表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

始まりの夜

 夜、未来都市は闇に包まれる。人口の大半を学生が占めているため、夜間に出歩く人が少なくなるからだ。

 そんな夜道を一人、フードを深くかぶって顔は見えなかったが、小柄な少女?が歩いていた。明らかに子供である彼女がこの時間に出歩いていることから、並々ならぬ事情を抱えていることは明白だ。

 数分後、少女の目の前を歩く数人のゴロツキが昼間でも誰も通らないような、裏路地に入っていくのが見えた。途端、少女の歩く速度が速くなる。裏路地まで後、3m…2m…1m…0m。少女が飛び出した瞬間、暗闇の中から拳が出現し、顔面を殴りかかる。すんでのところで、少女は後ろに飛び、その攻撃を回避した。そして、裏路地に消えたゴロツキ達がゆっくりと少女の方に近づいていく。


「誰だぁ、てめぇ?こんな夜更けに、俺たちをつけるなんて…一体何の真似だぁ?」


 ゴロツキの一人が、少女に強い口調で威圧するように問いかけた。しかし、少女はその圧に何も感じないかと言わんばかりに、何の動揺も見せなかった。実際そうなのだろう。少女は慣れた手つきで、次の行動に移った。


「なんだぁ?それは…!!」


 気づけば、いつの間にか少女の手には深紅の槍が握られていた。


「あ、アレは!!」

「何だぁ?おめぇ、知ってんのか?」

「は、はい…兄貴ぃ!あいつ『マッドキラー』ですよ!!」

「『マッドキラー』だぁ?」


 『マッドキラー』それは、未来都市に存在する都市伝説の一つ。夜、人気のない道に現れては急につけられ、つけられた者は気が付けば朝、路上に横たわった状態で発見されるという。しかも、狙われるのは決まって過去に犯罪経験のある超能力者であるため、巷では正義の執行人として噂されていた。その正体は謎に包まれており、防犯カメラで姿を捉えられるもののフード姿で素顔が見えないため、学生治安維持委員会(S M C)もなかなか手を出せずにいた。

 少女は、ゆっくりとゴロツキの方に向かって歩みだした。


「ふざけたこと、ぬかしてんじゃねぇ!!どう見てもただの、ガキじゃねぇか」

「いや、でも…」

「あぁん?おめぇ、ビビってんのかぁ?」

「い、いや…そういうわけじゃ…」


 グループのリーダー格の男の苛立ちが、限界突破したのか、下っ端どもにあたり散らかしている。周囲が静かなことも相まって、一言一言が頭に響いてくるようだ。それでも、少女は動揺することなく歩みを止めない。


「俺たちは、ここいらを縄張りにする『荒瀧組』の一員なんだぞ!!舐められるような真似してみろ…俺がおめぇらを叩きつ…」


 一瞬だった。一瞬にして、リーダー格のゴロツキの姿が消えたのだ。もちろん、それをしたのは深紅の槍を薙ぎ払った後の少女。ゴロツキとはいえ、殺気を放つ者の気配を感じ取れないはずはない。それに、少女が近づいていることにも気が付いていたはずだ。それでも、攻撃された。それほど、少女の気配の殺し方が上手だったのだ。


「あ、あにk…」


 残りのゴロツキも、ほんの数秒の間に片付けられてしまっていた。こうして、闇夜に再び静寂が訪れた。静かで、光もほとんど通さない闇の空間が、いつもの感覚を鈍らせる。気づけば、そこには、もう誰もいなかった。突き飛ばされて、気絶しているゴロツキ以外には…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ