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26.ここから始まる大捕物

混乱までの時間稼ぎなのか。同じ騎士団同士の戦いとなると実力が拮抗していることもあるのだろうが長期戦となっていた。


姿を消していたはずのエリアスが少しずつアリシアの視界に入るようになった。


「どうやら何か掴んだようですね」


クラースはエリアスが僅かに発した合図に気づいた。アリシアとクラースはあえてエリアスから視線を外し、エリアスが立ち位置まで戻るのを待った。そして、観客の視界にも自然と護衛騎士の存在が馴染んだところでエリアスを呼んだ。


「クロです。団長は第三騎士団団長と交流があり、さらに間者を挟んでどちらかから指示を仰いでいる様子でした。団長同士なら接点があっても良さそうですが、表ではなく内密に繋がっていました」


「そう。ありがとうエリアス。首謀者は見当がつきますから、引き続き護衛をしながら先ほどの指示の継続を」


「はっ!」


エリアスは立ち位置に戻ると周囲を警戒しながらも視線の先はアロルドに向けていた。


「どこまでが彼の傘下なのでしょうね…」


アリシアはアロルドの忠誠が薄れていることに気付いていた。彼の心にいる主は自分ではない。


気がつけば試合は準決勝まで進んでいる。スヴェンを含む第二騎士団の騎士3人とルーカスが残っていた。


すると、1羽の鷹が上空にやってきた。旋回すると目標を見つけ降り立った。そこはアンセルムの腕だった。アンセルムは鷹にくくりつけられた手紙を読むなり眉をピクリと動かした。そしてアリシアの元へと移動した。


「陛下、隣国からのオークランスへの襲撃ありとの一報が届きました。今は応戦し食い止めている状態です。いかがいたしますか?」


二人が予想していたことが起こった。アンセルムとスヴェンが不在時に襲撃が起こったのだ。


「追加人員は必要ですか?」


アリシアはアンセルムに確認した。


「いえ、報告の様子から現存の戦力で充分です。鎮圧しますか?」


「ええ。『追加人員なし、敵を鎮圧せよ』そのように進めてください」


アンセルムは鷹に指示書を括ると解き放った。


その様子を見ていたアーロンはしたり顔で再びアリシアに近づいてきた。


「何かトラブルですかな陛下」


「そうね。この騎士団の剣術大会の日に隣国が攻め込んできました」


「…」


「…」


「…って、それだけですか?陛下!なぜそんなに落ち着いてるいるのですか!?襲撃ですぞ!今すぐ騎士を派遣した方が良いのではないですか!?」


事実だけを述べたアリシアにアーロンは噛みついた。


「第二騎士団が対応しています。将軍に確認したところ戦力は充分とのことですから、鎮圧を待ちます」


「いや、そんなわけないでしょう!こちらに戦力は集結しておるのですぞ!今すぐにここにいる第二騎士団員や追加人員を派遣するべきです!」


「…、だそうですがオークランス将軍、必要ですか?」


「いえ、必要ありません。彼らは我が領地から連れ出したのですから戻しませんよ」


「えっ?」


アンセルムの言葉にアーロンは動揺した。


「反乱の恐れのあるものは領地の第二騎士団から外しました。彼らを戻せば自軍ではなく敵国側に回るでしょうね。応援の人員も第一騎士団や第三騎士団から出すことになるでしょうが、足手まといになりましょうから結構です」


「な、何を言っとるんだ貴様も!なぜそうだと言いきれる!?」


「オークランス領で拘束している残りの騎士から証言を取りましたからな。我が領にいる反乱軍は排除されてますぞ、首謀のアーロン・カールグレーンよ」


摘発されたアーロンは目を見開いた。


「オークランスは陥落などしない。主戦場はこちらにある。さて、このお遊戯会のような剣術大会しか出来ぬような第一、第三騎士団の面々で謀反は起こせるか?」


「何を言っとるかさっぱりわからんのですが…。謀反とは何ですか?首謀が私だと?」


アンセルムの指摘にアーロンはしらばっくれているが、そこにクラースも加わった。


「何も裏取りがなく摘発するとでもお思いですか?騎士団の軍人にはまだ接触はしておりませんが、貴族からは裏取りが出来ております。カールグレーン侯爵、あなたが宰相時代から金銭的やりとりがあると。維新派からすれば女系の王室は取り壊したいようでしてね。王室の崩壊を企てているようだと。さらにはその後の実権が政治に最も強い宰相の家門に移るようにと画策していると」


クラースはこの数日の間にしっかりと証拠を掴んでいた。


「くっ!わ、私を悪者に仕立てるとは、私ははめられたのだ!維新派に首謀者に仕立て上げられたのだ!だがしかしこれは民意だ!」


「そこまでしてあなたがしたかったことは何なのかしら。一国の王になること?だとしたら、完璧に仕事をしなければならなかったはずよ。お座なりにする領地があってはならなかった。私欲の利でしか動かない元首はいらないわ。民意は理解しています。この国は男尊女卑であり女王の存在を良く思わない者もいることは存じています。でも、あなたを国王にしたいという民意はないと思います」


女王の言葉にアーロンは開き直った。


「ここまできて引き下がれるか!やれ!やるんだ!」


アーロンの指示にアーロンが従えていた騎士が動こうとするとその後ろからやってきたベロニウス侯爵家の騎士があっという間に取り押さえていた。


「んなっ、なんだと!?」


「私欲の塊ですわね、侯爵閣下。私を子息の婚約者に据え置きながら何年経つとお思いで?私もルーカス様も貴方の駒ではありませんのよ」


「リースベット嬢!?」


「出自の家門と義理の家族になる予定の家門、比べるまでもありませんわ。私は王位継承権を持つ侯爵令嬢です。優先すべきは国であり、女王陛下ですわ。それが後の自身の為にもなるのですから」


そして、アーロンをクラースが取り押さえていると、一悶着していたが為に観客から大きく注目を浴びてしまった。


女王は一言発言した。


「お騒がせしました。皆様は大会を楽しんでください」



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


作者のモチベーションに繋がりますので、よろしかったら、評価していただけると嬉しく思います。



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