探し物
もう、この部屋にはいられない。
真琴はこの部屋をあとにし、廊下に出た。
似通った石の扉が、無限に並んでいる。今の部屋の向かって正面の扉を開けた。
なぜか雪が降り積もっている。外だ。冷たい雪を乗せた突風が容赦なく
真琴の顔に吹き付ける。顔が痛い。でもここはまだ探していない。
真琴は、今度はスティックについている紅色の宝石を息で吹いた。
宝石から炎の魂が現れた。真琴はそれを素手で掴み、炎の魂の口(火炎発射口)
を雪に向けた。一瞬で雪は溶け、そこらは水でひたされた。
それから、雪を降らしている源を捕まえて炎の魂で溶かし消した。
視界の障害物が消えたところで、真琴はくまなくこの場所を探した。
魂を探した。でもここにはなんの息吹も感じられなかった。
真琴の探すモノは、無かった。
「外れか。」
より一層、真琴の表情が曇った。さっきまでなら、
莢乃が励まして、まあしょうがないとなっていたのだが、今は一人で
起こりくる感情をすべて押し殺し、何事も無かったかのように
すっきりとした顔をして、また旅を続けたのだった。
さっき登場した「魂」を集めることで、ひょんなことから
迷い込んでしまった、この迷宮から抜けられるはずだったのだ。
莢乃と一緒に抜けられるはずだったのだ・・・。
この異世界と表の世界を結んでいたのは、
地面にぽっかりとあいた1つの穴だった。
最初は岩が置いてあって気がつかなかったが、莢乃と2人でどかした。
そしたら穴が開いていた。13歳の子供たちがぎりぎり通り抜けられる穴だ。
真琴と莢乃の家の近くの茂みにあったのだ。
当然のことながら中が気になってしょうがなかった。あの時はそうだった。
今思えば入らない方がゼッタイに幸せに生きていけた。
疲れしかない。人も殺めてしまった。いいことなど何もない。
いずれここで死ぬことになるんだろうな。