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22.通ずる者たち

粛々と準備が進み、観覧席が埋まり始めた頃。応接室にいたのはリースベット・ベロニウス侯爵令嬢だった。


「ご無沙汰しております、女王陛下」


アリシアを前にして美しいカーテシーを示した。


「ええ、こちらこそ。元気にしてましたか?さ、どうぞ、おかけになって」


リースベットは顔を上げ女王の許可を受けてソファに腰を掛けた。


「長くお会いできず寂しい限りでした」


「そうね。貴女が婚約をして以降このようにお会いしてお話する機会はありませんでしたね?」


「はい。少し陛下に妬いておりましたので、私としたことが子供じみておりましたわ」


「私とカールグレーン侯爵令息は同い年で幼馴染みですからね。距離が近いですもの。仕方のないことではありますし、貴女は幼かったですもの。いよいよ成人となりますね。おめでとう」


「お祝いのお言葉、ありがたく頂戴します」


しばらくは社交辞令が続き、ベロニウス侯爵家の近況やリースベットの生活についても話をした。アリシアはリースベットを窺っていた。


(ほんとに美しく成長されましたね。所作も礼儀もしっかりと。癇癪令嬢という噂があまり信じられませんが、美人が凄むと冷たい印象もありますし、あの子は聡明ですから何か考えがあってのことかしら?)


「本日はルーカス様が私に勝利を捧げてくださる約束をしているのです。優勝者には報奨があるのだとか?」


「カールグレーン侯爵令息は優勝を狙っていらっしゃるの?」


「はい。そのように伺ってます。私は手に入れたいものがございますの」


そこですっと立ち上がると続きを告げた。


「ですから、そのあとのことは私にお任せくださいませね、アリシア姉様」


リースベットはニコッと口角を上げ、アリシアを見据えた。アリシアは久しく呼ばれた呼称に一瞬注意をはらったが同じくすっと立ち上がるとそれに応えた。


「期待してますわね、リー」


そして同じくニコッと口角を上げ、リースベットを見据えた。それを確認するとリースベットは退室のため動き出した。


「特別観覧席でおとなしくご覧になっててくださいませね。それでは」


最後に一言述べリースベットは去っていった。




その後ろ姿を見届けていたアリシアにクラースは声をかけた。


「陛下?リースベット嬢は随分と大人になられましたね。あれは嫌味ですか?」


「いいえ。うふふ。随分と背伸びして頑張っていましたがあの子の言わんとしていることは理解しました。私は言われた通りにしましょう。クラース、貴方は常に私の側に控えてて」


「!、かしこまりました」


顔付きの変わったアリシアの言葉にクラースも了解した。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


作者のモチベーションに繋がりますので、よろしかったら、評価していただけると嬉しく思います。



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