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あおとあかのきせき 下書き  作者: 世渡 繋
最終章
66/69

彼らのその後 三

「お前達、最近私に何か隠し事をしてるな?」

「な、何のことでやんすか?」

「とぼけても無駄だ。私はお前達がこそこそとこの上に行くのを、何度も見ているのだぞ。」

「素、こうなったらもう言うしかないでござる。」

「ぬう、しかし折角の計画が…!」

「おい。どうなんだ、二人共?」

「うむ、それならば口で説明するよりきっと見た方が良いでござるな。築、人の姿になれるでござるか?」

「それは良いが、前も言ったようにこの姿ではそう遠くには行けないぞ。」

「大丈夫、任せて欲しいでござる。」

「ひとっ跳びでやんすな。」

「な…!」

「しっかり捕まってるでござるよ。」

「うわっ!」

「到着。」

「こ、これは…!」

「そう、胡瓜でやんす。」

「人間の畑に落ちてた種を素が偶々拾ってから、見よう見まねで育てているのでござる。」

「しかし、小振りだな。」

「うむ。吟様に日の当たる場所が良いと聞いてここに種をまいたのでやんすが、中々上手くはいかなくて…。」

「この胡瓜が上手くできたら今度は浅漬けを作って、築を驚かせるつもりだったのでござる。」

「浅漬けか、懐かしいな…。」

「そうでござろう?あんなに美味いものには、ここ五百年ありつけてないでござるからな。」

「愛嘉理は元気でやんすかね?」

「この村にいるのだろう?お前達は会ってないのか?」

「会いに行こうと探してる最中に、この胡瓜の種を見付けたのでやんすが…。」

「何だ?」

「拾う時に皿の水を零して、気を失ったらしいでござる。そこを吟様に助けられた、と…。」

「恥ずかしながら…。」

「ふん、お前らしいな。」

「…。」

「しかしそれなら、何故再度探しに行かない?」

「…吟様が教えてくれたでやんす。」

「何をだ?」

「今の愛嘉理には、前世の記憶がないらしい。つまり、あっしらのことなど覚えてないでやんす。」

「それで、諦めた訳か?そんなもの、再び出会えば思い出すかもしれないではないか。」

「しかし、怯えさせてしまうかもしれないでやんすよ。そうしたらもう二度と、会ってもくれないかもしれないでやんす。」

「出会い頭に愛嘉理を脅かしてた素がそんなことを言うとは、意外でござるな。」

「あ、あっしは今度こそあの浅漬けの作り方を教えて欲しいだけでやんす。」

「…ふん、聞けばあの狗神や龍神もいるというではないか。ならば、記憶を取り戻すのも時間の問題だろう。そうすれば、また会うこともできるはずだ。…きっとな。」

「そうでござる。今はその時を信じて待つでござるよ。」

「…そうでやんすな。」

「うむ、どうでござろう?その時まで、これからは築も一緒に胡瓜作りに励むというのは。」

「良い案でやんすな。」

「ふん、手伝ってやらなくもない…。」

「決まりでござるな。」

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