君にキメた!/決断
もう僕は迷わない。僕の全はわわはメジカちゃんに向けるんだ。けれど問題は元妻だ。彼女が僕を好きなら僕が誰かにはわつくのは彼女を悲しませるだろう。しかし彼女は車で5分の距離を惜しんで顔も見ずに帰った。いくら僕が「秋まで会えないかもね」と言ってたからってそんなの言い訳だ。会いたくないから会わない。それだけ。だから僕は彼女を忘れる為にも全力ではわつく事にした。
それから僕は主にカワウソちゃんの部署ばかりで働いた。カワウソちゃんの様々な表情を見る様になり、徐々にカワウソちゃんにははわわしなくなって行ったけど、それでもアテにされ彼女に名前を呼ばれる事が多くなって嬉しかった。やっぱり仕事を頼まれる度にあの笑顔で
「おにゃがいしまあす」と言われると軽いはわつきを覚えはしたけど、それより僕が来ると楽で助かると喜んで欲しかった。
それに僕が主に任される持ち場の向こうにはメジカちゃんの姿が見えるし、カワウソのあの険しい顔も観察出来る。また、時々ラクスルちゃんも通りかかるしベストポジションだ。一途な僕は本当はずっとメジカちゃんにはわつきながら働きたい。けれど彼女の部署は二人部署で、いつも慣れた女性二人でまわしてて、募集は出なかった。それにメジカちゃんはその慣れた女性同士の時、とても楽しげだ。離れていてもはわつけるさ。主にカワウソ、メジカ、ラクスルちゃんを対象にはわついているとある傾向に気付いた。やっぱり雰囲気と云うか、所作なのである。カワウソちゃんの笑顔とあのおっとり上ずった喋り方は可愛い。でも大きくて、動きは厳つい。例えるならアイドル的なバレーボールの選手みたいだ。いちばん関わりがないラクスルちゃんを案外目で追ってしまう。顔、背恰好、歩き方。ちょっと苦手な方向にフェミニンなファッションセンスが窺い知れるところとか、まるで元妻だ。微妙にくねくね歩く。そして僕は、元妻の雰囲気を探して彼女の後ろ姿を眺めてしまう。僕はまた元妻に対して機嫌を損ねていた。もう繰り返しにくたびれていた。だからラクスルちゃんとはあまり接点を持ちたくなかった。




