73.選択肢をあげましょう
「ユラ様、俺は」
ナウル君に目でそれ以上何も言うなと伝える。
「ナウル君、君とは明日話そうか。しっかし合計8人となると結構いるわね。人気者なのかな私。あ、それで、その転がってる三人怪我を治して動けないよう縛ってもらえる?」
「なんで俺様がそんな事しなきゃいけないんだよ!」
「だって火は最近出番ないから暇しているでしょ? あ、言い方が悪いかしら。お手すきですか?」
風が素直に転がる三人になにやら手を触れ呟くなか火の少年は、ご機嫌斜めなご様子で丁寧に言いなおせば、さらに文句がでた。
『縛ってから起こそう。早くやろうよ』
まさかの、おとなしい風が火に指示をしている!
『しゃーねーな』
しかも、火は従っているし。
風は猛獣使い?
どちらかというと火が風をいじり倒しそうだと思っていただけにちょっと驚いた。
そうだ、これが終わったら神器達とも話す時間を設けてみようかな。文句を言いながらも手際よくこなす神器達を眺めながら思った。
「よし、じゃあ改めてゆらと申します。よろしくー」
「…こんなふざけた事しやがって。さっさと殺れよ」
どうやら生意気なお子様がいらっしゃるようだ。縛られている3人のうちの若い男が早々に怒り出した。私が言うのもなんだけど送ってくる人の人選ミスじゃないかしら。
「いっておくけど主導権は私にあるから」
私は、縛られた三人と優雅に佇む者やかったるそうに椅子に座る皆さんの目をみていき。
「これから言う3つの内のどれか選んで。1、直ぐに帰宅。2、私に寝返る。3、戦い勝つ」
「その戦いとは?」
風紀委員長みたいな男から質問されたので、説明しよう。
「ラジかリアンヌさんと戦ってもらう。勿論私でもいいわよ」
「あんたが?」
あっバカにしたわね。ペナルティ1つと縛り付けたうちの一人にカウントする。
「貴方達は、国の為にこの仕事しているの?ああ、 誰かを人質にとられている場合もあるか。あとは、単に好きだから?」
私は、腰の武器を外すしながら大きく、ようは直ぐに戦えるような形にする。
「殺しのプロ達からみたら私は、まだまだ隙だらけかもね。でもね、こっちは本気なんだよ」
武器を床に突けば、鈍い音。
「私は、生きたい。生きて必ず帰る」
ペナルティを追加した男に尖った小さな刃がついた先を向けた。
「この気持ちは、誰にも負ける気がしない」
皆は、いいじゃない。国は違えど世界は同じ。私なんて、いる場所が違うんだから。そのおかげで最近は、寝る時には武器が側にないと落ち着いて眠る事ができなくなった。
「さあ、選んで?」
諦め帰るか私の影になるか。または、やりあうか。
選ばせてあげる。