくてもいいか?」
両親の心配の原因が分かって、俺はほっとして頷いた。
「ああ、大丈夫だよ。別に永遠の別れじゃないんだし┅┅政府の方から学校には連絡がいくらしいから┅┅」
「そう?じゃあ、決まりね。ふふ┅┅早くシャワー浴びてきなさい、朝食が済んだら出かけるわよ」
俺とサクヤは追い立てられるように浴室へ向かった。




