未だに思う
asdです
投稿が遅れました、すみません
時間とは早く過ぎていくのですね
好きな人といるときは早く、そうでない退屈な人とは遅く…
相対性理論らしいのですが、感覚が科学に変わるのであればいつか
なりたいものになんでもなれて、人を思うように変えられる時代が来る
そんなときこんな小説なんていらなくなるのでしょうかね?疑問ではなく愚問でしょう。
いままで走ってきた道を暗い中戻っていく。
明かりも何も持たずに出たため帰り道は苦労すると思っていたが、アリシアは手持ちの少ない荷物から小さなランタンを取り出した。
自分は使わないから足元を照らせとシスターに差し出されたそれは、持ち手が使い込まれ良くなじみ、すこし明かりの部分が煤で暗く、錆の跡も見える随分と年季の入った品物であった。
「ミスアリシア、あなたは今10歳ぐらいに見えます。何故このように使い込まれたランタンを持っているのです?」
深い場所まで入り込んでいるため戻るまでに少し時間がかかる。暗闇の中で小さな生き物の気配を多く感じ、 そこから湧く恐怖心も話をすれば薄れるだろうと口を開く。
「…正確にはおおよそ10歳だと、これは育ての父の使っていたものです。今身につけているものもほぼ全てがそうです。」
彼女の表情は見えないが、身構えるような緊張感があった。
「話したくないのでなければ、お父様のこと聞かせてください。」
マザーはアリシアを引き取ろうと考えていた。こんな幼い子供が一人で空想上の生き物を殺すなんてありえない。育てた親に何かトラウマを植え付けられたのかもしれないと疑うのは、さほどおかしくは無かった。
「…私は拾われた子供でした。育ての父の名は“ウコドラク”と言います。」
アリシアは少しずつ話し始めた。
「ハンターを生業としていて、だいたい4.5歳に見える私を拾ったときも仕事の最中であったと聞いています。…父とは幸せに暮らしていました。毎日の暖かい食事と会話もぼんやりと覚えています。穏やかな日々でしたが父は幼い私に、剣術や警戒心を強く説き、何を恐れるように注意していました。今思えばおかしな話なのですが…」
声色や言葉選びが嫌に大人びている。
嫌味には聞こえず、何故か彼女が遠い過去の話をしているように感じた。
「6歳頃、雪の降る日でした。父は突然大切なものを取りにいくと思い立ったように出かけていきました…その4日後、体中傷だらけになりながら一冊の本を持ってきました。
怪我をすることはありましたが、その時の傷は武器によって付けられたと一瞬で理解しました。
少し休みたいと横たわる父から、自分はただのハンターではなく吸血鬼ハンターであると明かされました。
衝撃を受けましたが父の言うことは私にとって全て比較しようもない真実でもありました。疑うことは微塵もなく、すべて真実として飲み込むことができました。話し終えると父は私にも休めと言いました…
次の朝、父の姿はありませんでした。雪が降る外に足跡は無く、ただ赤い大きな血溜りが家の前にありました。血を抜き取り、肉体やその一部を収集するのは吸血鬼の特徴です。父もきっと恨みを買い吸血鬼に殺されたのだと…気がつきました。
父を良く覚えているわけではないのです。早くに亡くしたうえにショックで記憶はかなり曖昧です。」
これが父の全てですとアリシアは言い放つ。飄々と言い放つ言葉とは裏腹に壮絶な過去を背負う彼女に驚きシスターは言葉を失った。
たとえ想像力豊かな10歳の少女でも、この話は到底作り話ではないだろう現実味を帯びている。
「教えてくれてありがとう」
「…いいえ、どういたしまして」
アリシアは振り返り、少し微笑む。そこに寂しさを感じたのは森が開けたから強く差し込んだ月明かりのせいだろうか。
「教会の子供たちが無事であると良いのですが…」
アリシアが先を見ながら呟いた。
二人は急ぎ足で開けた森を進む。うちに林になり草原が広がる。
赤レンガの教会に明かりが灯っているのが見える。その光が多いことに安堵のため息をついた。
「きっと大丈夫です!!!子供たちは無事ですわ!!」
安堵からマザーは駆出して寺院へ向かい、一目散に食堂がある講堂へ向かった。アリシアも小走りでそのあとに続いていく。
食堂からは2.3人の子供たちの笑い声だけが聞こえている。
アリシアは走るシスターと子供の声に一瞬微笑し、走る足を緩めた。
しかし、大人のいない修道院で子供が笑いながら真夜中に遊んでいる。全員でならまだしもこの明るさに食堂で2.3人である。
「…シスター!待って下さい!!!」
ささ、あしばやに