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お兄ちゃん、最低。
16歳の誕生日、妹に言われた。
―――「お兄ちゃん、最低。」
「えっ、ごめん、なんで?」
僕は、妹が拗ねている理由が分からず、焦って聞いてみる。
「だって、私のプレゼント嬉しいそうじゃないんだもん。」妹はプイとふくれっ面で横を向いている。
僕としては、このよくわからないブサキモいストラップをもらっても、「おっ、おう……」ぐらいの反応しかできなかった。妹なりに、自信があったのかもしれないが、ちょっと期待に応える大人の対応は未だ僕には、出来ないようだ。
ホールケーキではない、ショートケーキに挿したロウソクに生まれた時刻に合わせて、息を吹きかける。
去年は写真を撮ってくれたのに、その様子はない。
「じゃあ、ほら、俺のスマホのストラップ、これに変えるから?ねっ?」
可愛い妹に媚びを売る事になんの躊躇いもないのは、プライドのない僕の利点の一つだと疑わない。
しかし、
「今さら?本当に最低!」
その瞬間、世界が止まった。