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 トビウサギのドロップ品をインベントリに収納すると次の魔物を探して歩く。


 刀の使い心地は思っていたよりなかなかよくて問題なく使えたことに安心した。

 刀は扱うのが難しいと聞いたから心配していたが、この分なら戦闘を続けていけばそれなりに形になるんじゃないか?

 まだ刀士のアクティブスキルは試していないが、刀士のスキルはここぞというときに使うものが多いので、初心者フィールドではあまり必要ないかもしれない。


 それから遭遇したプチスライムは無視して、3体のトビウサギを刀だけで倒した。

 刀の使いに慣れるように、じいちゃんとの練習を思いだしながら刀をふるう。

 こんなところで役にたつなんてなにがあるか分からないなと考えながら練習を続けていった。


 他の新しい風の魔術師と召喚士のジョブも試さないといけないのに、刀での戦闘が楽しくてなかなかやめられない。


 そしてかれこれ一時間。

 結構トビウサギを倒したんだが、初心者フィールドで魔物が弱いこともあり、未だに俺のレベルは1。

 刀士のジョブもレベルが上がっていない。

 もちろん、他のジョブは手をつけてすらいないから上がるはずもない。


 狩場は早めに変えたほうがいいかもしれない。


 が、その前に魔法の検証だな。


 俺が選択した風の魔術師のジョブは、もちろん風属性の魔法のスキルを覚えることができる。

 まだジョブレベル1なので使うことのできる魔法は風の初級魔法。


 初めての魔法ということでちょっと緊張するが、それ以上に創作の物語でしか存在しなかった魔法を使えることが楽しみでたまらない。


 魔法は杖なしでも使うことはできるが、杖があったほうが魔法の威力も大きく消費するMPが少なくてすむなどの補正があるため魔法をメインにするなら杖はあったほうがいい。

 俺は刀がメインで魔法はあくまでも補助的なものと、物理攻撃が効かない相手に使ったりするものとして考えているので、杖を使うことはあまりないだろう。


 ちなみに、杖は打撃武器としても使えるそうだ。


 トビウサギは動きが素早いので近くにいたプチスライムを標的にし、風魔法を発動する。


「『ウィンドボール』」


 魔法の発動とともに風の塊が出現し、プチスライムへと飛んでいき着弾。


「お、一撃。」


 プチスライムは魔法に弱いと知ってはいたが、初級魔法で一撃で沈むとは。哀れ、プチスライム。


 調子にのった俺はウィンドボールを連発し、プチスライムとトビウサギを倒した。

 ちなみにトビウサギはウィンドボール2発で倒すことができた。

 風の魔術師はレベル1ではウィンドボール、ウィンドアローなどの威力が弱い初級魔法しか使えないので他の魔法を使うためにも早くレベルを上げたいところ。


 《レベルが上がりました。刀士のジョブレベルが上がりました。》


 ―――――――――――――――


 名前:セイ

 種族:人間 Lv2

 ジョブ:刀士 Lv2

 サブジョブ:風の魔術師 Lv1

召喚士 Lv1


 HP:110

 MP:70


 STR:14

 ATK:19

 DEF:12

 INT:16

 MGR:12

 AGI:23

 DEX:16

 LUK:15


 ―――――――――――――――


 刀を使って倒したところでようやくレベルが上がった。相手が弱いからかレベルが上がりづらい。


 確認していなかったが、新しいジョブを獲得したことでステータスにも変化があった。

 ジョブの表記が増えてステータス値も上がっている。

 このステータス値の上昇はレベルアップだけのものではないはず。


 少しだけど魔法の確認もできた。レベルも1だけだけど上がった。

 よし、お次は召喚士のジョブ確認、つまりは召喚獣の召喚だ。


 ここは弱いモンスターしかいないフィールドとはいえ、安心して召喚獣を呼び出せないのでモンスターが入れないエリア、セーフティーエリアへと向かう。

 初心者用フィールドにもセーフティエリアを設置してくれる親切設計だ。

 ほとんど使われていないのもポイントが高い。


 というわけでセーフティエリアに到着。

 予想通り誰もいない。

 サブとはいえ召喚士なのに召喚獣がいないのはある意味問題だろう。


 召喚獣の召喚は完全にランダム制。

 だから欲しい召喚獣を選ぶことはできないが、一期一会、それも召喚士の醍醐味だ。

 自分で好きにモンスターを揃えたいなら調教師をやれってことなんだろう。


 えーっと、召喚に必要なのは・・・なにもないの?

 うん、まあ楽でいいか。

 それじゃあスキルを選択して・・・


「『サモン・モンスター』。うおっ!」


 目の前にいきなり魔方陣?が現れたと思ったら、その上に光が集まり一匹のモンスターが現れる。

 それはふりふりのもふもふで


「狐?」


「コン!」


 召喚されたのは尻尾をブンブンと振り回す、まるで小犬のような小狐だった。


「おー。よしよし。なかなか可愛いやつが召喚されたな。」


 手を差し出しておいでおいでとすると、たたっと駆け寄ってきて、なぜか俺の手を踏み台にするとそのまま頭の上にかけ上り収まった。


「え?そこなの?」


「コ~ン!」


 ご機嫌そうに鳴く子狐は俺の頭の上で楽しそうに尻尾を振り回している。

 いや、尻尾を振るのはいいんだが、頭の上でそれをされると尻尾が頭に当たるんですけど?

 まあもふもふだからそこまで痛くはないけど。


「所定の位置はそこに決定ですかね?」


「コン!」


「ああ、そう。」


 ならしょうがないわな。頭の上が気に入ったならそこで寛いでいてくれ。できれば継続的にダメージの入っている頭のことを配慮してくれるとありがたいけど。

 では、早速召喚獣のステータスを確認しよう。


 ―――――――――――――――


 名前:

 種族:野狐 Lv1


 HP:46

 MP:120


 ―――――――――――――――


 ん?ステータスってこれだけ?

 細かいステータス値はないのか。

 MPが高いから魔法型だというのはなんとなく予想できるけど。


 スキルも確認しておこう。召喚獣はジョブとかはないので種族によって覚えるスキルが決まっているらしい。


 ―――――――――――――――


 スキル

【狐火】【MP自動回復】


 ―――――――――――――――


 スキルが2つは少ないと思うけどレベルが1だし仕方ないか。レベルが上がっていけばスキルも増えていくはずだ。


「そういえばお前、名前ないんだな。」


「コン?」


「え?って。いや、名前ないでしょうよ。」


「コンコン。」


「俺がつけていいのか?」


「コン!」


 不思議だ。言葉は分からないけど、なぜか会話が成立している気がする。気のせい?

 狐は俺の言葉は分かっているかもしれないが。


「コンコン言ってるからコンでいいんじゃ、痛い、痛い!え、ダメなの!?お前、コンといえばかの有名な狐の名前じゃないか!」


 あれ?コンじゃなくてゴンだったけ?


 小狐は頭を連打していた尻尾に加えて髪の毛を引っ張り始めた。一体なにが気に入らないのか。

 って、禿げるからやめてくれ!お前、男にとって髪はデリケートなものなんだぞ!ゲームで禿げるかは分からないけどさ。


「分かった分かった!じゃあ、タマモとコムギどっちがいい?」


「コ~ン・・・?」


 今度は気に入ったのか髪の毛を引っ張るのをやめたみたいだ。

 どっちがいいのか真剣に悩んでいるみたいで、首をかしげている。悩み方が妙に人間くさい。


「コン!」


「いや、それだけじゃわかんねえ!」


 どうやら決まったらしいが、俺には言葉は分からないし、コンだけじゃどっちがいいのかさっぱりだ。


「タマモ?あ、違うと。じゃあ、コムギ?」


「コン!」


 コムギに決めたみたいで勢いよく尻尾をふってアピールを始めた。どういう理由で決めたのかは分からないが、コムギというのは毛の色で思いついた名前だ。たしかに玉藻御前から考えたタマモよりも良いイメージではあるような気もする。


「じゃ、お前の名前はコムギだ。よろしくコムギ。」


「コン!」


 こうして俺にゲームの世界で初めての仲間(召喚獣)ができたのだった。

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