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14.騎士ではない実力者

(眠れなかったわ…)


侍女が身支度の準備を始めるなか、アリシアはベッドの上で体を起こした状態で呆けていた。


昨夜1日の仕事を終え部屋に戻ると、柔らかい月明かりが気になりベランダへ出てみることにした。すると、外にスヴェンの姿を確認したのだ。共に空を眺めることにしたアリシアは、夜空を見上げるに相応しい場所へと案内した。夜の空気は思いの外冷たく少々薄着が過ぎたかと後悔したが、アリシアが風に当たることはなかった。ごく自然にスヴェンが風上に立ち風避けをしてくれていた。さらには星の話になり顔を寄せ合う形になると胸の高鳴りから体が火照り、寒さなどどこにも感じられなくなっていた。


(あんなに近くでお顔を見られるなんて…、眼福です!耳元で聞いた彼の声が素敵すぎて、目が冴えてしまったわ)




「アリシア様?昨晩はお休みになれませんでしたか?こちらにお食事をお持ちしましょうか?」


いつもとは違う様子にミアが配慮した。


「…そうね。そうしてくれる?」


この日も公務が立て込んでいたアリシアはほんの少しだけでも部屋で休むことにした。



◇◇◇


「こちらが剣術大会の近衛騎士団と第三騎士団からの参加者一覧です」


「随分と早いのね」


「大会まで残り10日程ですので、今からの鍛練で調整するのは難しいですからね。ある程度の実力があるものでなければ志願はしませんよ」


ルーカスは両騎士団からの届け出をまとめ女王に提出した。


「貴方はこの顔ぶれをどう思いますか?」


「妥当だとは思います。其々の騎士団の中では実力のある方ですし、将来性を考慮しても良い判断かと」


「それで、オークランス卿の実力は測れますか?」


「その件に関してですが、私も参加者に加えていただくことは出来ますでしょうか?」


「「!?」」


これには女王の横にいたクラースも驚きを隠せなかった。


「貴方は今騎士ではありませんが?」


「はい。ですが、つい先日までは近衛騎士団の副団長を務めていた身です。己の力を測るためにも、そしてスヴェン・オークランスの実力を測るためにも有効な方法であるとも考えます」


「貴方の力も?」


「はい。私の実力はご存じでしょう?私と比較していただければわかりやすいかと思いますし、私もこれまで鍛練してきました。スヴェン・オークランスに勝ってこそ真に優秀な男と言えますからね」


「ではもし貴方が優勝するとして、希望する報奨は何ですか?」


「それは…、今は明かしません。まだ秘めておきます」


(?いったい何を考えているの?ルーカス…)


王配に相応しいと優秀だと考える人物としてスヴェンを紹介しておきながら、そのスヴェンに勝ち真に優秀な男となりたいというルーカスの目的は何なのだろうか。


「陛下?いかがなさいますか?カールグレーン宰相の参加はお認めに?」


「宰相を継がせたのも私の命でしたし、騎士団を退団して間もありませんから、今回の参加は認めましょう」


「ありがとうございます」


ルーカスは一礼した。




「騎士団に所属しない実力者…。貴方はもしこの条件を加えたら参加しますか?クラース」


クラースと二人で執務を再開すると、アリシアは彼に確認した。


「なるほど…。私はそもそも騎士団に所属したこともございませんし、配置転換も報奨も希望ありませんから参加せずに貴女のお側におりますよ、陛下」


「貴方って欲がないのね」


「そんなことはございませんよ?私の欲はただ貴女の側にいたい。それだけです」


「そういうことは恋人にお伝えになって。冗談や戯れは結構よ」


「私に婚約者も恋人もいないことはご存じのことかと思いますが?」


(もう…。この人はご自分の価値を理解してるのかしら?)


はぁと溜め息をつくと、今はもう見慣れた綺麗な横顔を見つめた。


側近クラース・オーバリはアリシアの乳母となってくれたオーバリ伯爵夫人の息子だ。生まれたときからずっと側にいてくれる頼れる兄である。母親似の少し垂れた色気のある目元に少し癖のあるブロンドが煌めく美丈夫だ。この人がアリシアの横に存在することもアリシアに婚約者として立候補する者が現れなかった一因となっている。


「私の顔に何か?」


「私が結婚したらクラースも結婚しますの?」


「いいえ、私は生涯貴女のお側におりますよ、マイレディ」


クラースはアリシアの右手をとり、その甲に口付けた。


「貴方は騎士ではないって言ってましたが?」


「陛下の臣下である以上は忠誠を誓っても構わないでしょう?心ではいつも貴女を御守りする騎士ナイトでおりますよ」


「心強いわね」


「そしてそんな私の眼鏡にもかなう人物だと思いますよ。オークランス卿は」


急に名前があがり、アリシアはボンッと顔を赤らめた。


「どうしたのです!?急に」


「何かお悩みでしたか?目の下にクマがございますが…」


「貴方って人は、ほんとに…。大丈夫よ。悩みではないの。ただ…」


「なるほど、恋煩いですか」


「///」


良いものが見れましたとクラースはニコニコとしていた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


作者のモチベーションに繋がりますので、よろしかったら、評価していただけると嬉しく思います。



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