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哀しみと眠る
哀しみの指先は
僕のまぶたから頬へ
後頭部をするりと撫でて、
まあるく抱きしめてくれる
静謐なつめたさのなかで
どこかあたたかい
深い深い海の底に、
ちいさな炎のゆらめきをみるように
君に抱きしめてもらえる僕が在ることに
痛みにも似た安堵をおぼえている
夜のさざめきが鼓膜を揺らす
くらやみが皮膚の上を這ってゆく
すこしずつ
すこしずつ
横たえた腕に、脚に、腹に
しみるようにやってくるさみしさを
君の指先がはらうだろう
おやすみ
人間として夜を往く寄る辺として
僕は今日も哀しみと眠る