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20.叶わなかった恋

剣術大会まであと1日と迫る中、女王は忙しくしておりスヴェンは共にする時間が取れずにいた。


(お時間を作ってくださっていたからお話できたんだな…)


共にした昼食も星空の観察も今となっては貴重な時間だった。



城内を散策していると話し声が聞こえ、スヴェンは息を潜めた。



「ルーカス、今日も騎士団に向かうのですか?」


「はい、大会が終わるまでの間です。出場するからには優勝を狙っていますから」


公務の合間なのだろう。書類を抱えた側近や使用人と護衛騎士を引き連れ移動しているところであった。


「陛下、少しお時間をいただけますか?」


私的なものと判断したのか、女王はルーカスを残し他の者を下げさせた。


「自ら志願するほどですから、余程欲しいものがあるのかしら?ルーカス」


「そんなところですよ、アリシア」


するとルーカスは女王の髪を一房手に取りそこに口付けた。その光景と名前で呼び合う中だという事実にスヴェンは衝撃を受けた。


「まったく。女遊びも程ほどにしませんと婚約者を失うことになりますわよ。幼馴染みとはいえ近すぎますわ」


「彼女は聡い人なので、貴女とのことには寛大なのです」


「それで?貴方の望みは何なの?騎士団に所属している時もここまで剣は振るってなかったと思うのだけれど」


「貴女のお側に立ちたいのですよ、アリシア。誰よりも近い位置に立ちたいのです」


「…今さら、何を言ってるの?」


「前にも言いましたが私の心はいつでも貴女にあるのです。剣術大会での勝利は貴女に捧げます、アリシア。どうか祈っていてください」


するとルーカスは跪き女王の右手をつかみそこに口付けた。


「!?」


女王は一瞬驚いた表情を浮かべていたが、すぐにルーカスを立たせた。


「…わかりました」


その返事にルーカスは笑みを浮かべ、二人は再び歩き出したのだった。



スヴェンはその光景をただ見ることしかできなかった。ルーカスは幼馴染みでもあるアリシアを思い続けていたこと、そして、アリシアもまた大切にしているようだということ。二人の立場を考えれば交わることが許されぬ恋だったのだろう。端から政略結婚を申し込まれていればここまで悩むことはなかっただろう。こちらもそういう運命だと割りきれる。しかし、こうなってはルーカスは恋敵であり、自分の恋の成就はアリシアの想いを犠牲にした上で成り立つのだと思うと形容し難い気持ちになった。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


作者のモチベーションに繋がりますので、よろしかったら、評価していただけると嬉しく思います。



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