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6.神の戯れ

『声に出さずとも思えば分かる』


そう言われたので、聞きたい事を思う。

私が聞きたい事というか、願いは単純だ。


帰りたい。

ただそれだけ。

あとついでにこのオルゴールと指輪について。


『そなたが来たのは我々には関係ない。だが、我々が唯一気に入った者の気が残るそれと神官共が喚んだのが重なり偶然こちらに来たのだろう』


指輪とオルゴールを顎で示す。


『無理に召喚の術を使うと空間が歪み物を希に引き寄せまた引き込む』


指輪は、分かった。

神様に関係ないのも分かる。

でも、神と、この世界のトップを名乗るくらいの方なら出来ないんですか?


『最後に遊ぶのも一興か』


何?

背筋がザワザワする。


『娘、この世界には、地・水・火・風・光・闇の力を宿した物がある。それぞれ各王が所持しているが、今それらはくだらない欲で穢れた』


何を突然?


「意味が」


『それを手にし穢れを祓う事ができたならば、お前を帰してやってもいい。その穢れも祓えればこの世界も安定するだろう。我らは、既にこの世界を捨てようとしているが、ソレが珍しくヒトになつき、お前に興味がわいた』


男性、冬の神は私の肩に乗っているノアを指差しす。


『どうする?』

「…やります」


帰るチャンスがあるならそれを選択するしかない。


『何も持たぬお前には情けをやろう』


そう聞こえた瞬間。


ザァー


恐らく噴水の水が吹き上がって円柱の周りを囲む。それは、徐々に丸い球体になり私の前に浮いている。


『手を出せ』


その声に恐る恐る受け止める様に手のひらを上にし両手を出すと。


パシャンー


球体は崩れ、左手首に巻きつき、水が下に落ちた。手首を見ると白く微かに光る腕輪がはまっていた。


『それは、先日戦で滅んだ国の物、光だ。使い方はあの赤い魔法使いに聞け。どうやらお前を探しにきたようだ』


風とともに銀の粉雪が冬の神の周りに発生し姿が見えなくなっていく。


『エレールに会え』


最後にそう言い冬の神は銀の粉雪と共に消えた。


「ユラ様!」


ぼんやり立っていた私の前に、怒りを露にした若者、ラジウスさんが、大きな狼もどきに乗りそのまま円柱へ降り立った。


「あなたは何をやっているんですか?! 仰って頂ければ、ここにお連れしたのに、こんな危険な真似をし寒空のなかそのような格好で死にたいんですか?!」


近寄ってきた彼がマントを外し私にバサリとかけた。


「確かに、乗せてもらったら楽だったなぁ」


今気づいた。


「冬の神に会われましたか?」

「はい…あれ?」


ラジウスさんに問われ、ふと気づく。

つい先程まで会っていたのに。


私は、冬の神ラナールの顔をまったく思い出せなかった。


覚えているのは、ノアの瞳と同じグレーの目だけ。ブルッと身体が震えた。


「寒いですか?」

「…いいえ」


見えない先を思い震えた。

これからの貴方には赤色なのだろうけど。

リアンヌさんの言葉がふと浮かんだ。







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