48.リューside
ガザガザ ガサガサ
ズリッズリッ
「朝か夜かもわかんねぇなぁ…」
ガサガサ
「なぁ、少し静かになんないのかね」
ただでさえ鎖で宙吊りにされているっていうのに足元では常に動き回る音が絶えることなく続いている。
「いくら生き返っても、これだけは御免だぜ」
わずかな灯りの中、もはや人とは呼べないような者達が目的もなく這いずり、時にぶつかり合い金切り声をあげている。
それだけではない。
少し離れた先には。
「…ミュリ」
ひときわ高い台の上には、変わり果てながらも面影を残す姿が球体の中で浮いていた。
「なぁ、起きろよ」
反応はない。
かたく閉じられたままの瞼。
得体の知れない液体が満たされている器の中にいるミュリから時折出る泡で生きていることだけは分かる。
ギャッギャッ!
かつて人だった者達が怯えの声を発した。
あの爺さんのお出ましか。
分かりやすくて助かるぜ。
「どれ、休めたかね?」
枯れ枝のような老人がほどなくして姿をみせた。
「ほう。生きがいい」
「とんでもない。疲れきってるさ」
「いやいや、なかなかのもんだ」
アンタもな。
干からびた姿にまんまと騙されたぜ。
「あの水の娘には、よい刺激になっているから助かるのぉ。もう使えないと残念に思っていたので丁度よかった。どれ、また声を思い切り出してもらうとしようかね」
外見に似合わず、若く弾むような声に嫌悪感が増し体力の消耗だと思いながらも声をださずにはいられない。
「けっ! 気色の悪いジジイだぜ」
「ほっほっ。今度は、いつまでもつかのう」
あー。
ラジ。
俺…やべぇわ。