邂逅は希に賀する
スーからの針路計画の知らせを聞いて丸三日が経過した頃、俺達二人は北へと足を向けていた。このままこの林を抜ければミズリ砦の西側に出る筈だ。ここをさらに西へ向かうとミズリ戦湖の南側中腹に出る。その湖を越えた先には未知の国――隣国オトレノーアがある。
ミズリ地方とオトレノーアの国境近辺には騎士団所属の国境警備隊が内外に目を光らせている。いつかのリクの話によればその警備隊は騎士団への登竜門的な役割を担っているが故に騎士団所属と言えどもただ、警備隊と呼ばれ差別されているそうだ。差し詰め騎士団予備軍と言った所か。アリマド地方の西側も同様に国境に面しているが、こちらは国境地帯に峻嶺が連なり自然の警備隊により堅牢に守られている。どちらからにせよ仮に国境を越えようと思ったなら警備隊の目を掻い潜る方を選択するのが現実的である。
そんな事をぼんやり考えてながら歩いていると前方からあの気配が微かだが感じられた。
「おい」
「はい」
ぴたりと足を止めた俺に同様の物を感じ取ったのだろう後ろから付いて来ていたギルの小さく警戒を促す声が上がった。
あの気配――ギードの根源、流れの気配である。
ギードとは即ち自身の内に器を宿した者を指す。その器とは物理的なそれではなく、言うなれば精神的な物と俺は解釈している。簡単に言ってしまえば心の中に壺やコップの類を内包するという事になるだろうか。その器に流し込む水がいわゆる流れである。器に注いだ水を用いて術者はギードを行使し何らかの形として現前する。
器を宿すとその者は他者の流れをその心身で感知する事が可能だ。もっとも感知能力自体には個人差があり感知能力は備えていないが相手に自身の流れを読み取らせない者、感知能力は鋭いが自身の流れの気配は顕著に現れ容易に術者に感知されてしまう者等が上げられる。俺達二人はどちらかと言えば後者に当てはまる。
俺には他者の流れの気配は素足を流れる川に浸したイメージを連想するが、こちらも同様に感じ方は術者それぞれだろうが口頭で説明するのはいささか困難だろう。
今感じている僅かな流れには動きが無い。器に流れを満たしているのは確かだが、ただそれだけで何かしらの警戒心を喚起させたあの渦巻く様が感じられない。その上どこか無機質な感触もある。
俺はギルにそこに待機する様にと手で合図を送りそのまま気配がする方向へとゆっくりと前進した。奇襲を受けたとしても二人纏めてそれを受けてしまう事態を避ける為だ。一人だと思ったら実は二人だったと思ってもらえれば尚良い。
前進するに連れて俺は訝しい点に気がついた。間違いなく気配がするの方向に進んでいるのに関らず最初に感じた僅かな気配からその度合いが増して行かないのだ。今までの経験からこれは在り得ない。流れを満たした何らかが俺のの気配を察知して後退しているのならだましもそんな感じもしない。
近づいてはいるが近づけないと言うのか……これはとんでもなく自身の流れを隠蔽するのに長けた者の仕業か……! 戦慄した俺は思わずその場で足が竦んでしまった――が、次の瞬間俺は全力でその気配に向けて走り出した。
そんな芸当ができる妙手ならば俺の屏息した気配を嗅ぎ取ったに違いない。これを逆手に取る。
目標を前方に生える木の後ろにあるあの岩の陰に見当をつけて一気に間合いを詰める。今頃後方から援護するギルは俺の行動を見て仰天しているだろう。
転がり込んで岩に回り込む。林の中の風景に溶け込むただの岩に殺到したかと思ったらその岩に相対して構えた俺をギルにはどう映っただろうか?
「ジャック! おい!」
この局面で声を上げて自身の所在を明かしてしまう行為は論外だ。しかし、この状況ではそんな連携も意味を成さないと俺は結論を出した。この辺りには少なくともギードは居ないと判断してもいいかもしれない。小動物や獣等が器を宿しているというのなら別だが。それは在り得ないだろう。
相対したその岩は背の高い雑草や花に囲まれたどこにでも転がっている岩だったが、雑草等に隠れて判別し難いが注意深く観察すると岩にこびり付く感じで薄ぼんやり青白く弱い光を放つ何かが地面に顔出しているのだ。
依然あの距離感が曖昧な奇妙な流れの気配は絶えない。恐らくこいつがその正体なのだろう。
「どういう事だ? この感じは」
俺の様子を見て脅威は脱したと判断したのだろう足早にこちらへと近づいて来るギル。彼もこの気配の違和感を察知した様子だ。岩の側に屈んで雑草を掻き分けてみる。やはり光っている。昼間だから今はこの様に目立たなく見えるが真夜中であったならこの辺りはぽうっと光を放って気配を察知する前に気がついていただろう。
「これが……?」
流れなのか? とギルは言いたいのだろう。分からない。器から取り出された流れは術者によって様々な形になって顕れる。時には炎、時には水、そして時には見えない力の念動力。つまり流れその物は感じる事はできても目で見ることが叶わない不可視の存在だ。少なくとも俺達二人には流れは感じるが、これが流れであると結論づける事は流れの恩恵を受ける身でありながらできないのである。何とも情けない話だ。
試しに岩が埋まっている――光っている場所を掘り返してみると意外な程そこの土壌は柔らかく手で容易に掘る事ができた。
「何だ……これは……」
俺に習ってギルも掘り返す作業に加わるとすぐにとんでもない何かが目の前に現れた。
地中に埋まって隠れていた部分は地上に顔出していたそれとはまったくの異質な物で、全容を見る事はできないが青白く光る水晶、瑠璃色の鉱物、何と呼べばいい物だろうか? 何より驚いたのはその物体の内部だろうか……青白いく弱い光を放ちながら躍動している。流れの気配を感じるからそう思ってしまうのだろうか。これはまさに器に満たされた流れだ……と。
手分けして周辺を探索してみたが同質と思しき岩は見当たらなかった。もっともあまり時間を費やしたわけではないので断言はできない。
ギルと相談した結果、掘り起こした場所を光が漏れない様に元に戻し先に進む事にした。何かに襲われたなら未だしも珍しい発見をしたからといって本隊との約束を反故にするわけにもいかないし別段あの物体に危険性があるとは思えなかった。再び訪れる場合に備えて大よその場所の見当もつけれる様にもした。
「なあ」
「はい」
「考え過ぎかもしれないが、あれっていつだかマスターがコモジに渡してた石に似てないか?」
「……お守り? ですか?」
「そうそう」
確かにそう言われると似てる気がしないでもないが、あの時流れの気配を感じた記憶は無い。感じていればもっと早くにその事を連想してもいい筈だ。それと大きさがあまりに違いすぎる。
「ま、確かに違いが大きいけどよ。……って言うのもな、お前見ただろう? 岩の露出部分の天辺彫ってあった模様」
「何です?」
模様? 気がつかなかった。何か彫ってあったのか。
「気がついてなかったのか。ほら、マスターがいつも着てるぼろの上着のフードに小さく書いてあるやつだよ」
驚いた。あの文字があの岩に彫ってあったとは……マスターの朱色のクロークのフード部分には小さく刺繍が施されており、日本語の漢字に近い希望の「希」の字が書かれているのだ。字体がいびつで注意深く見ないと判別できないそれはメの部首部分がひどく強調されており、当初はギルの言う通り何かの模様だと思って別段気にも留めなかった。
数年前にふとある漢字に似ていると感じはしたがその読みや意味までは思い出せず、直接マスターに尋ねる機会が訪れるまで頭の隅に追いやられていた。
遠い昔に知人に教えられた文字の一つらしくその意味は、希望とは常に露のほどしか存在しない。だが、それは確かに在る。そう言ったマスターの言葉で俺の記憶の奥底から希望という二文字を呼び起こした。
漢字は日本人である母親の関係で小学校までは日本で過ごした当時の俺には慣れ親しんだ文字だった。
日本人または漢字に精通した人間とマスターは以前知り合いだった等と都合の良い解釈はできず結局、たまたま見知った文字とその意味が偶然重なっただけの事と判断を下した。俺の様な異世界へ召還される人間がそうごろごろといる筈も無い。もっもと英語をぺらぺらと喋る獣人族でも現れれば話は別だが。
「おい、どうかしたのか?」
「あ、いいえ何でもありません。それなら今度マスターに会ったら尋ねるべきですね」
「おう! その通りだな」
俺の事を半神伝説の異人であると断じているマスターにとって昔の知人とやらが俺同様に異人であればマスターの口からその人物について話してくれるのが自然だろう。異人に異人についての詳細を敢えて伏せるのはおかしい話だ。しかもあの人は俺が元の世界へ戻る事を願っている。疑いをかけるのは嫌悪される。ギル同様に俺にとってもあの人は恩人であるのは揺ぎ無い事実なのだから……。
その日の深夜に俺達はミズリ砦の城壁が見える丘の下で野営した。
翌朝早くに寝覚めた俺はギルに馬車の車輪整備用の素材を採集して来ると言って単独で砦西側に展開する林へ向かった。
本隊との合流まで後二日あるので十分に時間が取れる。以前訪れた時の記憶を呼び起こしながら進んでみる。この植林された林の中にいい樹液を生成している木が混じっていた筈だ。
夢中で捜索しているといつの間にか砦の城壁にかなり近い所まで来てしまっていた。林にの中を歩いていたせいか注意が散漫になっていた。これではさすがに櫓で警備に当たる衛兵に発見されてしまう恐れがある。今の俺は不審者と間違われても何も言い返せない。
砦から距離を置こうと移動しかけた時、道中で感じたあの気配を再び察知した。同時に希望の希の字も思い起こす。そうそう希望がそこらに転がっているわけがなかろうにと心の隅で自嘲する。
木の陰に隠れ城壁から死角になる場所へ移って察知した気配に意識を集中させてみる。方角はここより北西か……しかし、これはあの時のとは違う……小さいが……これは間違い無く躍動している……敵ではない?
根拠があったわけではない……俺の直感がそう断じた。
焦る思いを抑えて俺はまず砦から離れる方を優先させた。途中巡回の衛兵二人を木々の陰を利用してやり過ごし、戦湖方面へ移動し、林の中を北へと向かう。間違い無いこちらから感じる。
敵味方等の立ち位置が無い……純粋な……すべてを包容する様なこの感じ……マスターやギルのそれと似ていると言えば似ているが、何か根本的な所が異なる。逸る……俺はこれを見なければ……触れなければならない……!
それは在った。葉も花も無い一本の巨木。この木が俺を引き寄せたのか……。
その木の目前まで歩み寄った時俺はこちらへ駆けて来るもう一つの気配を感じていた。そして唐突に安堵した。無事だったのだな。と……。
白い謎の球体の出現によりこの世界に放り出され、訳も分からない状況下で抱き上げたあの黄金の赤ん坊。守り抜くと誓ったものの不甲斐無い俺は数十分も経たぬ内に見知らぬ男の手にその子を委ねる事になったあの苦い記憶。あれから十余年、どこか釈然としない放浪の旅を続けてようやく俺は一つの答えを得る事ができる。
あの赤ん坊は今どうしているのだろうか……?
「お、おはようございます」
駆けて来た少年は少し警戒心帯びた声色であいさつをした。俺はそれに頷いて答えながら彼を上から下まで観察した。揺れる金髪に大きな青い瞳。そう、それにあの時俺が拾い上げたあの金色の腕輪……。あの時の赤ん坊に間違い無い……何と大きくなった事か……涙腺が緩みそうになった俺は思わず彼との邂逅を仲立ちしてくれた木に視線を移した。
最終的には他人任せにしたとは言え彼の赤ん坊の頃を知っていると言うだけで子供を持った事も無いくせにどこか父親の様な眼差しを向けているのではないかと内心ひやひやする。これでは不審者の所作に映ってしまうではないか。
「不思議な木です……」
何を言っているんだ俺は……。しかし、長年心のに引っかかっていたとは言えいざ再会を果たせば何を話していいか分からない。これではギルの事をとやかく言えたものでは無いな。
「不思議?」
要は照れ隠しに身近な物に気を逸らしただけの発言に反応した彼の声がさらに動揺を誘う。
「はい。とてもとても小さい、けれど力強い流れを感じます」
「流れ?」
一瞬これでは自らギードなのを明かしている様なものではないかと警鐘が鳴ったが、再会を果たした事によって安堵が動揺にそしていつしか妙な高揚感にまで到達したのかその鐘の音は俺の心に不覚にも大して響かなかった。
そればかりか、樹皮を剥がせばあの水晶が姿を現すと予想をして、いい物をみせてやろうと言わんばかりに俺は腰に差していた短剣を抜き取りその木にあてがって見せた。
そんな調子付いた浅はかな思惟を読み取ってか短剣を持った腕に少年の両手が伸びて来て俺の愚かな行為を制止した。
腕に掛かる両手の主を振り返ると目は開かれているのだが、心ここに在らずといった様子で半ば放心状態に陥っていた。この様子はただ事ではないと思いすぐに肩を揺すって声をかけた。腕から彼の両手が力無く解かれその場に尻餅を着いた瞬間に彼の意識は戻った。皮肉にもようやく常識的な行動を取る事ができた。
「すみませんでした。大丈夫?」
「ああ……うん、ごめんごめん。その木は僕の大事な友達なんだ……だから傷つけないであげて」
目に生気を戻ししっかりと答えた少年の様子に胸を撫で下ろした。
「友達」
「そう、友達」
よくよく考えれば彼は俺の事を覚えている筈も無い。仮にあの時の出来事を聞かせた所で信じるかどうかも怪しいし話さない方が彼の為でもあるじゃないだろうか。そんな状況で勝手に舞い上がってしまう俺がどうかしていた……巨木を友達と言い切る感性を持ち合わせるまでに成長した今の彼の生活には俺の立ち入る余地等もう既に無くなってしまったんだな……寂しいが……これで良かったんだ……こうして再び巡り会えただけでもよしとしよう。
「なるほど。分かりました。すみません」
「ところで、あなたどこの人? ……あ、僕はリーシュ。ミズリのリーシュ・リウム」
リーシュ・リウム……リウム……聞き覚えがあるが……誰だっただろうか? まあいい、名前位名乗ってもバチは当たるまい。
「私は……」
言いかけた俺の声はその先から続かなかった。正確には止められた。これ程の気配をここまで接近されるまで気付かないとは……何と凄まじい渦巻く流れ! あの距離から……しかもこれは念動力じゃないか! あの女の仕業か……!
彼の背後から背中まで伸びる薄い水色の長髪をなびかせながらゆっくりと歩み寄る女。その容姿からは想像もつかぬ程の殺気と流れによって俺は全身を拘束されてしまった。
「貴様。何者だ」
喋れないのを承知で尋ねるか……そうか、リウム……リアスダイス・リウム! 盲目のギード! 守人の……! こいつは蛇眼のロロ……か……。
……声がする……ギルか、助けに来てくれたのか……やれやれ……もう駄目かと思った……。あの女、質問しておいて力を込めて……気絶させられたか。
「馬鹿野郎!」
蹲る格好で意識を取り戻した俺は、顔を上げ様とした所をギルの手によって顔面を地面に押し付けられた。
痛い……。獣人族は遠慮って物を知らない。どうやら俺が調子に乗って樹皮を剥がそうと短剣を取り出した事で誤解が生じたらしい。この守人はリーシュの護衛も兼ねているのか。
通常、俺達二人が戦闘体勢に入ると対象と相対するのは主に俺の役目でギルは背後から援護するのが常套戦法だ。ギードを用いた戦闘ではリュードの特性上リードによる流れの供給が不可欠なのがだ、流れの供給を受ける際それと共に俺の体力も若干ではあるが回復する事ができる。病気や傷に効果は期待できない様だが、優れた能力であるのは確かだ。
この局面でギルがそれを行なわない所を考えるとかなり迂闊に器に流れを満たす事もできない程切羽詰った状況に置かれているに違いない。なんといっても相手はザイドール中にその名を轟かす三人の守人の中の一人だ。勝ち負け云々の話では無いだろう。この状況を乗り切るのに最も有効な手段は間違いなく死んだ振りだ。
ギルが腕を取り立ち上がる様促した。彼のお陰で誤解も解け解放してもらえる運びになったらしい。少年、これで貸し借りなしだな。等と心の隅で自嘲する。
「駄目だよ!」
ギルに支えられながら別れのあいさつも無いまま立ち去ろうとした時、彼の叫び声が上がった。何が駄目だというのか。
「い、今のはロロが悪いよ! 早合点してこの二人を縛ったり放ったりして……何も悪い事してないのに……あんまりだよ! ロロはこの人達に詫びるべ……き、だ……と思う」
そうか……本当にいい両親に育ててもらったのだな……あの時君を抱き上げて本当に良かった……本当に……。
「すまなかった。許してくれ」
彼の主張に隣の守人は一瞬虚を突かれたもののすぐに詫びを述べ俺達に向かって深々と頭を下げた。
これを見たギルの動きは素早かった。即座に俺を地面に捨て置き自身も地に伏した。
「馬鹿野郎! 何にやけた顔してるんだ。お前の不注意であんな事になったんだぞ! コモジに何て言えばいいんだ。守人様の怒りに触れました。どうもすいませんでした。とでも言えっていうのか」
あの修羅場をギルに支えられる形で後にしてしばらく歩くと俺はギルの怒り触れた。顔がにやけるのは少しの時間我慢して欲しいと言いたかったが、あの赤ん坊の件は未だに誰にも話した時が無いのでどうにも困る。仮に話したとしても今のこの怒れる獣人族にどれだけその突飛な話を理解できる広い心を持ち合わせているのか。甚だ疑わしい。
「すみません……あの金髪の子、首長の息子なんですか?」
「知らん! あの守人に頭を下げさせる位だからな、それなりなんだろうよ」
なるほど……守人で思い出したがあの女が行使した能力……あれは何だったのだろうか? ……それにあの目隠し……。
「お前まさか……本当にあの小僧に何かしよう企んでいたんじゃないだろうな?」
黙って答えない俺の様子を見てとんでもない事を言い出す。首を横に振って一蹴する。
「守人はマスターの知り合いですか?」
「はあ?」
「いえ、何でもありません」
「お前さ、残り二日釣りでもしてのんびりしようと思ってたのに……今から本隊探さなきゃいけないのよ? 言い訳は出来上がってるのか? 俺が報告するなんて御免だぞ? …… 」
完全に頭に来ている今の彼にはまともな問答をする余地が無いらしい。もっもと自業自得なので文句を言えた身分では無いのだが、しばらく時間を開けた方が良さそうだ。隣でがみがみと説教をするギルを余所に脳裏に焼きつくあのロロ呼ばれたミズリ砦の守人が身に着けていた目隠しを思い返した。
鉢巻をそのまま両目を覆う位置まで下げた様な格好のあの目隠し……丁度眉間の位置にあの文字が書かれていた……希望の「希」と。