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23.自覚した私

「どうして!」


私は両国の兵を凍らせる前に皆の魔力を吸いとり体内に蓄えた。


前に赤い髪の魔法使いシルビアさんが、私を見て魔力が全くない、空っぽだと言ったのを思いだし、ならば他者の魔力を身体に溜めるのは可能なのか試した。


実験した限りでは、おそらくだけど溜めれる量は無限だ。ただし、長時間体内に留めるのはできないようで数時間が限界。あとは加減がもう恐ろしいが勘と光に頼るしかない!


全部吸いとると吸いとられた生物は死んでしまうので動けなくなるくらいが理想だ。膨大な魔力は、神器にも影響しより強い力を引き出せる。


だから、足は元に戻ると勝手に思いこんでいた。


混乱している私の隣には、人に変化した光が立っていた。冷静な無表情の光に思わずムカつき私は、光の襟首を引っ張り揺らし怒鳴った。


「膨大な魔力があれば治癒も可能だって言ってたじゃない!」


『他のヒトは、人数は多かったですが、凍らせ、生命活動を一時停止させていただけなので力さえあればそれほど難しくはありませんが、無くなった部位を造るのは難しい。その為、生命が維持できただけでも良かったと思いますが』


初めて光との距離を感じた。


私は掴んでいた襟首から手を離した。

神器は神様達と似ている。良く言えば冷静で、悪く言えば情があまりない。


ああ、今はそんなのどうでもいい。

横たわった、まだ目を覚まさないリューナットさんを見下ろす。


嫌‥絶対嫌だ。

諦めたくない。


何?


突然、右手に何かが触れた。

視線を右に移動させると、私の右側には、いつからいたのか5、6歳くらいの緑の髪の男の子がいた。その男の子は、私の薬指にはまっている指輪を触っていた。


男の子が顔を上げた。目が合った瞳も緑だ。

顔色が悪く元気がなさそう。男の子は私にささやくような声で話しかけてきた。


『この石、凄く強いからその人の足、元に戻せるよ。ただ石の力開放させると指輪ごと消えるけど』


『この子は風です。風は治癒に優れ、またそれに関しての知識は計り知れないほどです』


光がこの緑髪の少年は、風の神器だと教えてくれた。私は指輪を見た。地金はピンクゴールドで中央にはハートの形のピンクトルマリンが一粒。いや、そんな力があるなんて、トルマリンじゃないのかも。


この指輪は、元彼からの誕生日プレゼントだった。



私は、本当はピンクゴールドもピンクの石やハートの形もまったく好みじゃなかった。


なんだ!こんな物で治るならお安いじゃない!


そう思いすぐ指輪に指先で触れ指から外そうとしたけど、途中で手が止まった。この指輪は、唯一私が身につけていた物だった。小指には指輪がはまっているけど、元々はこちらの世界の物だ。


自分の世界と唯一繋がる存在。

ううん、違う。


私は、この自分には全く似合わない指輪をくれた、付き合っているのにもかかわらず他の女の子に平気で手を出す駄目男が、とても好きだったことに今更ながら気づいてしまった。


ホント馬鹿な私。



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