28.幕引き
呆気ない幕引きを迎えたのには様々な偶然が重なったからだった。
アリシアはアーロンが臨時決裁権の行使を目論んでいると推察し、アーロンを宰相から外した。そしてクラースと第一騎士団の内部と貴族らを重点的に調べていた。
ルーカスは父の企みを知り、その実行の阻止を試みた。
アンセルムは第二騎士団の志願者実力の低下や国家からの孤立から危機感を持ち、第二騎士団の内部調査に力を入れた。
この3人の各々の活動の全てから元凶のアーロン・カールグレーンにたどり着き、国内の膿を出すことに繋がっていったのだった。
翌日、1羽の鷹が再びやってきて敵軍の鎮圧を知らせてくれた。
アーロン・カールグレーンはその他の仲間らと共に、国家君主並びに国家の安全を揺るがしたとして拘束、後に処刑された。その計画はお粗末なものであった。敵国の将軍は、内乱を起こすためのきっかけ作りに侵略を行うようアーロンから依頼されたと告発した。維新派貴族の子息らは有無を言わさず加担させられていたそうだ。アーロンは数年かけて士官学校の優良者を選抜し引き抜いて、戦力を傘下に集めていった。王配不在によってオークランスを孤立させたのち、満を持しての策略だったが、ルーカスはその父の企みに兼ねてから気づいており、リースベットと協力し駒として動く振りをしつつ、二人とも奔放に過ごしているよう見せかけた。ルーカスが打ち明けたアーロンが行う予定だった臨時決裁権の行使内容は、『王位継承権に王配を加える』というものであった。もし仮にルーカスがアリシアの婚約者となったり、王配になった場合にこの臨時決裁権を行使して法案を通すとなれば明らかにカールグレーンの王家乗っ取りが疑われてしまう。だからこそ、ルーカスをアリシアの婚約者に据えることは出来ず、しかしながら王配の候補者である必要があったのだ。ちなみに、王配が王位継承した場合、側妃をもうければ新しい王家が出来、男子を授かる可能性が出てくる。そうなれば、女系の王家ではなくなり、この王配がルーカスならば、カールグレーンの血が繋がっていくという計画であったようだ。それを逆手に取り、ルーカスは剣術大会の報奨に『自分を王配にしてくれ』と願う予定だったという。アーロンが企む決裁権が通る前に、ルーカスは王配になってしまうことで父の計画を阻止しようと考えていたのだ。
宰相の家門であったカールグレーンは廃爵、そしてルーカスはリースベットと結婚しベロニウス侯爵家に入った。カールグレーン元侯爵夫人と元令嬢はベロニウス家で受け入れることになった。
そして就業については選択の自由、家門による後継は廃止とした。必ず試験や審査の上、その都度相応しい者を選定するとした。
オークランス領はというと、敵軍が反逆軍の援護ありきで小隊で攻め入ってきたこともあり、あっさりと鎮圧。王都から追加人員なしという連絡を受けていたため、アーロンが送り込んでいた反逆軍は全員拘束されることとなった。当時第二騎士団を率いたのは、オークランス辺境伯の次男ブルーノであった。オークランスのもう一人の将軍候補である。今回の功績を称え表彰されることになった。
アリシアとスヴェンは結婚し、スヴェンは王配となった。王配は士官学校とヴァランデル地方の管理統括が役割となる。オークランス出身の将軍候補であったスヴェンは最も適した人材であろう。この結果にそれを見越していたアンセルムはホクホク顔であった。これでオークランスがお座なりになることはまずない。
さらには剣術大会の優勝者が王配となることは、これ以上ない護衛騎士が女王に寄り添うことに違いなかった。また、第一騎士団の統括もスヴェンが行う予定だ。これによって鍛え直されることは間違いないだろう。
一国の太陽である女王はさらに輝き、その横で優しく見守る王配の姿は、平和な国家の象徴となったのであった。
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ここで一度完結します。
しかし、この作品はまだまだ続きます。
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