え? 妹もこのゲームするの?
二話目書いちゃいました。かなり短めでつまんないですがどうぞ。
「お届けものでーす」
インターホンが鳴り、玄関の外から宅配業者の方の声が聞こえる。
今日は「NOO」を注文してから一ヶ月がたった10月30日だ。この日をかなり楽しみにしていたので、俺は急いで二階の自室から階段を下り、荷物を受け取りに行く。
「ありがとうございましたー」
宅配業者の方がそう言い、業者用トラックへ戻っていく。
俺は玄関の扉を閉め、足早に自室に戻ろうとしていると、リビングの方にいる妹に声をかけられた。
「あれ? にーちゃん? その荷物どうしたの?」
「これか? 今日発売の「NOO」というVRMMOだ。暇つぶし用にやろうと思って予約していてな、早速届いたんだよ」
別に隠す必要もないし、愛しい妹の質問だからな、素直に答えることにした。
すると妹は顔を引きつらせ、少し嫌そうな顔をしながら俺に向かって言った。
「に、にーちゃんもやるの……? NOO……」
「ん? なんだ、琴音もやるのか? 奇遇だな、というかVR機器なんか持ってたのか」
そうか、妹の琴音もこのゲームをやるのか、すごい偶然もあったもんだ。しかし琴音のやつVRゲームなんてするんだな、全然知らなかった。
「VR機器は……まぁ4年ほど前に買ってて……てかまじかぁ……にーちゃんもこのゲームやるのかぁ……」
なんだその言い方? まるで俺にこのゲームをやって欲しくないみたいじゃないか。
「どうした? 俺がこのゲームをやったらだめなのか?」
「いや、だめじゃないんだけどさ……その……にーちゃんがいると、そのゲームで絶対に一位にはなれないから……」
琴音は、少し残念そうな顔でそんなことを言う。
ん? 俺がいるとそのゲームで一位になれない? まるで俺がやったゲームを自分もプレイしてるような言い方……
「もしかして琴音、俺がやった事があるゲーム、お前もやったことがあるのか?」
「ん!? あー、うん、まぁ……にーちゃんに勝ちたくてね……ほら、万年二位の『クレア』ってプレイヤー知らない?」
少し驚いたような顔をしたが、何か諦めたように少し笑いながら俺の言葉に答えてくれる。
やはり琴音は俺がやったゲームを自分もプレイしていたようだ。プレイヤー名がクレア……か、ん? そういえばそんな名前のやつと、論争ゲームで一回戦ったことがあったような……
「もしかして、論争ゲームで戦ったことがあるか? いや……でも声が男っぽかったような……」
「あ、それそれ! 多分そのクレアが私だよ!」
思い出してくれたことが嬉しいのか、琴音は笑顔でそう答える。
しかし声が男っぽかったのが気になり、俺はそれについて聞いてみた。
「でも、その時のクレアの声って男っぽくなかったか?」
「えーっと、それはね? 声が女性だと論争ゲームではなめられるじゃん? だからボイスチェンジャーを使って男の人の声にしてみたのだよ! 」
理由はよく分かったが、その私すごくね? みたいなドヤ顔はなんなんだ……まぁ可愛いからいいけど。
「てことはあれか? 論争ゲーム意外にも俺が一位を取ったゲームはいろいろあるが、それ全部プレイしたことがあるのか?」
あの言い方だと、論争ゲーム意外にもやった事があるような言い方だったので聞いてみることにした。
「大体はプレイした事あるかな? まぁゲームのランキングは全部二位なんだけどね!」
そうだったのか、しかしランキング二位というのはすごいと思うが……俺を抜かせば一位だぞ? 十分すぎるんじゃないか……?
そんなことを考えていると、不意に琴音が口を開いた。
「にーちゃん! 私このゲームでは絶対勝つからね! 絶対にーちゃんを越してやるんだから!」
自信満々な顔でそんな宣言をする琴音を見ているとなんだか嬉しくなるな。
じゃあ、俺もその熱意には応えなくちゃいけないな。
「そっか、頑張れよ。そんれじゃあ俺は、愛しの妹に先を越されないように頑張ってプレイしますかね」
そう言いながら俺は二階へと上がる階段を上っていく。
「そ、そんな……愛しの妹だなんて……」
妹が何か言っている気がするが、この距離じゃよく聞こえないし、声が小さいってことは独り言なんだろう。
俺はあまり気にしないことにして、自室へ戻っていくのだった。
三話目もあると思います。