ルリレラの鍵
「なあに?もう習得したの?」
あの部屋の少女は大層びっくりしたような声をだして真琴に駆け寄ってきた。
「私が完全習得するには3年かかったのよ!?それをあなたは2時間で!?
すごい秀才なのね!」
なぜかとっても喜ばれた。僕のは身体で覚えるんじゃない。
スティックにつけるだけだからね。
そして少女はやっと晴樹に気がついた。
「あら!新しくもまた美少年登場!?あなたのお仲間??」
真琴に訊く。
「そう。晴樹っていうんだ。紹介遅れたけど、僕は真琴。」
「クフフっ。短い間にこんなに友達ができて嬉しいわ。
私の名前はルリレラっていうの。よろしくね!…あっ、そうだ。はやく
鍵を。はやくここからでたいわ。あなたもはやく魂がほしいでしょう?」
そうだった。鍵を見つければ魂を探す手伝いをしてくれるというので、
引き受けたのだった。
真琴は、こちらの世界に来るときに、魔法をはじく鏡を見分けるため
炎で部屋をいっぱいにしたとき使った紫色の宝石を吹いて
あの時と同じ紫色の半透明のシールドを空中に張り、その中に
晴樹とルリレラを非難させた。そして、真琴は部屋の中央に立ち、
蒼碧色の宝石の魔法を発動させた。宝石の色が、
ちょっとだけルリレラの瞳の色に似ていると思った。
真琴が魔法を放ち続けること約5分。もうそれくらいたっていた。
だが何も変化がない。晴樹は心配そうな瞳で、ルリレラは
ちょっと興味深いような、それでいて緊張しているような瞳で、
それぞれ真琴を見守っていた。
真琴の体力は限界に達していた。汗をたやすことなく流し続け、
したくちびるをかんでいて、そこからは少し血がにじんでいる。
そして髪も乱れ、瞳孔も開いていた。しかめたような顔をして
ずっと耐えながら身体を震わせている。もうそろそろヤバイぞ。
晴樹は確信し、
「昔、学校で習ったんだ。」
そう言って真琴の方にシールドの中から回復魔法を飛ばして応戦していた。
ルリレラはというと、懐からフルートのようなものを取り出し、
きれいな音色で吹き出した。心が洗われるようですごく心地よかった。
そのまま真琴が持ちこたえていると、部屋の隅が暗くだが光が漏れていた。
「そこか。」
真琴は魔法を止めた。ふらふらしながら隅に落ちている小さな光る水晶を
拾い上げて、
「あったぞ。」
そういって鍵をルリレラに渡した直後、よろめき、真琴は後ろにそのまま倒れた。