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21.それぞれの本音

アリシアはルーカスの告白に考えを巡らせた。


(ルーカス…。彼の想いが本当はどこにあるにせよ、周囲からはあれは愛の告白に見えたでしょうね。彼がリースベットとの結婚に踏み込まない理由は、私への想いが経ちきれないからと写ったことでしょう。貴方を信じて良いのね?ルーカス)


あの時ルーカスが取った手は右手だった。彼は愛を誓ったのではなかった。女王に忠誠を誓ったのだ。そのことに気付いたアリシアは一連のルーカスの行動には意味があるはずだと彼の狙いを読み取ろうと熟考するのであった。




◇◇◇


剣術大会の朝を迎えた。この日の朝食はオークランス一家と共にすることが出来たアリシアはこの日の流れについて確認することにした。


「オークランス辺境伯。貴方はエメリ様と観覧なさりますか?」


「いえ、私は闘技場に降りて近くから見学するつもりです」


「そうですか。でしたらエメリ様には私の近くのお席を確保しておきましょう」


「ご配慮頂き感謝します」


「スヴェン、いよいよですね。体調はいかがですか?」


「調子は良いです。お気遣い頂きありがとうございます」


アリシアはスヴェンとの距離を感じ、不安に思った。


(しばらくお話できなかったもの。無理もないのかしら)


「お食事が済みましたら、少しお時間いただけますか?」


「はい」


こうして、食事を続けるのであった。





「スヴェン、お時間いただきありがとうございます。少しお話がしたかったのです」


「こちらこそ、お時間を作っていただきありがとうございます」


スヴェンと目があったが、すぐにそらされてしまった。先日までは見つめ合うことが出来たのにと今の心の距離が表されているようでアリシアは寂しく思った。


(今日情勢が動く。未来はどうなるかわからない。でも私の心は貴方にあるの。この縁談については立場の配慮も必要だけれど、私の気持ちだけは伝えておきたい…)



「スヴェン、今日は私に勝利を捧げてくれますか?貴方の勝利しか望みません。私は貴方の勝利が欲しいのです」


「アリシア様…」


しかしスヴェンは何やら返答に困っている。そこにクラースが声をかけた。


「陛下、来賓が到着されてます。ご挨拶のためよろしいでしょうか?」



そしてスヴェンの返事が返ってくることなく、時間を迎えてしまった。


「では、スヴェン。健闘を祈ります」


アリシアはスヴェンを残し次の場所へと向かった。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


作者のモチベーションに繋がりますので、よろしかったら、評価していただけると嬉しく思います。



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