公爵令嬢の諫言
見きり発車してしまいました
ストックはありません…
公爵令嬢と殿下の会話(殿下のセリフなし)
ごきげんよう、殿下。急な来訪をお許しくださいませ。
私、殿下にご確認したいことがございますのよ。早急に。
ええ、ええ、あなた様がお忙しいのは十分に承知してますわ。国王陛下から一部の政務を引き継いでおりますし、学園も舞踏会を控えておりますしね。
そうですわね。それなのに急に来たことは謝りますわ。ですが私は殿下の従妹ですもの。殿下も陛下も私にはちょっと甘い事、ちゃんとわかっておりましてよ!ですから大目に見てくださいませ!
それよりも早速本題に入りますけれど。最近、シャル男爵令嬢のマリア様とずいぶん親しくされていらっしゃるとか。
違いますわよ!もう社交界では大きな噂になりつつありますもの。私の耳に入らないわけがないでしょう。クレア様はそういった事は一切話してくださらないわ。婚約者がいながら他の女性と必要以上に親しくなさるなんて…醜聞ですもの。ましてや殿下は王太子ですから。クレア様は貴方の婚約者として、いずれは王になる殿下と国を支えるために日夜努力を重ねていらっしゃるわ。貴方はマリア様に夢中でお気づきではないかもしれないけれど。
ちょっと殿下? ちゃんと私の話を聞いてくださいませ。殿下、ひっそりと舞踏会で婚約破棄を計画していらっしゃるでしょう? 私、知っていましてよ?
あら、ずいぶんと驚いていらっしゃるのね? そんなに分かりやすく表情に出してはいけませんわよ?
殿下、予知夢ってご存知? 私、王家に連なる血筋を持ちながら魔力に恵まれませんでしたけど、夢に見ることができるのですわ。
…ずいぶんとマリア様を庇いますわね? その暴挙、本当にクレア様がなさったという証拠はありますか? クレア様にちゃんとお聞きになりました? 一方の言葉だけを鵜呑みにしては真実から遠ざかりますわよ。其のままでは国を治める者としての資質が問われます。
殿下、ちょ…っ! 殿下! 私の話を最後まで…ちょっと、殿下! 殿下!
ジェルド兄様! いい加減にして! 貴方ちょっとマリア様を盲目的に信じすぎよ! 本当に王太子としての資質が問われてしまうわよ! クレア様だって一番はそこを危惧してるのよ!?
その件はわかったから! え、貴方のまわりの殿方、揃いも揃ってバカばっかりなの? さっきから言ってるじゃない! ちゃんと双方の言葉を聞いて、客観的に物事を見ないと本当に大事なモノを見失うわよ!
だいたいね、ちょっと冷静になって考えて? マリア様って今まで平民として過ごしていらっしゃったのでしょう? 確か、亡くなった男爵の隠し子だったかしら? 亡き男爵のお父上が見つけて迎え入れたって聞いたけど…それもほんの一年前の話よ。そんな人が王太子妃としての礼儀作法、知識、政治手腕を兼ね備えているわけ無いじゃない。幼少期から貴方の婚約者になっているクレア様でさえ、いまだに1日のほとんどを勉強に費やしていらっしゃるのよ。
え? だって私、クレア様が大好きだもの! 貴方と結婚したら私にとってはお姉様も同然だから楽しみにしていたのに…
そんな事、クレア様がするわけないわよ! 絶対に何か裏があると思うわ。
夢に見たものが証拠になるわけないじゃない。
あら、もうそんな時間なのね。…殿下は私の事、信頼してくださっていると思っていますけれど、私の今日のこの話だけを鵜呑みにするのもやめてくださいませね? 感情に任せて事実をねじ曲げて捉えることの無いようお気をつけくださいませ。
ふふ、そうですわね。感情的になってしまい、言葉が乱れたことをお許しくださいませ。でも私も子供の頃に戻ったようでしたわ。…では、ごきげんよう。