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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

犠牲者

作者: 三日月

 ここは一体どこなのだろう。

自分は一体何者なのか、周りにいる人々は誰なのか。

全く記憶がない。


 この部屋には自分も入れて10人の人がいる。

あちこち動きまわっている様子はない。

そして、扉が三つある。

わかることはそれぐらいだった。


「ねえねえ、君」


 ん、自分のことかな?


「名前とか覚えてる?」


 …それがわからない。何も覚えていない。


「そっか…じゃあ首に何かかかってないかな」


 首…ペンダントのようなものがかかっている。

中央に大きく「10」と表示してある。


「10Pか、ならあたしと組まない?」


 組む?それはどういうこと?


「君、ルール説明の時目を覚ましてなかったもんね。ペンダントをいじれば説明は確認できるらしいよ」


 いじる…といわれても。

あれ、このペンダント10と書かれている場所が押せる。

押してみると…これは立体映像ってものか?



 君たちにはあるゲームに参加してもらう。

ルールは簡単。扉を開き進んでいけばいいだけだ。

だが、扉を開いた先には罠が待っている。

最悪命を落としかねない。

罠にかからないようにするにはって?

避ければいいじゃないか。


 君たちの中には「情報」を持っている人がいる。

より多い情報を持っていると有利ではある。

しかし、情報だけではこの先の扉を開けることはできない。

(ポイント)が必要だからだ。

ペンダントに表示してある数字がそうだ。

扉はある一定以上のPをもった者しか開けられない。

つまり、多くのPを持った者と多くの情報を持った者が協力しなくてはならないのだ。

しかし、三人まで。

それ以上の人数で扉を潜ろうとするとレーザーが発射されて身体が真っ二つになる。

そうなりたくなければ人数制限は守ることだ。


 最後にこのゲームならではのルールがある。

それは「犠牲になる」ことができる。

犠牲になるには、相手にペンダントの裏側にあるスイッチを押してもらえばいい。

すると、ペンダントの紐が本体に収納されていく。

「邪魔なもの」が引っかかったとしても、それが切れて完全に収納されるまでは止まらない。

もうわかったかな?言うまでもないよね。

そして、犠牲になった者のPと情報はスイッチを押した相手の物となる。

犠牲になる人がいないのが一番だけど、しょうがないよね。


 それでは、がんばってゴールを目指してね。



「どう?ルールわかった?」


 うーん、大体かな。


「君は10Pも持っているから扉を潜るときに有利だよ」


 そうなのかな?基準がわからないからなんとも言えないけど。


「あたしは1Pだけだよ。そのかわりに情報は持ってる。もちろんゴールまで安全に行く方法もね」


 それは心強いね。それで、自分の10Pがあれば安全にゴールまで行けるのか。


「そうそう。絶対に行ける。そんなわけで組まない?」


 じゃあ、そうするよ。それで三つあるうちのどの扉に行くの?


「どれでもないよ。後ろを見て」


 ん?ゴールへの扉?55P?

10Pじゃ全然足りないよ。


「この部屋にはもともと1Pから10PまでのPを持った人がいたの。1から10まで足せる?」


 55かな?


「正解!そして、この扉のPは?」


 55…!?


「わかる?そしてあたしの今のPは45なの」


 まさか…自分が犠牲になったら…


「そう。君が犠牲になってくれればあたしはゴールできるの。安全に」


 そっか…じゃあ最後に言わせて。

絶対に、犠牲になった人のためにもゴールしてね。


「うん。協力感謝するよ。じゃあ永遠にサヨナラ………ッ!!」


 こちらこそサヨナラ。永遠に。

自分が優勢だと思ってたよね。

だけど、こっちだって条件は同じ。

ありがたくゴールさせてもらうよ。


 ゴールへの扉はあっけなく開いた。

そして、その先に待っていたのは…


 ・

 ・

 ・


「いやー人間という生き物はすぐに優位に立ったと錯覚するのだね」


「そのせいで最初1P、ゴールへの扉の情報を持った人は一人して生きて帰ってこないよ」


「そして、最後に情報を持っていない者を相手にしたがるのも問題だ」


「10Pは情報全くなしと最初から知っているからな」


「どうする?生き残った奴らは処分か?」


「んーまだまだ理想とはほど遠いからな。死体と一緒に処分だな」


「もう少しサンプルがほしいな」


「まあ、気長にいこうよ」


「いつか、完璧な生命体を創り上げて僕たちが創造主となる日を目指して、な」

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