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死ニカケノ異世界無双(仮)  作者: のりたま
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プロローグ

突然だが、僕は死んでしまったらしい。

36歳で死ぬとは思ってもみなかった。


死んだ理由は至ってシンプル。


世界中で致死率の高いウイルスが流行り、僕も感染して死んでしまったのだ。世界中で100万人以上の死者を出した最悪のウィルスだったが、まさか自分が感染してさらに死ぬことになるなんて考えてもみなかった。


なんの根拠もなく自分だけは大丈夫、と思っていたのに。


まあ、僕は結婚してなかったから家族が路頭に迷う心配はないし、会社も僕の代わりになる社員はいくらでもいるから大丈夫だろうけど。


今はもう、そんなこと考えても仕方がないけどね。


と、僕は列に並びながら、自分が死んだときのことを振り返っていた。



今どこにいるかというと雲の上だ。たぶん。。。足元に、わたあめみたいなのがあるし。


ちなみに、死んだときには弱っていた身体は元に戻っている。36歳の運動不足なおっさんの身体だ。



列に並んでいるのは、たぶんみんな死んだ人たちなのだろう。僕の前には、まだ何百人もの人が並んでいる。


列の周りには天使的な子がいて、列の整備や誘導をしている。不思議なもので僕自身、この状況を当たり前のように捉えている。列に並んでいる人達も騒いでいないし。なぜだろうか?


しかし、早くしてほしい。

遊園地なんかでも列に並ぶの嫌いだったんだよね。


待たされながらも列を進んでいくと、豪華な建物があって中に入ると受付があった。なるほど、あそこで受付をしているのか。来世のことを言われるのかもしれないな。


受付にいるのは、もちろん天使だ。


僕も列に並んでいた他の人と同じように受付に行ってみる。


ちょっぴりドキドキする。

「あなたは前世で良い行いが少なかったので、次はミジンコですね」なんて言われたらどうしよう。


まあ、ミジンコだと大量殺人したやつのレベルだろう。


自慢じゃないが、僕は至って普通の人生だった。並程度の学力に並程度の運動神経。


死に方を考えると運は並以下だったのかもしれないが、まあ打倒に行けばまた人間だな。特に悪いことはしてないし。


と、ポジティブに考えながら、受付の天使の前にあるイスに座る。


すると、天使が急に立ち上がった。


「ひゃ・・・ひゃ・・・」

天使はプルプル震えながら、僕を見ている。



「・・・ひゃ?」


なんだろう?なんかヤバイことでもあったのだろうか?


もしかして、中学生のときに1回だけやってしまった万引きがマズかったのだろうか。


あれは若気の至りだから許してほしい。

・・・もしかして次はミジンコなのだろうか?


と、僕がネガティブな気持ちなり始めていると


「100億人目の人きたーーー!!」


と天使が叫んだ。


ん?100億人目?なんだそれ。


他で受付をしていた周りの人たちと僕が唖然としていると、天使が興奮した様子で説明してくれた。


「おめでとうございます。なんと、あなたは100億人キャンペーンに当たりました。神様の気まぐれで始めたこのキャンペーンは、100億人毎に1人当たるのですが、特典として特別な条件で生まれ変わることが出来るんです。しかも、その担当になった天使のボーナスがその年は2倍になるんです。」


天使は嬉しそうに両手を頬に当てて、体をクネクネさせている。



詳しいことはまだわからないが、悪い話ではないようだ。しかし、天使ってボーナスがあったのか。


「それで、100億人目の特典ってどんなものなのですか?」


「はい、それはそれは凄い特典です。なんと、生まれ変わるときに特別な能力を持てちゃうのです。」


特別な能力か。良くも悪くもあるような気がしなくもないけれど。。。


「特別な能力ってどんなやつなの?」


僕が天使に聞くと、どこから出したのか天使はダーツの的のようなモノを準備し始めた。


「特別な能力は何かは決まっていません。あなたが今から自分で決めるんです。」


と、言いながら天使がニコニコしながら、僕にダーツを2本渡してくる。


よく見ると円形になったダーツの的は20個ほどに分かれており、何やら文字が書いてある。


・相手の心が読める

・空を飛べる

・千里眼が使える

・タワシ

などなど


なるほど。ダーツが当たった場所のスキルを貰えるわけか。


「あの、タワシって書いてあるのは?」

「神様のイタズラです。」


なんだよ。イタズラって。


「ダーツが2本あるのは、1本は能力を選ぶために、もう1本は能力を発動する条件を決めるためです。」


ふむふむ。どんなにすごい能力でも発動条件が厳しいと使い勝手が悪くなるからな。これは2本とも外せないな。


「では、準備は整いましたか?それでは的を回しますよ。」


天使が的を回す。



グルグルグルグル。




僕は意識をダーツの的に集中させる。次の人生で勝ち組になれるかどうかはこの一瞬にかかっていると言っても過言じゃない。


・・・絶対にタワシに当てるわけにはいかない。


周りで受付をしていた他の人たちや、他の受付の天使も作業を中断して様子を見に来ている。



・・・緊張する。



よし、今だ。



とりゃ!


グサっ!


ピタッ!





天使が回っていた的を止めて、僕が投げたダーツが刺さった場所を見た。


そこには【全てを知る者】と書いてあった。


僕は書いてある意味が分からずに天使のほうを見た。


天使は愕然としている。


「・・・う・・・う・・・」


・・う?なんだろうか?


「生まれて初めてこの能力当てた人見たんですけど!」


もの凄く興奮している天使。


天使から説明を聞いたところ、どうやらこの能力は、一時的にすべての分野において最高の力を引き出せるというものらしい。



外野からは「良かったな」とか「そんなんで人生楽しめるのかよ」といった賞賛や僻みが聞こえてくる。


おいおい、マジですか。

僕の次の人生はバラ色になるかも。


と、考えていると、さっきまで興奮していた天使が、またダーツの的を出してきた。


あ、そうか。


発動条件もダーツで決めるんだった。


さっきと同じように、ダーツの的は20個くらいに分かれていて、それぞれに文字が書いてある。


・自分の意思でいつでも

・雨の日だけ

・恋人を守るときだけ

・視聴者プレゼント

などなど


視聴者プレゼントってなんだよ。


「うぉーーーーーーーーーーーー」


視聴者プレゼントの文字を見つけたのか、外野がやけに騒がしくなる。


天使が的を回し、僕は前回以上に集中する・・・



グルグルグルグル。


狙うは、自分の意思でいつでも、だ。


・・・ここだ!




おりゃ!


グサっ!


ピタッ!



僕、天使、外野がダーツが刺さった場所を見る。



そこには【死にかけのときだけ】と書かれてあった。



なんだそれ。



唖然とする僕を天使と外野が哀しげな目で見つめていた。




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