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57.次の行き先は

「睡眠はとれたけれど」


自分を見れば、寝たときと変わらない。でもこの怠さは夢ではなかったと教えてくれている。


「…最低だ」


あの嫌な夢は、ラジのお陰でみなかった。というか途中から記憶がない。


「あれ? ノア?」

「フン」


いつも起きたら飛びついてくるはずのノアは、家具の上にいてそっぽを向いていた。鼻息の返事といい機嫌がとても悪い。


「悪かったわよ。でも私だって普段は軽くないのよ! 本当に!」


こりゃあ駄目だわ。冷たい視線を受けなんだか悲しくなった。というかノア昨日ずっといた? みられていた?


「かなり恥ずかしいわ」


二度寝しようかな。そんな逃避をしようとしたらドアがノックされ、リアンヌさんが呼びにきてくれたので慌てて着替えた。準備をしながらも、頭を悩ませていた。


「…ラジと気まずいな」




※ ※ ※



そんな気持ちは杞憂だった。


私を見る顔はいつもと同じがそれ以上にアッサリしている。


「他に何かあるか?」


慣れてたもんなぁ。


まあ、そうだよね。本人は顔にある傷といい周囲から怖がられていると思っているんだろうけどとても見目よろしい。それに一見無表情だけど気を許せばとても面倒見がよい。


「大丈夫か?」

「うわっ」


顔面アップのラジの顔についのけ反り椅子から落ちそうになった私を見て彼の眉間にシワが増えた。


使えない部下をみるような視線にやはりあれは、昨夜のコトは私の妄想だったのかもしれない。


「ユラ?」


しっかりしないと!


「ごめん。片割れの神器は見つかってないって事だよね?」

「ああ」


ラジとの会話中にリアンヌさんからもっともな質問を受けた。


「ユラ様は、神器と距離が近ければ、やり取りが可能のように見受けられましたが」


そう。実はかなり深刻なのだ。どうしてよいかわからない。


「今、全く神器達の声が聞こえないんです。地下で気を失う前に光からの声は聞こえたけれど、その時に既に繋がりが悪くて。その時は夢中だったから気にとめてなかったんですが」


「なら、どうせ暫くこの国は出入りが多くなるし援助する隊がやってくるからいても混乱するよな。早めに一度ミュランに戻るんだろう? 帰り寄り道していくのはどうだ?」


リューさんが提案してきたけど、何処に?


「聖域ジュノールだ。嬢ちゃんはまあ知らないだろうが有名な場所さ」


「よいかもしれません。冬の神と春の神がまだ二人になる前にいたという場所ですね」


リアンヌさんが私をみてにっこり。


「水が豊富なのでタップリの湯につかれますよ」


私はその言葉に文句なしに賛成をした。


「行く! 行きます! お風呂!しかもたっぷりなんて!」


暫く身体を拭うか、小さな器のぬるま湯で濡らす生活は風呂好きの私には贅沢とわかりつつ物足りない気持ちでいっぱいだったのだ。


「嬢ちゃん乗る気だし決まりだな」


私は、見つかるまで探したかったが必ず渡すと新女王、メルベ様に言われて神器の探索をお願いしこの場を離れる事にした。その場所で会わないはずの人物が現れるのだが。


ドアベルがなりスフィー君が、なにやら色鮮やかな果物を抱えて入ってきた。


「おはようございます。メルベ様からですが、特に一部の女性に人気だから持っていくように言われて」


「いっ、何するんですか!」


何に効果があるのか、彼の視線でわかった。横のナウル君が可笑しそうに笑ったので肘を脇腹にくらわした。ボインのメルベ様にもらって素直に喜べない。でも。


「どうやって食べるの?」


だって。

あそこまでいかなくても、ある程度欲しいんだもの。皆の微妙な視線を無視しナイスボディになるべく果物に手を伸ばした。

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