偽の家族と思い出たち
僕――百坂冬花は、高校三年の九月中旬、幼いころからの夢であり目標にしていた会社である<家族構成促進機構>通称FSFOに入社が決まった。
縛られていた縄から解き放たれ、残りの学校生活を有意義に過ごそうと心に誓った矢先、一件の着信と共に明日からの仕事導入が伝えられる。
学業に支障はきたさないと保障され了承はしたものの、心の準備ができておらず、自分に自信が持てなかった。
翌日、目標であるスタート地点に足を運ばせているにも関わらず、その足は重く、終始鼓動は足早に鳴り続けた。
職場に着き、配属される部署に案内される。
道中受けた説明によると、配属先は派遣専門の部署で、神埼かんなという班長が指揮をとる神埼班である。
派遣部署とは、お客様からの要望に応じた人材を、依頼された家庭に家族として派遣させる――FSFOの主な役割を担っている――部署となっている。
その依頼の内容はさまざまで、親族間での行事代行をはじめ、孫や娘を持てなかった方からの派遣依頼、家族を失った方の心の穴の埋め合わせ。家族からの愛情を受けることができなかった方への愛情提供、思い出作り諸々である。
一通り説明を終えた案内役の女性は一つの扉の前で足を止めた。
扉の傍らには、派遣部署神埼班と書かれた看板が添えられており、目的の場所なのだと一目で理解した。
ここから僕と家族の新たな思い出が始まる。
縛られていた縄から解き放たれ、残りの学校生活を有意義に過ごそうと心に誓った矢先、一件の着信と共に明日からの仕事導入が伝えられる。
学業に支障はきたさないと保障され了承はしたものの、心の準備ができておらず、自分に自信が持てなかった。
翌日、目標であるスタート地点に足を運ばせているにも関わらず、その足は重く、終始鼓動は足早に鳴り続けた。
職場に着き、配属される部署に案内される。
道中受けた説明によると、配属先は派遣専門の部署で、神埼かんなという班長が指揮をとる神埼班である。
派遣部署とは、お客様からの要望に応じた人材を、依頼された家庭に家族として派遣させる――FSFOの主な役割を担っている――部署となっている。
その依頼の内容はさまざまで、親族間での行事代行をはじめ、孫や娘を持てなかった方からの派遣依頼、家族を失った方の心の穴の埋め合わせ。家族からの愛情を受けることができなかった方への愛情提供、思い出作り諸々である。
一通り説明を終えた案内役の女性は一つの扉の前で足を止めた。
扉の傍らには、派遣部署神埼班と書かれた看板が添えられており、目的の場所なのだと一目で理解した。
ここから僕と家族の新たな思い出が始まる。
プロローグ
2016/09/10 22:01