べひさん日記 とある日 ジロー五ちゃい
ドラゴンが出るぞー!
今日はちょっとそこまでドラゴンを狩りに行った。
うむ。ドラゴンもこの世界に残ったのか。さもありなん。かなり快適な世界だから当然とも言えるが少し欲張り過ぎたようだ。近所のオーガ達が泣きついてきたので相棒と相棒の親たちがなんとかすることになった。
……話……聞くかなぁ? ドラゴンって臆病で攻撃的だから無理かな。私達もあんまり関わらないようにしてるし。美味しくないから。
近所のオーガ達も普通に相棒と仲良くやっていることに私としても誇らしげな気分になる。親の一人もオーガだから……実は親戚なのかも知れない。人間とは本当に不思議な生き物だ。
相棒と一緒にドラゴンの縄張りに入り、第一村人ならぬ、第一ドラゴンに説得を試みたが……いきなりブレスで攻撃してきた。なのであっという間に三枚に下ろされた。
相棒の意思が届いていないわけでも無いのに……やはりドラゴンは滅ぶ生き物だな。その後もドラゴンを見掛ける度に相棒は説得をしていったが……最後の一匹に至るまで、話をしようとする個体はいなかった。
相棒も拳で会話を試みたが……ドラゴンってあんなに脆かったかなぁ? 私の記憶がおかしいのかな。顎をかち上げられて、地を震わせ、地面にひっくり返されたドラゴンは……普通に蜥蜴に見えた。
相棒も強くなってまぁ。体はちっこいままなのにねぇ。
結局ドラゴンは皆殺しにするしかなくて……相棒はかなりへこんでいた。相棒は悪くない。悪いのは蜥蜴達だ。こいつら不味い癖に生意気すぎるから。性格が魔石にも現れてて、すごく不味いの。
大量に出た美味しくないお肉は近隣でビクビクと暮らしていたオーガや弱い魔物達に配ることになった。むしろこの作業に時間が掛かった。すごい疲れた。あと、相棒? 素手でドラゴン裂くの止めて。せめてあなたのお父さんみたいに刃物使ってちょうだい。
私の子供も真似したがるから、もうちょい常識的な姿をよろしく。あの子……隠れて二足歩行の練習とかしてるのよ? お母さんどうしようか、最近悩んでるのよ? ……私も練習しようかしら。
村での踊りとかお歌の練習も楽しいし……こんな生き方もあったのねぇ。ベヒーモスとして……なんて、肩肘張らずに生きている今のなんと平和で充実した日々な事か。好きなだけ寝て好きなだけ走る、そんな自堕落な生活だけど……群れは、いまだかつて無いくらいに幸せそうだ。
……願わくば孫の世代もこの幸せな関係でいて欲しいものだ。
こんなことしてたのよ、というお話です。