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あおとあかのきせき 下書き  作者: 世渡 繋
最終章
67/69

彼らのその後 四

「ねえ、大蛇さん。」

「何だい?」

「何故、愛嘉理に会いに行っちゃいけないの?」

「お前、そんなことも分からんのか?」

「では、君は何故だと思う?」

「え?それは、あの、えーと…。あれだからに決まってるだろ。」

「あれ、とは?」

「だから、えーと…。そう、取り込み中だからだよ。今そいつは取り込み中なんだ。」

「学はどう思う?」

「うーん、愛嘉理が人間だからかな。」

「だったら、何で前のそいつや今の狗神様はこの山に出入りしてるんだよ。人間でも例外はあるんだろ?」

「そうだね。それが彼女の意思だったからとしか言えないけど。」

「じゃあ、今の愛嘉理は僕達に会うことを望んでないの?」

「そういう訳じゃないよ。ただ、今はまだ思い出せないだけなんだ。」

「思い出せない?」

「そう、ここで得た記憶をね。」

「それなら、教えてあげたら良いんじゃないのかな?」

「それはならないよ。」

「何故?」

「もしかしたら彼女は、今のままが良いと思ってるかもしれない。それを決めるのは、彼女自身だ。」

「もしかして、狗神様が愛嘉理に記憶を語らないのもそれが理由?」

「そうだね、私はそう思うよ。」

「けっ、くだらん。お前、そんなにその人間に会いたいのか?」

「す、少しは…。」

「元々おいら達と人間は交わらない存在なんだ。本来の在るべき関係に戻っただけだろ?」

「それは、そうだけど…。」

「だったらぐずぐずすんなよ。それとも、またおいらに泣かされたいのか?」

「ぼ、僕はもう泣かないよ。」

「じゃあ、試してみるか?」

「望むところだ!」

「こらこら、二人共…。」

「ほっほ、相変わらず大変そうじゃな。」

「貴方は…。」

「毎日、風の気紛れに漂っておる。今日はここという訳じゃな。」

「そうでしたか。」

「この身体じゃと、木に引っ掛かって動けなくなることも少なくなくての。その度に彼に助けて貰っておる。」

「学に?」

「うむ、立派に育ったものじゃの。」

「これさえなければ、ですが…。」

「本当に止めたいなら、あの二人の間に塗壁を置いてみてはどうじゃ?」

「ご冗談を。彼がやられてしまいますよ。」

「ほっほ。何だかんだ言いつつ、これも必要なことと思っているのじゃろ?」

「…そうですね。彼がいなければ学は強くなりたいと思わなかったでしょうし、彼もまた学がいることで傲りを改め相手を認めることを知った。良い関係だと思います。」

「そうか。」

「…しかし、いつまでも好き勝手やらせておく訳にはいきませんね。そろそろ止めに入るとしましょう。」

「うむ、それが良いじゃろう。」

「あ!大蛇さん、危ない!」

「何?」

「二人共、そろそろ気が済んだかな…?」

「う、動けん…!」

「大蛇さん…?」

「化かし合いはもう終わり。良いね?」

「…ふん。」

「返事は?」

「は、はい…。」

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