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第二章 市場+団員+少年=林檎の落下

わたしの生きている意味は、みんなを助けるため。わたしがこんなこと言えるもんじゃないかもしれないけど…。                      

親の存在は知らないけど、楽しい毎日を送れているわたしだから。それに団員(なかま)たちも。

悲しいことが、立ち直れそうにないことが、現実に起きてしまっても。それでも、乗り越える事ができるはず。今は無理でも、大人になったらちゃんと背負えるはず。

それを、私たちみたいな子どもに伝えたい。親を亡くした子どもたちに。

だから生きてるの。今はまだ、これくらいしかできないから。


―――エリィ 市場の肉屋―――


カイと一緒に、お肉屋さんに着いた。エリクたちが向かったほうの市場はかなり混んでいたから、はぐれてないか心配だなぁ。

「ねぇ、お肉買うのに二人もいらないと思わない?」

苦笑しながらそんなことをふと思う。

「だな」

相変わらずのポーカーフェイスなカイ。これ、代名詞にできるかも。

「うーん…」

どのお肉を買うか悩むフリをして、カレーに追加させる材料を考える。いや、カレーにいれなくてもいいのか。…もういいや。自分の好物にしちゃえ。

「なら、わたしは果物屋さんで林檎でも買って来るねー」

「おう」

わたしと目もあわせず、お肉選びに夢中なポーカーフェイス君。

「じゃあまたー」

半回転をして、道にそった長い市場を眺める。果物屋さんはどこだろう。

自分の目線で見ると、果物屋さんは右にあった。エリクたちが歩いていった野菜屋さんはもっと右。

右に歩いていくにつれ人数が増す。

あ、あれ…? 遠くにシャルロットが見えた。でも隣にはエリクもシャルムもいない。別人?

訝しみながらも、早歩きでその子を追う。

その子の背中を遠い距離から追っていると、その子は裏路地に入っていってしまった。きっと別人だったんだろう。

いらない心配をしたなぁなんてホッとする。

場所移動をしたため、果物屋さんはすぐそばだった。

果物屋さんの店主みたいな人が店員と話し込んでいる。気付かれないように耳を傾けながら、林檎を探す。

「またあのガキだろ? アイツ、いつになったらこりるんだか」

「ですよね…」

店主と店員の会話。顔も不機嫌そうな店主は、きっと怒ってる。店員は呆れてるご様子。

林檎はすぐそばにあった。市場の続く横一本道の、一番近いところに。つまり林檎が乗ってる台は、店の外にある。

「万引きの常習犯らしいな。他の店も言ってたぞ」

「そうみたいです。うちも二回目ですしね…」

へぇ。この国には万引きの常習犯がいるんだ…。大変そうね。

他人林檎を2つとって、話している店員に持っていく。

「これくださーい」「あ、はいー」お金を渡す。

林檎を紙袋にいれたあと、店主たちに背を向けてお店の外へ向かう。

「アイツもあの客と同じくらいの歳だったよな」

「はい」

アイツが指すのはきっと万引き常習犯。あの客とはわたしのことなんだろう。

…予想外だった。万引きをしていたのが子供だったなんて。市場の道をを歩きながら、そう思う。

私、この子の万引きする理由が分かる気がする。きっと、生きる為なんだ。そうじゃなければ、万引きなんてしないもの。大人の欲に塗れた行為とは全然違う。

同じ親がいない苦しみを味わったのに、こんなに生活の仕方が違うとは…。

その子に、会ってみたくなった。

「エ、エリィ!」

誰かが私を呼んだ。下を向いて歩いていた足を止め、目線を上げる。

人混みの中、手を振って私に向かってくるエリクがいた。

「え、どうしたの…?」

私の方からも近づき、声をかける。だってエリク、息が荒いし焦ってるし。いつもの感じじゃない。

「実はね…、シャルロットが…――」


―――エリク 市場の道―――


シャルロットが消えてから、町中を探し回った。でも、いない…。どこにいるんだ…?

人混みの中にエリィを見つけ、急いで駆け寄る。

「エ、エリィ!」

「どうしたの…?」

僕の顔を見て、エリィは心配そうな顔をした。僕の不安は顔にまででているんだろう…。

「実はね…、シャルロットが消えた…」

完全に自分の不注意の所為だった。

僕はこれほどにも無いくらい焦っている。ただの迷子だったらそれでいい。だけど、他のほかの理由だってある。子どもをさらう大人もいるかもしれないんだ。

「……。ねぇ、見間違いだったのかもしれないけど、あっちの裏路地にシャルロット似の子どもが入って行ったのを見たの」

野菜屋さんの向かい側、暗い路地を指してエリィは言った。

大きな手がかりだ。

「よし、行ってみよう!」「うん!」

僕らは人混みの中を走って、路地に向かった。


―――少年 裏路地―――


こいつは誰だ?

俺の目の前にいる、この子どもはなんなんだろう。体育座りをしている俺をみている1人の少女。

「…………おい、お」「ねぇ、お兄ちゃん」

俺から話しかける前に、俺の顔をまじまじと見つめている子どもが話しかけてきた。見た目は5、6歳だろうか。さっきから二人で見詰め合っている。

「なんだ?」

いぶかしみながら聞く。

「その林檎、どこで売ってた?」

その質問に拍子抜けした。真面目な顔で俺を見るもんだから、もっと大事なことを言われるのかと思ったのに。大事なことと言っても思いつかないが。

「市場にあっただろ。この路地の近くにあったの気付かなかったのか?」

「うん」

また拍子抜けした。

まぁ歳相応として許せるかもしれないが…。それにしてもこれぐらいの歳の子どもが考える事は予測がつかない。

でも少し、可愛いなと思った。俺に兄弟がいたらこんな感じなのかと想像してしまった。

そんな時、ふと、視界の端に人影が見えた。

しかもこっちに向かって走っている。

「え……?」

なにも気付いていない子どもの手をとって、林檎を投げ捨て、人影と反対方向に全速力で走る。

人影の大きさからするに、俺たちを追っているのは大人だった。

果物屋の? …いいや違う。人数が多かった。5人はいただろう。

じゃあなんなんだ!?

焦る頭で考える。あいつらは誰だ!!

「あ……」

そんな思考も止まってしまった。足もとまる。

目の前には、黒い服を着た男が5人ほどいた。

挟み撃ちされた。

近づく大人たちになんの抵抗もすることが出来ず、口を覆うハンカチの臭いで、俺の視界は闇になった。

はい、こんにちは~

投稿遅れてごめんなさいっ…!!


読んでいただき感謝です!!

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