表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

8

 召喚士のジョブをとった俺は狐の召喚獣を召喚した。コムギと名付けられた召喚獣は魔法タイプのようで、体力がないということなのか自分で歩くことはほとんどなく、大体俺の頭に乗っていた。


「戦闘になったらちゃんと働いてくれよ?」


「コ~ン。」


「不安だ。」


 コムギののんびりとした返事にそこはかとなく不安を感じる。全然強そうには見えないし大丈夫か?俺とコムギの二人だけのパーティーなんだから頼むぜ相棒。


「とりあえずお前の力を見せてくれ。初心者用のフィールドだから多分倒せるはずだ。」


「コンコン?」


「俺も一緒にやるからとりあえず自由にやってみてくれ。」


「コン!」


 多分返事もしているし分かっているであろうということにして敵を探す。

 これがコムギの初陣だからしっかりサポートしてやらねば。

 そして獲物を探して歩く俺たちの前に現れたのはプチスライム。


「お。来たぞコムギ!あれがプチスラ」


 ドゴン!


「コン?」


「ああ。いや、よくやったな。うん。」


 コムギの放った狐火がプチスライムに直撃し一発で倒してしまった。いや、全然いいんだけどあんまりやる気なさそうだったからちょっとびっくりした。

 まあプチスライムだし、魔法も効きやすい相手だから一発で仕留められるよな。


「まあいいや。この調子でどんどん行くぞ!」


「コーン!」


 そして俺たちは初心者フィールドでプチスライムとトビウサギを狩りまくった。

 刀を振り回す俺の頭の上に居座っているコムギは完全な固定砲台と化していた。


 そこまでして俺のレベルはひとつ上がって3レベル、コムギは2レベルになった。

 後で狩場を変えればよかったことに気づいたのだが、それに気づいた時には結構な時間が過ぎてもうそろそろログアウトしなければいけない時間だ。


「ゲームとはいえさすがに疲れたな。お前も疲れたか?」


「コ~ン。」


 MPを消費しながらも休憩しながら狩りに付き合ってくれたコムギには感謝だ。ぶっ続けだったから大変だっただろうに。召喚獣が疲れるかは分からないけど。

 コムギに嫌われないようにログアウト前にきちんと労っておく必要があるな。

「よし。コムギも頑張ってくれたことだし、歓迎の意味も込めて今から食事に行くか。」


「コン!」


 やはり俺の言葉が分かるのか、食事と聞いて急に元気になって尻尾を振り回し始めた。

 俺はそんなコムギの様子に苦笑しつつも、召喚獣も食事ってするんだなと今さらながらにそんなことを考えていた。


 町へと戻った俺はコムギを頭の上にのせたまま店が立ち並ぶ大通りを歩く。

 頭の上に居座るコムギが珍しいのか周りの視線が俺の頭の上らへんに集まっていた。


「そういえばお前はなにを食べるんだ?」


「コン?」


 狐といえば雑食性だが、鳥とか兎とか肉を食べるイメージが強い。

 ここはトビウサギがよく食べられるそうだから、コムギにも食べさせてあげたら喜ぶかもな。


 コムギがなにを好んで食べるのか分からないので、とりあえずなんでも揃っていそうなファミレスのようなレストランのような店を選択。

 そういえば今さらだが、召喚獣って店に入ってもいいものなのか?


「いらっしゃいませ。」


「ええと。こいつも一緒で大丈夫ですか?」


 営業スマイルで出迎えてくれた女性の店員さんに俺の頭のうえを指さして尋ねる。

 店員さんの視線が上を向いてコムギを捉えると店員さんの顔が分かりやすくデレッとなった。


「はい。大丈夫ですよ。その代わりなにか問題を起こしたり器物を破損した場合は、飼い主に責任が発生するのでご注意くださいね。」


 コムギが入店できることにほっとしつつ店員さんに案内されて席につく。

 人型ならまだしも動物型の召喚獣も入店できるところはさすがゲームだな。まあ今はペットカフェとかあるからそんな凄いことでもないのか?レストランとかは無理だろうけど。


「よしコムギ。好きなものを頼んでいいぞ。」


 コムギを頭の上から下ろしてメニューを開いて見せると、コムギは狐の顔でも分かるほどに真剣な表情をして選び始めた。やっぱりコムギはどこか人間くさいところがあるよな。召喚獣だからか?

 そんなことを考えながらコムギを眺めているとメニューが決まったのか、俺を見ながらメニューの写真を足でたしたしと叩いてみせた。


「ん?お前これ、デザートじゃないか。」


 コムギが選んだのはたっぷりのイチゴやベリーがのって蜂蜜のかけてあるいかにも甘そうなパンケーキ。おまけに生クリームも添えてある。


「肉じゃなくて甘いものが好きなのか?」


「コン!」


 てっきり肉を食べるものと思っていたが、どうやら甘いものが好きらしい。狐は元々甘いものが好きなのか、それともゲームだからなのかは分からないけど。俺は狐の生態系に詳しくはないし。とはいっても野生の狐はパンケーキ食べないだろう。せいぜい甘いものといっても果物とか。


 そろそろコムギの早くしろアピールが酷くなってきたので、店員を呼ぶとコムギの選んだパンケーキを頼む。俺はハンバーグのセットにした。


 料理を待つ間、コムギを撫でながら掲示板で情報収集を行う。次こそは初心者用のフィールドを卒業したいからな。ほどよい狩場に目星をつけておかなくては。


 掲示板を見ているとそれほど待つこともなく料理が運ばれてきた。逆に早すぎて全然情報収集できなかったくらい。いや、べつにいいんですけどね。


「ほらコムギ。食べていいぞ。」


 テーブルの上に座っているコムギの前にパンケーキを持っていくとコムギは嬉しそうに食べ始める。


「美味しいか?」


「コーン!」


 嬉しそうに夢中になって食べているコムギを微笑ましく思いながら、俺もハンバーグに手をつける。


「ゲームの中で食事ができるって凄いよな。しかも美味しいし。」


 ハンバーグは箸を通すと肉汁がでてきて食べごたえもあって凄く美味しい。

 今のゲームって凄いよなーと思いながらコムギと食事を楽しむのだった。


 食事を終えて腹ごしらえとコムギの労いを済ませ、俺はコムギを送還した。


「じゃあな。すぐ戻ってくるよ。」


「コーン!」


 なんだか名残惜しく感じてしまったが、俺は早くもこのゲームにはまってきたということなのか。それとも、コムギの愛らしさにやられてしまったのか。


「ま、いっか。」


 俺はメニューを開いてログアウトをして現実の世界へ戻った。







 VRゲームを頭から外して同じ体勢で長時間いたため凝り固まってしまった体をほぐす。

 それにしてもゲーム中で食事はとってもやっぱり現実世界でも腹は空くもんだな。というわけで食事の準備をする。

 体調がよくないとゲームにログインできない仕組みになっているからな。体に悪影響がでるのを防ぐためらしい。だから体調管理には気を付けないと。


 今日の昼飯は茹でたパスタにトマトソースをかけるだけのお手軽パスタ。きちんと野菜もつけておこう。

 ぱぱっと昼食を終えると歯磨きをしてトイレも済ませ、よし準備万端。


 早速ゲームへと思ったらスマホにLINEがきていたので確認しておく。

 送り主は仲のいい幼なじみの一人の拓斗からだった。

 こいつはまだ受験中だからな。推薦で通った俺とは違うのだ。まあこいつの場合かなりの頭のいい学校の予定なので俺は自慢できる立場じゃないけど。


 LINEの内容は「fragment・onlineはどうだった?」というような内容だった。

 ちょっと。羨ましいのは分かるけどお前受験生だよな?なに普通にゲームのことを聞こうとしているんだ。


 元々ゲームを始めることになったきっかけは拓斗ともう一人の幼なじみの陽向が、これから大学で別れてしまうのでオンラインゲームで一緒に遊ぼうと提案してきたからだった。

 俺たち3人は家族で仲がいいので昔からよく遊んできた幼なじみだ。

 そのためなかなか会えなくなるのはちょっと寂しく感じていたから同じゲームをしようと誘われたときは嬉しかった。二人も同じように思っていてくれたのかなと。


 そんな時にちょうど俺が姉からゲームをもらったので、せっかくだから『fragment・online』にしようと3人で決めたのだ。

 最初はいきなりゲームを送りつけてきて何事かと思ったけど、結果的に人気のゲームを始められたので姉には感謝だ。


 俺だけ推薦で一足先に受験生を卒業したので調査も兼ねて先にゲームを始めたのだが。拓斗は結構ゲーム好きだからな。



セイヤ『勉強しなさい。』


タクト『けち!推薦組め!俺も早くゲームがしたい!』


セイヤ『☆⌒(*^∇゜)v』


タクト『腹立つー!』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ