獺祭
前々回次回予告で「獺祭」とエコー付きで振っといて前回は「はじめてのはわわ」。しかも本文中でエクスキューズと書きたかったのだろう、「エキュスキューズ」なる新語を生み出している。
獺祭とは徹底的な数値化による管理でハイクリアランスを実現した日本酒であり、お手頃な価格でたくさんの日本酒好きを同じ様に酔わせている事でしょう。
例によって前回どこまで書いたか忘れたけど、カワウソちゃんの部署に入れたり入れなかったり、最初の頃は名前すら覚えてもらえてない様子でも「おにゃがいしまあしゅ」にはわつきながら、高いモチベーションで仕事を覚えて行った。良く目が合う気がするけど、僕が見てるからだろう。数回はわつかせてもらってるうち、どうにも彼女は朝8時半頃から夜7時くらいまで連日居て、部署的に忙しいのだろうと思った。3人の子が居る事を考えると大変だ。さすがに表情が厳しい日もあったし、部署内では持ち場を回していくんだけどある持ち場の時は特に険しい表情をしている。そりゃあいつでもあの天使みたいな笑顔なんてしてらんないやね。けれども帰る時にはわざわざひとりひとりのもとにあの笑顔で「おしゃきにしつえいしまあしゅ(お先に失礼します)」と挨拶に来る。彼女、無理してないだろうか?そんなふうに思っていた僕は、心の中で涙しながら「はわわ(はい)、おつかえしゃまれした(お疲れ様でした)」と、精一杯苦手な笑顔を作って返す。
けれども次に会った時にはまたあの柔らかい彼女に戻っていた。
生理痛が酷かったのかもしれない。
そうだ、彼女がしゃがんだ時腰痛ベルトが見えたし。腰痛だったのかもしれない。
これでまた安心してはわつけるぜ。
それから何度か安心してはわついていた。「ふたばしゃんにヤッてもあうー」「ふたばしゃあーん!」名前を覚えて呼んでくれるようになった。
僕はあの持ち場での彼女の険しい表情がなんだか面白くて、また僕の持ち場と向き合う形なので見ていた。なんだか彼女も良くこっちを見てる気がする。いや、責任者だからあちこち目配せしてるんだ、きっと。
そしてその僕の持ち場からは、メジカちゃんも良く見える。メジカちゃんは基本フテ顔してる。でも時々女性同士喋る時、破顔する。その案配はまるでカワウソちゃんと真反対だった。