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79.ラジの赤面には弱い私

ゴッゴッ


「って」

「…」


屈めと命令し二人の男に加減せず右手をグーにしふりおろせば、鈍い音が二度した。ナウル君は声に出し頭を押さえラジは無言。でも眉間にできたもので痛みはあるのだろう。


「私だって拳骨は痛いわ!」


素手はくらわすほうだってダメージがくるのだ。右手をさすりながら更なる命令を下す。


「ナウル君、まだ体力残ってそうだから飲み物持ってきて。果汁はいってるのがいいな~。あ、水の力も使えるなら冷やしたやつね」


「え、俺がですか?」


「そうよ。何か文句あるわけ? 」


「いっ! わかりましたよ!」


素直に従っていれば、ほっぺた引っ張られなかったのにねー。


「今度は何をしたいんだ」


まだ怒りが収まらないラジに、私は、無言で光の剣を打ち込んだ。なんの驚きもみせないまま、武器で遊ぶなと声なき声が言っている。


「相手して?」


交えた剣の力を一気に抜いた私に怪我をさせないよう彼も力をすぐに消した。その端正な顔の側で甘く囁く。


「勿論、夜じゃなく今、コレでね」


剣の相手よと付け足したが、何を思い出しているのか顔が赤らんだぞ。


可愛いなぁ。


「…俺で遊ぶな」


「だって楽しいじゃない! じゃ、お願いしますー!」


緩い会話とは違い体勢を下げ胴めがけ本気モードで切り込む。


「そうこなくっちゃ!」


彼も私が真面目に相手をして欲しいのだとすぐに気づいたようで、綺麗な受けをしてくれる。


やっぱり凄いわ。戦にプロなんて表現よくないけれど、ラジの動きは無駄がない。無駄がないという事は消耗も最小限だ。


ということは。


「気持ちいい!」


あ、この人今、厭らしい事考えたな。顔がまた赤いんだけど。私の剣よりもつい出した言葉に反応しているラジにちょっとムッとする。だってかなり上達したと思うのよ。勿論、剣の腕が。


一番剣道で痛いのは素人同士のやりあいである。何故か? 防具つけてますよね。でも素人さんだと打ち込んだ場所がずれるわけよ。


当然痛い。腕は真っ赤になる。玄人さんだとなんていうか巧いのよ当て方が。でも星は飛ぶ。もうチカチカするのだ。そして夏のあの防具なんて、自分で自分を昇天させるのか? くらいしんどい。


まぁそれを越えると楽しいんだけど。ようはですね。


「ラジだと安心して剣ふりまわせる」


ギチギチという嫌な音の中、この安心感を伝えたら、綺麗な瞳が一瞬見開いた後。


「──そうか」


細めた彼に、綻んだ口許にくらりとした。そんな彼をみて思う。


もう絶対一緒に夜を過ごさないと。


軽い気持ちで流れでしていい相手じゃない。きっとラジは優しいから傷つけてしまう。


「まだよ!」


ごちゃごちゃ考える脳を切りかえるように私は、ラジに1度くらいは、神器の力を使わず尻もちをつかしてやると剣を振り上げた。



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