30.【後日譚】女王の結婚~ブルーノ・オークランス①~
敵軍と反乱軍を制圧することに貢献、第二騎士団を指揮したブルーノ・オークランスはアンセルム・オークランスと共に王都に招待された。その目的は、ブルーノへの表彰だ。
はじめての王都にブルーノはうきうきとしていたが、帯同しているアンセルムは前にも似た光景にそわそわしていた。
「父上、王都というのはとても華やいでますね」
「ああ、そうだな。…いろんな意味でな」
ブルーノの両手にはたくさんの花が抱えられており、道を歩けばその後ろには女性が列を成していた。
それもそのはず。まだ線も細くあどけなく少年っぽさが残る顔つきだったが、このブルーノもまた、美丈夫だった。
そして、過去の訪問時を上回る勢いの女性の数に、アンセルムは苦笑いをした。
「スヴェンの時の比じゃないな…」
「兄上がどうかしたのですか?」
「いや、あとで説明しよう。まずは王宮へと急ごう。馬車へ乗れ」
まだ街の様子が見足りないといった様子のブルーノを馬車へと押し込むと、アンセルムは続けて乗り込んだ。
「すごいですね、街をあげて私を歓迎してくださるなんて」
ブルーノは花の意味を英雄の歓迎と思っているようだった。
「いや、これはそのような意味ではない」
「そうなのですか?ではどのような?」
「これは、『恋慕の花』だな。一目惚れしましたという意味だ」
「ひ、ひとめぼれですか?」
「まあ、そこまで深くないものもある。『あなたは素敵ですね』くらいのものもあるだろう」
アンセルムはブルーノが抱える花の種類が様々であることに気付いた。スヴェンの大告白以降、告白は『バラ』が使われるようになった。さらには本気の告白は『一等の深紅のバラ』が使われるようになり差別化が生まれ、より相手に想いが伝わるようになったのだ。
「どっちにしろ好意的だということだ。ありがたく受け取っておくといい」
ブルーノは「そうなのですか」と色とりどりの花を見つめた。
「しかし、こんなに花屋が並んではいなかったがな。どこにいても花が手に入る環境になっている」
アンセルムの気付きの通り、そのことでより一層王都の街は華やいでいた。
◇◇◇
「よくお越しくださいました」
女王アリシアと対面したブルーノは、女王の輝きに目を見張った。
「この度はご苦労様でした。貴方が現場を取り仕切ったと聞いています。よく頑張りましたね」
「…」
「ブルーノ、陛下にお返事を」
「!」
ブルーノもまた、アンセルムに声をかけられたことで、女王に見とれていたと気付かされた。
「あ、ありがとうございます。ただ、私の力ではありません。手はずは父が整えてくださいましたし、叔父上、さらには第二騎士団や仲間の協力があってこそです」
「その謙虚な姿勢も素晴らしいですね」
女王はにこやかに誉め称えた。
「オークランス卿、貴方はおいくつなのですか?」
「私は現在17歳です。間もなく成人を迎え、今年度をもって士官学校も卒業となります」
「まだ学生だったのですね。では、先の騒動の時は領地に帰還を?」
「はい。しかし、騒動の前に帰省するようにと連絡を受けていました。父と兄が領地を離れる為、留守中を任されていました。そこへの騒動でしたので、全ては父の配慮が的中したということです」
「とはいえ、騎士団を纏めることは貴方にとって容易ではないのでは?貴方はまだ未成年であり学生です」
「そうですね。そのために、帰省はこまめにしておりました。父や兄に何かあれば私が代わらなければなりませんので、領地のことも把握はしていましたし、騎士団の皆とも交流を深めておりました。今回私が直接率いたのは、実は士官学校の同期生なのです」
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