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29.【後日譚】女王の結婚~シン・恋慕の花~

国民に、女王アリシアの婚約が発表された。



お相手は一躍有名になった、スヴェン・オークランス辺境伯令息だ。その有名になった出来事は言うまでもなく、剣術大会の優勝と女王へのプロポーズである。



「アリシア様、今、王都で流行ってる『恋慕の花』をご存知ですか?」


「恋慕の花?」


筆頭侍女のミアは、アリシアの髪をときながら、今王都で流行っている演劇の話をした。


「はい。最新作の脚本は一国の女王に一目惚れした騎士が、最も女王に近い場所を懸けて戦い、勝ち抜いた先に愛を告げるというお話なのだそうですよ」


「あらまあ。どこかで聞いたようなお話ね」


「これって、きっとアリシア様とオークランス卿が題材ですよね」


「フフ。どうかしら?それで?その演劇が今話題なのですか?」


「はい。我が国の女王の恋物語として小説化もされているそうですよ」


「書籍にもなっているの?それはお伽噺で良いのかしら?わたくしは裏取りされておりませんわよ?」


「たしかに、実話なのでしたら真実に近づけるべきですね。実際はアリシア様の一目惚れでしたものね」


「まあ!」


アリシアは急に恥ずかしくなって、顔を真っ赤にさせた。


「そうでした……、貴女には見られていたんでしたわ」


「ですが、脚本も間違いではないと思いますよ。オークランス卿も一目惚れされていらっしゃいましたし、恋に落ちる場面というものを初めて目撃いたしましたので」


「まあ!」


アリシアはより一層熱が上がるのを感じた。


「そうだとしたら、とても嬉しいわ」


アリシアはさらに顔を赤くするのであった。


◇◇◇


「商業に関しての申請が多いですわね。経済が随分と活性化してますが、街はどのような状況なのですか?」


クラースとともに書類の決裁を進めていく。


「陛下の婚約が街を活性化させています。今、街では『恋慕の花』一色なんです」


「恋慕の花ですか?」


ミアの話同様に、クラースもまた『恋慕の花』について触れている。


「演劇も連日大盛況で、劇団は大忙しだそうですよ。王都では婚姻届けの申請が相次いでおります。オークランス卿のプロポーズに刺激され、結婚の申し込みが増えているのでしょう。生花店からバラの花が消えていると報告が上がっています。そこでバラの生産を増やすため生産者の雇用が増えています。それから、花き市場の数も増やしたいという申請書がこちらになりまして、生花店の出店申請書がこちらになります。婚姻が増えていますので、婚約式や結婚式の経済も回っておりまして、それに付随するパーティーに係る経済も回っております。現在、ウエディングドレスの制作は半年待つそうですよ。針子の求人が増えているとも聞いています。宝石商も仕入れに苦労しているようですね。採掘場での雇用も増えています。平民からの雇用が増えてますから貧困層が激減しておりますよ」


「それで現在は申請書類が多いのですね」


経済がとにかく回っているという報告だった。実際にそれに関する書類は山積みになっている。


「オークランス卿のプロポーズは印象強かったですからね。あの光景は本当に美しかったです」


夕焼けに染まった闘技場で美しい騎士が跪く光景は見事だった。夕陽に照らされた二人の顔は赤く染まり、シルエットが完璧に型どられていた。


「みなさん憧れているのです。恋慕の花での告白の瞬間、あの完璧なお二人になれた気がするのですよ」



「街は『恋慕の花』をきっかけに活性化しているというのはわかりました」


アリシアは嬉しいやら恥ずかしいやらで、両手で顔を覆った。



後日、絵描きが一つの大作を仕上げた。それは、あの完璧な二人の姿だった。『恋慕の花』とつけられた題材の絵画は、美術館のメイン作品となった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


作者のモチベーションに繋がりますので、よろしかったら、評価していただけると嬉しく思います。



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