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81.彼に与えるお仕事は

「おっ、いい冷たさ。そうだ!お前、何やらかしたんだ? いいとこ見過ごしちまったじゃん! 誰も教えてくれないしさー」


いきなり現れたマート君は、矢継ぎ早に喋り出す。おもわず背後にいた粘着質に訊いてみた。


「ねぇ、貴方の仕えてる王子様、普段からこんな感じなの? 女子の集まり並に騒がしいんだけど」


「いえ。おそらくマトリュナス様は救世主様方を信頼しているのかと。私も驚いております」


眼鏡をクイッと上げ粘着質、ナーバスさんが答えた。


「ふーん」


それは良い傾向なのか? とりあえずリラックスしているのは見てもわかる。それよりもこの子だよね。ずっと暗い顔の美少年に飲みなよとカップにたっぷり注いで渡す。


「冷やしたの私じゃないけど美味しいから飲みなさいよ」


受け取らないので、無理矢理手にカップを握らせた。これは重症だな。日にあびた輝く金髪が風で揺れまたひと房、肩から滑り落ちていく。


「あのさ、ラジあたりにでも、さっさと終わらして欲しいとか思ってるんでしょ? だんまりだとわかんないわよ」


「…はい」

「そんな楽、させるわけないじゃない」

「つ!」


やっと顔を上げた彼を見て内心純粋だなと羨ましくなる。


「集中して。あれ、わかる?」


指差した方向は、先程私の素晴らしいコントロールで力を飛ばした場所だ。


「はい」


何の疑問も持たずナウル君は、素直に答えた。


「合格ね」

「え?」


幼さが残る彼は、不思議そうに首を傾げた。くっ、この子も近い将来かなりのモテが到来するに違いない。


「なぁー、何をこそこそ話してるんだ? 俺にも教えろよ」


マート君、メンドクサイ。まぁ他国の王子を邪険にはできないので教えてあげよう。


「あの私の素晴らしい腕で狙い撃ちした場所は枯渇している湖なの」


「だから?」


あーマート君、君は残念脳だ。


「その目、今、馬鹿にしただろ?!」


そういう時の察知能力は高いのね。


「俺は、優れた力はないです」


今日のナウル君は、ネガティブ街道まっしぐら。そんなアナタにお姉様が渇を入れてあげましょう。


「君、水だけでなく地や風の力使えるでしょ? それって普通じゃないわよね。あの煙みたいなのは地の力を操れないと見えないらしいから」


お、探るような視線。少し生気が戻ったかな。


「…俺に何をさせたいんですか?」


勘づいているでしょうに。


「枯渇の改善」

「それで終わりませんよね?」


あーこういう子、部下に欲しい。


「ついでに地の神器の浄化」

「俺が…ですか?」

「そうよ」


演技じゃなくて驚いているようだ。だってねぇ。


「君、そもそも地の血筋ひいてるわよね。周りに聞こえない壁はってるからついでに言うけど、マート君と同じ系列、本当なら王位継承権あるんじゃないの?」


「は?! ユラ!どういう事だよ?!」


大声をあげたのは、ナウル君ではなく、地の国の王子、マトリュナス様。


どうやら彼は、もう一人の兄の存在を知らなかったらしい。




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