旅の支度
夜明けが来るまでに急いで旅支度をしよう
満月がほら急げと群雲に伝令を出している
もうすぐこの胸の中に嵐が吹き荒れるだろう
長きにわたり培ってきた渡り鳥の勘がそう告げるのだ
この街はただの羽休めのつもり
立ち寄った宿もどうにもオンボロで
食事も質素で安上がり
のどかな街並みはあきれるほど退屈…
時折り通る馬車の窓に華やぐドレス見えるけど
蹄の音も荒々しくて貴族の気品に欠けている
廃れた街の魅力は未知数よ
キミに誘われて袖すり合うていどの人助けをふたりで…
だけど愛しいキミはもうここには居ない
ふたりで過ごせた想い出はいずれも
すれ違いの真実を追いかけもとめていった
行き交う瞳がとまどいに満ちていき
浮気の相手せつなく 突き付け合ったね
これで最後の依頼にしようと心が震えてた
受注すれば降りられない渡り鳥という名の
しがない探偵家業に見切りをつけて今夜
キミの胸つらぬいた悪臭ただよう銃口に睨まれた
オレも追われの身になるかもしれないな
対立する勢力と知らずに弾まれた謝礼で
キミと明日にでも式を挙げるはずだったのに
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