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88.さあ、やってみよう

「だぁー! もうキッツイ!」


実在するかも怪しい書庫にたどり着き扉が開いたのも、貴重な本を護るのが人ではないものも私にとってはラッキーだった。


だけど運が良いのもそこまで。


「くっ!」

「ラジッ」


ラジが壁まで吹っ飛ばされた。


「此方の攻撃は一切効果がないのに相手からのはダメージをくらうっておかしくない?」


それにこの場所がとにかく狭い。高さはあるけど幅がないため思い切り動けないのは不利だった。


ラジはまだ動けそうだけど相手は死神が持っているような大きな鎌と無数の光る杭やナイフである。燃料切れはどちらかと考えなくても答えは容易に出てしまう。


「しかも神器が一切使えない」


扉が開いた瞬間、神器の声は途絶えた。こうなったら一度戻り対策を考えてから再度トライするのが正解よね。


「俺は、また動けるが」


思案し始めた私にラジが立ち上がりながら剣を構えた。なかなかの負けず嫌いだ。


でもなぁ。どうする私?


「キュッ」

「あら、迷子になんなかった?」


元気な鳴き声を出し後から来たノアが参戦だ。でも助かるけど、やっぱり悩む。


なんとなくノアを目で追っていたら、振り向いたノアと目が合う。


──まさか。


「クルル」


ノアは、ファサリと尾をひと振りさせた。


「ねぇ、ラジ。ラジは私をちょっとは信じる?」

「なんだ急に」


剣をまだ構えたまま、その口調は警戒している。敵だけではなく私にだ。


「ちょっと試したい事があるの。だから剣を鞘におさめて。あ、でもいいわ。もっと離れて外で待機して」


本が欲しいのは、必要なのは私だけだ。ラジはとばっちりである。


「いいや。今度こそ深い怪我するかもしれないし」


なのにラジは私の前に庇うように立った。


「俺が勝手に興味があるだけだ」


なんともない風を装っているけどラジの服は所々無人の武器攻撃のせいで破けている。私も服は同じだ。まぁ深くはないけど傷だらけ。


「なら、後ろにいてよ」


誘ったのは私だ。


「もう。しょうがないな」


頑として私の半歩前から動かない彼に痺れをきらした私は、手を伸ばした。


「何を」


右手をラジの左手に絡ませ貝殻繋ぎをし並んで立つ。


「よし、行くわよ」


飛ばされた体を再度、扉が開いたままの部屋へと足を踏み入れた。


「ユラ」


ラジの問う声に返す。


「死ぬつもりは毛頭ないけど、万が一もあるから先に謝っておく。致命傷になるか、または死ぬかも。だからごめん」


「自ら絶つのではないならいい」


やめてよ。


「冗談キツイわ」


でも、まあ。


「ありがと」


狙いを定めた鎌が私達めがけ振り下ろされた。



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