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雪月姫  作者: 宴帝祭白松兎
第一章 転入篇
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第一章 第一話

足りな表現の補充と場面の移り変わりにアスタリスクを打ちました。4月16日

 静まり帰る真夜中の住宅街。空は薄い雲に覆われていて時々雲の間から月が姿を現している。今は真夏で体感温度は摂氏20度を超えているにもかかわらず、奇妙なことに空からは粉雪が降り注いでいる。


 物音ひとつしない大通りを歩く一人の少女がいる。彼女の名前は羽飛雪奈はねとびせつな。ショートパンツに灰色のパーカーと夏にしては着こんでいる彼女はパーカーのフードを深くかぶっているせいか顔がよく見えない。けれど、フードを深くかぶっても隠し切れない透き通るような白い肌と街灯の光を反射して輝く唇、艶々でまとまりのある長い黒髪は彼女がまさに妖艶な女であることを示している。しかし、どんな人であろうと自ら彼女に近づこうとはしないだろう。なぜなら、首にはヘッドホンを背中には鞘に収めていない大剣をそのまま背負っている彼女からは絶え間なく殺気の様なものが感じられるからだ。


 雪奈の目的は今しがた到着した目の前のコンビニで夜食を買うことだ。故に数分後には冷や汗をかく店員に目もくれずコンビニを出ていた。


 そして、帰路についてすぐのこと。どこからか女性の叫び声が聞こえる。


 「助けてください!」


 すぐ側からだ。

 その瞬間。すぐにフードを外し大剣の持ち手を握りしめ辺りを警戒する。


 慎重にあたりを見回すと4,5キロ先の民家で家事が起きているのが視界に入った。声の主はその家の前で膝をついている少女だろう。彼女は蒼白な表情で燃える家を見つめていた。きっと中に大切な人がいるに違いない。


 だが普通、その火事の様子が見えるのも少女の声が聞こえるのもあり得ない。言うまでもないが、距離が遠すぎる。しかし、事実。彼女の声は雪奈に届き、雪奈の視界には火事の様子が捉えられている。

 雪奈の視力の良さは生まれ持ってのものだが少女のは違う。おそらく音を操る異能だろう。


 異能とはその言葉のとおり優れた能力を示す。体内のマナと呼ばれる力の源を消費することですべての人が十人十色の異能を発揮する。


 「無駄なことを」


 そう吐き捨てると燃えている民家を背に再び帰路に着いた。


 なぜ無駄か。その理由は二つ。第一に4,5キロ先の通行人に声をかけたところですぐに助けに行けるだろうか。おそらく家が全焼するほうが先だろう。

 第二に世間はそんなに優しくない。見知らぬ誰かのために身を投げて助けに行くものなど、この世にはいないのだ。仮にそのような人がいて家の中に飛び込んでいったなら、そいつが助けるのは人ではなく財産のほうだろう。それくらい人より金が重視される世の中なのだ。


 一応述べるなら雪奈が助けに行かない理由は後者だ。彼女は空間を自由自在に操作できる異能が使える。だから、やろうと思えば誰よりも確実に少女の期待に応えられるだろう。例え異能を使わないにしても彼女の身体能力ならば2分走れば確実に到着できる。しかし雪奈にそんな義理も慈悲もない。そこで至った結論が先ほどの言葉なのだ。


 けれど雪奈がそう結論づけたところで少女の声は止むわけはない。現に今も悲鳴にも似た甲高いこえが町中に響きわたっているのだから。


 「お願いします!」

 「不快だ」


 雪奈は小さく吐き捨て、顔を歪ませると耳栓代わりにヘッドフォンをかけた。だが、なおも少女の声は雪奈の鼓膜を揺らし続ける。


 「誰でも構いません! 報酬もちゃんと用意します」

 「はぁ……」


 防音性能が悪いヘッドフォンにため息をこぼすと、なるべく聞かないように歩き続けた。


 先ほど見た様子ではもってあと10分だろう。それまでの辛抱だ。


 自分に言い聞かせ歩みを早める雪奈。


 雪奈は助けたいと思う慈悲を持ち合わせていないが、だからと言って人が焼ける様を想像して何も感じないほど無慈悲にはできていない。


 そんな雪奈を攻めるようになおも声は響き続ける。


 「中に姉がいるんです! 何でもしますから助けてください!」


 そう言った途端、状況が一変する。先ほどまでの静寂が嘘のように大勢の人が彼女の元へと集い始めた。


 「終わったな」


 この世界で頼みごとをする際に決して口にしてはいけない言葉がある。それはなんでもする。という言葉だ。


 それを言うと、異能を使ってしもべを作る奴隷制度が法律で認められているこの場所では確実に奴隷にさせられる。正確には契約書にサインと拇印を求められるだけだ。しかし、それだけで絶対服従の奴隷となる。


 それは契約の異能と呼ばれる異能で、この世界ではよく耳にする。そうして奴隷にした人間には何をさせてもいいし殺しても罪にはならない。そうして奴隷にされた人間は主に人身売買で売り飛ばされる。それからはまともな生活が待っていないのは言うまでもない。


 おそらく集まって来た連中は全員人身売買で稼いでいる輩だろう。その言葉が出てくるまで待っていたのだ。


 雪奈は気の毒に思うが相変わらず助けに行こうとは思わなかった。これでようやく静かな夜が戻ってきたのだ。しかも自分から勝手に。なら、今さらそれを手放すのも雪奈には気が引けたのだ。


 故に振り返ることもせず、無意味だったヘッドフォンを再び首に掛けた。もう彼女の声を聴くことはない。そう思ったからだ。

 しかし。


 「はい。私は中にいる姉と二人暮らしです」


 少女の声は未だに聞こえる。どうやら、異能を使っていることすら忘れているようだ。それほど焦るのも無理はない。家族構成を聞く暇があるなら早く姉を助けてほしいのだろう。


 そんな少女の思いとは裏腹にそれを聞いた数人がつまらない様子で帰っていく。獲物を駆け出しの同業者に譲ったのだろう。


 そんなことはでもいい。それよりも気になったのは姉と二人暮らしのほうだ。しかし、それもこの世界では大して珍しことではない。現に雪奈も5年前まで姉と二人暮らしだったのだから。でも、だからこそ放ってはおけない。少女の気持ちが痛いくらいわかってしまうから。


 雪奈は既に走り出していた。


 走る車など一台もいない車道を無我夢中で駆ける雪奈。脳裏には最後に見た姉の姿が浮かび上がっていた。



 辺り一面火の海の中、地面に這いつくばっている雪奈。その視線の先には血まみれの刀を振りかざす男とその男に背を向け雪奈をかばうように立ちふさがる姉。

 そして、次の瞬間。刀は一瞬のためらいもなく振り下ろされ、姉の体を貫いていた。


 「おねぇちゃん!!」


 姉は膝から崩れ落ちた。


 姉の頭を抱えて涙をこぼす雪奈に姉は最後に告げる。


 「雪奈、強くなりなさい。どんな不条理にも負けないように……」



 雪奈にとって姉は何物にも代えられない存在だった。たとえ、世界の全てを天秤に乗せたとしても絶対に釣り合わないほど。無論、自分を含めた全てだ。

 

 雪奈は全力で走った。

 あの日、姉を救えなかった弱い自分と死する姉を目の前に泣き叫ぶことしかできない少女とを重ながら。


 雪奈が焼けている民家の前に着くと遅れて届く風が雪奈の黒髪と粉雪を舞い上げる。その瞬間に雲の切れ目から姿を出した月が雪奈を照らし出すその様は宛ら雪月花。


 粉雪が降り注ぐ中、月に照らされ闇夜に浮かぶ妖艶の美女にその場にいた誰もが目を奪われた。膝を地につけ助けを待ち望んでいる少女でさえ。


 雪奈は背負っていた大剣を片手で構えると辺りを見渡す。

 幸い、少女はまだサインもしていない様だ。


 契約の異能は能力者を殺すもしくは、契約書を燃やす又は斬り刻むなどすれば解除される。だが、今回はその必要もない様だ。


 「姉は、どこ?」

 「え? あ、はい。二階の電気がついている部屋です」


 少女は雪奈に見とれていて、夢うつつの様子だ。

 すぐに民家へと視線を移す雪奈。明かりの灯っている部屋は二階に一部屋しかなくすぐにわかったのだが、肝心の少女の姉らしき人影がない。


 「あ、姉は先ほど急に倒れてしまいました」


 ようやく夢うつつから覚めた少女は雪奈ではなく家を見ている。


 雪奈は大剣の先端を家に向けると、窓を見つめたまま微動だにしない。そして一息吐き出すとゆっくりと大剣を動かし始める。

 大剣はおそらく少女の姉が倒れているであろう空間を模るように移動する。すると大剣が動いた道筋にそって家に切り込みが入っていく。そのまま長方形に切り取られた空間は切り取られた瞬間に雪奈の真横へと移動していた。


 雪奈が模った空間と自分の真横の空間を入れ替えたのだ。


 突然一部が抜き取られた家は大きな音と火花を上げて崩れ落ちた。


 切り取った空間に視線を逸らす雪奈。


 少女の姉は切り取られた空間の中でクローゼットに押しつぶされ、意識を失っていた。幸運にも火は模った空間に燃え移っていなかった。

 雪奈は大剣を背負いなおすとクローゼットを軽く蹴り上げる。すると、クローゼットはものすごい勢いで縦回転しながら真上に飛んで行った。

 その隙に少女の姉を抱き上げて少女の真横に寝かせた。雪奈はそのあと頭上十数メートル上を飛んでいるクローゼットを見上げた。それだけのはずだが、クローゼットは蹴り上げられる前の位置に戻っていた。


 「あとは自分でやれ」

 「は、はい。ありがとうございます」


 少女は気が抜けたのか緩んでいる頬に涙が伝った。


 「報酬はいらない」

 「え? ですが——」


 少女は何か言いたかったようだが雪奈は気にせず駆けだした。

 

 もう雪奈は見えない。

 その場には家が焼ける音だけが響いていた。

 


   *   1   *



 翌日の朝。

 雪奈はとある私立高校の制服に袖を通していた。今日から私立の高校に通うことになっているのだ。新入生ではなく転入生として。

 故に面倒ではあるが朝早く起き、身支度を済ませ家を出た。当然、背中には大剣を首にはヘッドホンをかけている。


 真夏なだけあって朝でも日差しが暑い。特に今日のような雲一つない日本晴れの日ならなおのことだ。


 ジメジメとした空気がうっとうしい。少し動くだけで汗をかいてしまうし、髪が肌にくっつくのも気持ちが悪い。


 「はぁ……不快だ」

 

 朝から暑さでうな垂れながら高校までの坂道を上っている雪奈。

 

 「なぁ、知ってるか? 昨日の雪月花の魔女の話」


 前を歩いている二人の男子高校生の会話が耳に入ってきた。


 「ああ、知ってる。あれだろ? 火事が起きた民家をこっぱ微塵にしたっていうこの世界唯一の空間操作系異能保持者で超美人の話だろ?」

 「そうそう。異能のほうも珍しいけど、俺は本人の姿を一目でいいから見てみてぇーよー」


 くだらない。よくもまぁそんなくだらないことでいちいち一喜一憂できるな。


 「不快だ」


 雪奈は小さくつぶやくと歩くスピードを上げ、学校に向かった。



 はじめて学校というものに入って多少戸惑った様子の雪奈だったが周りの生徒の笑顔を見て安堵の表情を浮かべた。

 良かった。こんな連中ならいくら束になろうと負けることはない。っと。

 そんな転入生らしからぬ思いを胸に職員室へと歩き出す。


 にしても、あの話は昨日の夜中の話だ。情報が伝わるのが早すぎる。


 その不自然さを腕を組みながら考える雪奈。その姿でさえ廊下を歩く生徒全員の視線を集めることができたりする。本人は全く気にしていないようだがそれくらい美少女なのだ。


 そんな雪奈が向かっているのは職員室だ。すべてが初体験で右も左もわからないが、校内にある案内板を頼りになんとか職員室にたどり着くことができた。


 「失礼します」


 職員室のドアを開き中へと入っていく。すると、一人の男性教諭が目を輝かせて手招きしている。多少の不快感を覚えたものの無言で歩み寄る雪奈。


 「おう、お前が羽飛咲夜はねとびさくやの妹、羽飛雪奈だな? 美人なところもそっくりだ」

 「……そうですか」

 

 ここは6年前、雪奈の姉である咲夜が1年と少しの間通っていた学校だ。雪奈がこの高校に来たのもそれが理由だったりする。


 「懐かしいなぁ。俺のこと咲夜から聞いてないか? 6年前、咲夜は高1だったからお前と咲夜は5つ違いでいいんだよな? どうだ学校は? 馴染めそうか? 不安なことはないか?」

 「……不快だ」


 初対面からなれなれしく質問攻めしてくる教諭に思わず口が滑った。


 「え?」


 教師のそれは「え?」というよりも「あ?」に近い感じの「え?」だ。


 「すいません。嘘です」


 しまった。つい心にもない謝罪を。


 明らかに感情が込められていない声音からも感じ取れるようにその謝罪に反省の意全く持ってない。


 「いや、隠さなていいよ。咲夜もそうだったからな。あいつさ、俺がなんか頼む度に不快だとか言ってあのいつも持ってる長い太刀を抜こうとするのな。でも、まさかここまで似てるとは」


 男性教諭はこの姉妹を根本的に理解していた様だ。気にしていない様子で笑っている。 


 なんだ。じゃあなんで私は謝ったんだ?


 「そうですか」

 「気づいているとは思うけど俺、咲夜の担任だったんだよ。で雪奈の担任にもなる上田だ。いやー。久しぶりにテンション上がるなー」

 

 こいつ、うざいな。


 雪奈にはさきほどの無駄な謝罪といい、担任の妙に高いテンションといい、不快になる要素が多いらしい。故に雪奈の顔色があからさまに悪くなる。だがそんなことわかるわけがない担任の教諭は嬉しそうに続ける。


 「咲夜のやつ、急に学校やめちまうし最近連絡寄越さないし、元気なのか? あいつ」

 「いいえ」


 教諭の顔は一瞬で暗くなった。


 「……そっか。悪かったな」

 「いいえ」


 特に気に障ったように返したわけでもないが教諭はそれ以上詮索することはなかった。


 「よし。じゃあ、そろそろ行くか」


 教諭は仕切り直して言い放つと、席を立った。そして、そのまま廊下に向かって歩き出す。


 「どうした? 行くぞ」

 「は? はい」


 まさか自分も一緒に行くとは思って雪奈は戸惑いながらも立ち上がり後を追った。


 

 しばらく廊下を歩いた後、上田がある教室の前で立ち止まり振り返った。


 「2年4組。ここが今日からお前の居場所だ。大変だろうができるだけたくさんの青春を取り戻せよ」


 歯がちらっと見えるように笑った。雪奈が無言で学級表札に視線を逸らしたのはおそらく不快だったからだろう。


 教諭はドアを開き入っていく。


 雪奈が教諭の後に続き教室に入ったその途端、大音量の歓喜とわめき声で教室が埋め尽くされる。それらは耳を塞がずにはいられないほどの音量だ。


 うるさ。


 無駄に響く甲高い音に頭が痛くなる。小さく不快だと呟いてみたがやはり誰にも届かなかった様だ。


 「転校生が美人でうれしいのはわかるが静かにしろ。怒られるのは俺なんだから」

 

 生徒を静かにさせると上田はチョークを手の平に乗せ、それを取るように促す。しかし、こういった教養を全く持たない雪奈にはそれが何でどうするものかわからない。

 雪奈はチョークをつまんだまま、ただただ戸惑っていった。


 「チョークも知らないのか。まぁ無理もないか」


 小さく呟いた上田はどうすることもできず立ち尽くしている雪奈のため別のチョークを手に取り、羽飛と書いた。そして、雪奈のほうを見て顎を振った。そこでようやく理解した雪奈は続きを書く。


 雪奈は別に頭が悪いわけではない。学校に来たことがないだけで既に高校を卒業できるレベルの学力は備わっているのだ。国語と英語、近代史と倫理だけだが。


 「じゃあ自己紹介を頼む」

 「羽飛雪奈」


 雪奈はこれ以上ないほど簡単でシンプルな自己紹介をした。言うまでもないが当然本人はこれで自己紹介を済ませたと思っている。しかし、クラスメイトはおろか担任である上田ですら続きを待っている。


 沈黙が場を支配する。

 話を進めない司会を不思議に思った雪奈は上田に視線を逸らす。


 「……もしかして、終わりか?」

 「はい」

 「も、もうちょっとなんかないのか? よろしくとか」


 めんどくさ。


 「……じゃあ、よろしくお願いしま——」


 雪奈は会釈程度に頭を下げてから言ったのだが、言い終わる前にまたしても大音量のわめき声が上がった。


 「めっちゃクールじゃん!!」

 「しかも美人!」


 だからうるさいって。


 「はぁ……不快だ」

 

 耳を塞ぎながら小さく呟く。だがやはり誰にも届かないので試しに誰か一人、切り捨てれば静かになるのではないか? っと本気で思ったりした。


 「このように羽飛は学校という環境に不慣れだからみんな仲良くしてやってな」


 この教師にそういわれると腹が立つ。けど、それ以上に言い返せないのが余計イラッとくるな。


 「羽飛の席はあそこな」


 上田が指をさした席は窓側の一番後ろだ。


 うわ。出にくいな。

 

 かといって抗議できるわけもなくおとなしく席に向かった。 

 その途中、ふと視界に入った三つ編みツインテールの眼鏡をかけた少女。


 どこかでみたような……


 どこで出会った誰なのかは思い出せない。だが確実に一度は言葉を交わしてる。気にはなったが足を止めることもなく席に着いた。


 まあいいか。席は目の前だしそのうち嫌でも思い出すだろう。


 そう思った雪奈だがその、そのうちとやらはもう既に目の前にあった。

 

 「昨日は本当にありがとうございました」


 眼鏡少女が振り言った。


 「は? なんのこと?」

 「とぼけないでよ。雪月花の魔女さん」


 何で知ってるのかはさておき、その呼び方はやめてほしいんだけど。気持ち悪い。


 しかし、その呼び名は雪奈が想像していたよりもずっと浸透しているようだ。上田を含めたクラス全員が驚きの表情をうかべながら雪奈を見つめている。


 どこの誰かは知らないけど余計なことを。目立つのは嫌いなんだ。はぁ……ついてない。どうしてくれようか?


 「はぁ……不快だ」

 「え? ほ、ほんとに覚えてないの? あっ。ならこれでどう?」


 不機嫌極まりない雪奈の鋭い視線に怯えながらも三つ編みをほどき、眼鏡をはずす眼鏡少女。その姿は雪奈が昨日助けた少女そのものだった。

 

 「で? だからなに?」 

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