今の私は
こんにちは、asdです。
このお話で彼女は誰なのか見えてきます。
可愛い女の子いいですよね、私は大好きです。
おや、誰か来たようです
この緑多い暖かな町に似つかないその姿。
どこから見ようともこの少女がこの町のものではないとわかる。年齢は10.11歳だろうか。
無造作に切られた後ろ髪となぜか長いサイドの前髪、深い群青色で虚ろな瞳。
暖かい春に日差しに似合わない襟の立つレザーのロングコートが彼女を包んでいる。
何より異様な空気が彼女の周りに漂い、存在は希釈されたかのように静かである。
閉まるドアを確認した彼女は身を翻し、林の中へ消える。翻るコートのスリットから彼女の腰からさがる物騒なものがあった。
「キン…キン…キン…」
歩き出した彼女に合わせて高い金属音が聞こえる。
真昼の暖かい日差しに不似合いな鈍い銀色の光を放つ古びた剣は、彼女の身長では持ちきれず、少し引きずる形で身につけられている。騎士、戦士のように見えなくも無いが、それはあたかも罪人の枷のようであった。
秋の終わりで肌寒いため子供たちの帰りは早い。集まりだした子供たちの背中に見える夕焼けは、湖に血糊を流し込んだ様な空に変化していた。風は心地いいが、どこか生ぬるく胸がざわつき、カラスの鳴き声が不安を煽るようだ。
「マザー…なんだか良くないことが起きそうね」お下げ髪の少女がつぶやく。
「まざー…僕眠いよ…」目をこすりながら幼い男の子がマザーの服の裾を握る。
「今日は早く修道院へ入りましょうか…」遠くを見つめるマザーが拳を胸の前で握り締めた。
子供たちが6時の教会の鐘の音を聞きつけ、修道院へ帰っていく。昼間明るく軽やかな音を奏でていたその鐘が、まるで何かの警告のように空を仰いだ。
「「「マザー!!!!」」」
林から3人ほど子供がベソかき泣きながら走りマザーへと抱きつく。小さく肩を震わせワンワンと泣く彼らは言う。
「どうしよう!!マーカスが居ない!!」
眼鏡の少女が肩をヒックとしながらマザーを見上げ叫んだ。ぐっと嗚咽を飲み込み涙をぬぐい続けて赤毛の幼い男の子が叫ぶ。
「僕たちかくれんぼしてたの!!マーカスが見つからない!!!またマーカスが消えちゃったんだ…!」
涙をこらえ涙を流す。
巻き毛の男の子は青い顔でつぶやいた。
「もしも吸血鬼に食べられたらどうしよう…!!!」
その一言に幼い三人は涙の流れを加速させる。マザーはなだめるために芝生に膝をついた。
「大丈夫よ。私が探してくるわ」
優しく三人を抱きしめ、他の子供たちも含め全員を修道院へ誘導する。ランプを持ち直し、マザーは夕日の中を林に向かい走っていった。
いかがでしたか?