嘘か真か
こんにちは、sadです
梅雨の夜は寝苦しいですね
どうにかして楽に眠りたいのですが、なかなか眠れない
そんな夜に不意に涼しさを感じる、扇風機か風の流れが変わったのか
きっと誰か知らない人が横にいる気もしますね
「え?」
扉開けた食堂の机には大量のお菓子…キャンディー、チョコレート、キャラメル、色鮮やかなケーキ、ビスケット、ジャム瓶…どれも高級品で子供に食べさせることも買うこともできないものだ。
綺麗に白い陶器の皿に並べられて鎮座しているが、三人の子供のほうへ行くほどむさぼり食われている。当の本人たちは両手にお菓子をもち口の周りを汚していた。
「あ、まざあーおかえりなさい」
食べるのを止めた眼鏡の女の子が頬をその甘いお菓子に膨らませ食べながら話すので口に手を当てて言う。
「あれ、おきゃくさん?」
巻き毛の男の子が袖で口をぬぐう、ビチャと湿った音がした。
「まざーおなかすいたからこんなにたべちゃった」
赤毛の男の子が手を見せた。
辺りには食べ散らかされたお菓子、手のひらはジャムとお菓子のくずが付いていた。
色鮮やかなそれは狂気に満ちて暗闇のわずかな光に浮かんでいた。
「あなたたち・・・」
バスッ
言葉を発する前に足に何かあたる
「!!!!!!」
声にならない叫びでのどがつまった。
息が吸えない、一気に背筋が凍る。
引きつった体はいうことを聞かずに硬直状態で、息を吸えずヒッヒッと喉が痙攣する。
視線の先、床の一面
ばらばらの小さな手足と体
白い洋服は赤く、体もどれもが齧られたあとがあり
内臓や髪が食べかけのまま床にくっ付いていた。
腰から下の力が抜けその場で倒れこむ
「いやぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
アリシアが駆けつけシスターのもとにひざまずいた。
「やっぱり遅かった…!」
「子供たちが…!いつからこんなことに!!!」
「分かりませんが、かなり前からでしょう…!彼らの発言や行動に何か異常が無いか思い出してください!」
その言葉で、シスターははっとした。自分は此処最近の子供の異変に気がついていたのだ。
子供たちが鬼ごっこよりもかくれんぼを好んだこと、それは誰かに会う機会をつくるため。
夕食には皆こぞっておかわりをしに来ていたのに、この三人とマーカスはそうでなくなってきたこと、それはお腹が何かで満たされていたということ。
お菓子という単語が、唯一お菓子を食べる日曜の礼拝後以外で聞こえたこと、それは特に何者からかお菓子をもらっていたということ。
「見てみぬふりをした…私がいけないの…?」
前を向き直り子供たちと目が合った。その目は暗く、焦点が定まっていない。
「うるさいわ、まざぁー」
「そうだよ、おとうさんにおこられちゃうよ」
「ごはんはしずかにたべるんだよ?まざぁ」
ぬぅと立ち上がった三人が二人のもとに歩みだし話しかけてくる。
アリシアは静かに言葉を返した。
「ねぇ、お父さんって誰かな?私に教えて欲しいの」
「おしえないよ、おとうさんはいつもわたしたちをみてるんだ」
「そうだよ、おとうさんにおこられちゃうよ」
「ごはんにはきをつけなさいっていわれたのにね」
「やはり“父親”がいるのね…」
ここら辺を縄張りにする吸血鬼であることは間違いない。アリシアはこの“父親”と言う存在を追っていた。
なぜ自らを“父親”と名乗っているのかは知らないが、その吸血鬼が子供をむさぼり食べているのは血を吸われ変異させられた“吸血鬼の子供”でもあるグールを見ても明らかであった。
「神様!!!何故こんな試練をおあたえになるのですか!!!子供がなにをしたと言うのですか!!!!」
ガタガタと震えながら祈りを捧げるシスターは無意識かアリシアを抱き寄せ、哀れみと怒りが涙とともにある顔で三人を見つめていた。
子供の顔に過去の彼らが走馬灯のように思い出される。
(無邪気に笑い、聡明で慈しんでいた、苦労して一人でやりくりし養ってきた…私の宝であったのに)
目の前の化け物を見た途端、どうにかして彼らから生き延びなければと強く思ってしまったのだ。
「本当は大人の私があなたを助けなければいけないのに・・・お願い・・・彼らを殺してあげて・・・!!!」
次回からグロテスク注意です
ささ、続き