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2.腐れ仲間にちょっと聞いてみるかー

「おはようー。」


「……………う…」


(お、1文字返ってきたな珍しい。)


連日深夜帰宅の夫から挨拶が返ってきたことに気分良くなりつつ、歯磨きをする。

変な夢を見た上、詳細に覚えていることを訝しみつつ、顔をバシャっと適当に適度に洗う。

今日は金曜日、平日だけど担当授業がない日なので仕事は休みだ。


(今日は溜まった洗濯を片付けて、土日の食材を買いに行って……)


我が家では、私が家事負担を多くする代わりに、家賃負担を軽減する契約だ。洗濯は今日忘れずに済ませたいところ。

平日は朝と夜に挨拶を交わす程度、ご飯も別々、休日は気が向けば一緒に作って食べるまたは外食という、ほぼシェアハウス状態。ご飯作らなきゃとか時間合わせなきゃとか、もろもろのストレスは少なく生活できているように思う。絶対に他人と一緒に暮らせないと思っていた私にとっては、今の生活は精神的にも金銭的にも非常にありがたい。


洗濯の準備をしていると、夫の部屋からアラームが鳴り響く。

そろそろ起きないと仕事に間に合わない時間だ。


「マコトさん、そろそろ起きないと遅刻ですよー。」


「……ん。起きてる……。」


のっそりと動く夫は2歳年上。ビール腹をボヨンと動かしながら、なんとか起き上がった。


(お腹……また育ったかな……そろそろ産まれてもおかしくないレベル……。)


ダイエットしなきゃと、たまに思い出したように呟いているが、とりあえず言葉にしているだけのようだ。健康のためには頑張って欲しいところだが、ポヨポヨのお腹は触り心地がとても良い。

私のBL妄想好みの容姿とはかけ離れていて、結婚しても罪悪感?がないのがさらに良い!


私の腐った趣味にも理解があり、萌え悶えたりして様子がおかしくても、気にせず放置してくれて助かる。

趣味嗜好を完全に理解するなど腐った者同士でも難しい。嫌がったり困ったり怒ったりせず、気にしないで放置してくれることが一番ありがたい。良い夫に拾ってもらえたものだ、ありがたやー。


「時間ヤバイ、行ってきますヤバイ。」


「いってらっしゃいー。」


焦っている夫を送り出し、夢のことを思い出す。


(私みたいなBL脳でも結婚してるんだし、夢の中の異世界もどうして滅びるなんてことになるんだか。まあBL妄想好みの人=自分の恋愛したい人で、それ以外だと妄想も自分が恋愛するのも生理的に無理ってタイプだとどうだろう。自分の恋愛より好みの人同士の妄想をしたくなって、自分なんて後回しです、むしろ壁です、になるとか、あ、なるわ。)


(うーん。夢のことを真剣に考えるのも馬鹿らしいけど、腐れ仲間にちょっと聞いてみるかー。)



「妄想的には20以上とか年の差萌えだけど、自分は5歳上くらいの人がいい。いつもBL好き隠して付き合うから、1年くらいで疲れて別れるを繰り返してるのお前知ってるだろ言わせんな人妻ぁ。てか最近読んだ高校生と40歳リーマンの話が最高すぎた、ちょいユミコ聞け。」


「え、どっちかメガネキャラ?細身長身のクールメガネが居れば、それだけでいい尊い。そういえば私の付き合う人、今まで全部細身のメガネだわウケる。彼氏妄想飽きたら次の彼氏作ってる気がする、うわ今解明した新事実!」


「半ズボン美少年一択!半ズボンが似合わなくなるまで育ったら妄想終了、卒業。現実世界に私の求める美少年なんていないし、法律的にも妄想は二次元に限る。私は一生、美青年を描く作家様へお布施して生きていくし、三次元で恋人などいらん。」


(あ、私の周りアカン人ばっかりやった。)


金曜夜に仕事帰りの友人を集めて久々に飲み会しつつ、BL妄想嗜好と現実での恋人嗜好を聞いてみたが、さすがは類友、ベクトルは違えどみんないい感じに終わってる。ちなみに私は妄想、現実ともに筋肉萌え。筋肉ありき、そこから全ては始まる。なぜか結婚したのは筋肉皆無のポヨポヨくんではあるが。


(このままだと、私含めて誰の赤ちゃんも見れない感じだ!で、夢の世界設定では少なくとも隣国含めこれが女性全員に広がっていると。そりゃヤバイわ。)


「じゃあ、参考までにさ。絶対に結婚しなくては!とか恋人を作らなくては!とか自分に思い込ませるとしたら、どんな方法ある?実は今書いてる小説のネタに使いたくてな。さあ可能な範囲で語ってくれ給えよ。」


尊大に投げかけて見れば、酔いが回った友人たちが思いつくままに話しはじめる。


「現在進行形で焦ってるわ人妻め!親からの言われる以上に、周りが結婚して子ども産んで旦那トークも子育てトークも混じれない、プレッシャーすごい。」


「結婚してる人が多いと、私はミカとは逆にじゃあいいやーってなっちゃう、なってる。前にユカリが結婚すると生活費安くなって助かるって言ってたの聞いて、ちょい結婚願望芽生えた。というわけでお金!」


「そうか、天才か。自分で半ズボン美少年を産んで育てれば……。精子バンクで好みの外見になりそうな……人種を色々試して……。」


「マミさんっ!目がコワイ、戻ってきて!戻ってきてぇー。」



(ふむ。危険な楽しい飲み会を通して得た情報は、それぞれのタイプに合わせて働きかけることかな。)


帰りの電車に揺られながら、軽く目を閉じて考えをまとめる。

ミカみたいに周りのプレッシャーで焦るタイプは後回し、ユミコみたいなリアリストには金銭的なわかりやすい部分でアピール、マミさんレベルの特殊嗜好タイプは嗜好に合わせたメリットの提示あたりか。一番最初に対処できそうなのはユミコタイプだけど……異世界から女神呼び出すくらいだから、結婚したら金一封くらいさすがにやってるか。


(って夢にここまで真剣に考えなくても!まあ久々にみんなと話して楽しかったなー。)


「ただいまー。」


フワフワしながら帰宅して、カバンをポイっと自分の部屋の椅子に投げる。

夫はまだ帰ってないようだ。金曜日だし会社の人と飲んで帰ってくるのだろう、楽しい職場らしく良いことだ。


服を脱ぎながら布団に寝転び、久々に飲んで疲れたのか、私はそのまま眠ってしまった。

前置き長くなりました。次回、異世界戻ります。

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