きさらぎ
クラスの皆と学生時代に約束した事がある。
四年に一度必ず皆で集まろうと。
手っ取り早く言ってしまえば四年に一度同窓会を開くと言う事だ。
今日はその同窓会、当時お世話になった担任の先生や一緒に騒ぎあった仲間達と会う日。
当時の仲間がどんな大人になっているかワクワクすると同時に皆が来てくれなかったらどうしようという不安もあった。
「一番乗りっとはいかなかったな、やっぱり幹事のお前が一番乗りだったか。」
俺にそう話しかけてきたのは当時から仲の良かった奴だった。
「お前一人か、他の誰かと一緒じゃないのか?」と質問した。
「俺一人だ、皆必ず来るから安心しろって。お前の場合皆じゃなくてアイツが来るかどうかが心配なだけだろ。」と俺を冷やかす。
「うるさい俺が皆と言ったら皆なんだよ。」ちょっと不機嫌な感じで言葉を返す。
二人で変わってないなと笑いあっていると扉が開いた。
「お待たせ、27人御一行様の到着よ。」そう言って入ってきたのは委員長だった。
「幹事が皆揃ってないのに始めてたりしてないわよね?」と始まってない事を確認する委員長の素振りは当時からまったく変わっていないようで俺は嬉しかった。
俺は「始める訳ないだろ、アイツがまだ来てないんだから。」とそう伝える。
「解ってるってアンタはあの子の事ほっとけないもんね。」そう言って委員長まで俺をからかう。
皆当時の思い出話に花を咲かせて気がつくと同窓会開始予定時間から30分ほど経っていた。
俺は外に出てアイツが来るのを待つ事にした。
アイツからの連絡が来ない、途中で何かあったのだろうか?
不安で胸が締め付けられているのがよく分かった。
遠くから誰かがこちらに向って走ってくるのが見えた。
俺の心がドキドキしている、きっとアイツだ。
俺は誰なのかを視認できる距離まで待っている事が出来なくて走っていた。
こちらに向ってきていたのは間違いなくアイツだった。
遅れた理由を聞くと「場所わかんなくなっちゃって。」と恥ずかしそうに笑って誤魔化した。
それから皆に全員が揃った事を伝えた。
皆は俺たちを見てやたらとニヤニヤしているのが気になるが俺は気を取り直して皆に宣言する「これから四年に一度の同窓会を始めます。」と・・・。
題材はうるう年です。
全員で30人というのは2月は先生、他生徒という事です。
俺は1日、アイツは29日といった具合です。