寿命残り1日だったら
18の秋の始まり
書くものも書いて机の上に置いた
18になりたてだけどタバコを自動販売機で買った
子供の頃は「タバコなんて絶対に吸わない!」とか思ってたし、その当時の友達にも言ってたんだけどさ...
やっぱりかっこいいじゃんね!
洋画とか観てると憧れてくるんだよなぁ。
ハードボイルドな感じとかものすごく憧れるし。
それで買ったタバコはマルボロってやつでアイスなんちゃら色々書いてあったけど、よくわかんないなかった。
まぁ、タバコを買ったのはいいんだけど、ライターがないことに気づいて、コンビニに寄ったんだ。
ライターとストロングゼロとコンドームを買った。
別に、コンドームを、買う必要も無かったし、相手もいないけど、買ってみたかったんだよね。
お酒を買う時には年齢確認されなかった。
自分って、老け顔なのかな?
...こんなどうでもいいことを考えられる時間も...もう...少ないんだよな...
コンビニを出て、花屋に行って花を買った。
キランソウって花で、鮮やかな紫で綺麗でさ...
花言葉が良かったんだよな。
死にゆく俺にピッタリの花言葉で。
乾いた笑いは、出たが、不思議と涙は出なかった。
まぁ、俺の人生こんなもんか、と諦めていたからかもしれない。
今日を必死に生きるこの地球の住民に申し訳なく思いながらもうすっかり日が落ちたこの大都会を歩く。
酒を最後まで飲みきり、ゴミ箱に捨てる。
少し熱く、赤くなった顔が大都会の秋の風で冷やされる。
今日が最後の日だから、と完璧にセットした髪が少し崩れる。
タバコを咥え、ライターで火をつける。
この昔は憎んだ、だけど今は愛するこの街を一望できる展望台へとふらついた足で向かう。
時刻は10時。
街の光に空が照らされて星なんてみれなもんじゃないが、この街の光でいいか、と妥協する
タバコを咥え、片手に花を持ちながら展望台を離れる。
花が少しくたびれた頃、俺は交差点で信号を待っていた。
あぁ、心残しは数えられないほどあるなぁ。
死ぬことについては今はもう何も感じない。
仕方ないこと、受け入れなければならないこと、と諦めている
そろそろだな...
人が大量に行き交う交差点のど真ん中。
タバコ、花、俺。全部地に落ちた。
思考は地よりも深く深く白い、何も無い所に落ちる。
あぁ!楽しかった!