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 はっと気づいて目を開けるといつの間にか噴水のある広場に立っていた。


「はは、これはすごいな……。」


 目の前に広がる町並みも、多くのプレイヤーが溢れかえるざわめきや熱気もどれもリアルに感じられた。体を軽く動かしてみても全く違和感がなく、これが本当にゲームの中なのかと疑ってしまうほどだ。


 このゲームではどの種族関係なくプレイヤーはみな異邦人と呼ばれている。多くのプレイヤーの髪の色も鮮やかで種族もばらばら。プレイヤーを見ているだけで時間が潰せそうだ。


 わくわくしながらしばらく見て回ろうかと歩き始めるとポーンという音がしてチュートリアルを開始しますというアナウンスが流れる。


 チュートリアルは受けようとは思っていたが、プレイヤーの意思に関わらずこれはどうやら強制のようだった。


 《チュートリアル(1)中は他のプレイヤーは表示されません。》


 そのアナウンスと共に多くのプレイヤーで溢れかえっていたはずの広場には人がほとんどいなくなってしまった。

 まあ、移動が楽になったのでチュートリアルは受けやすくなっただろうから別にいいんだが。


 《まずは冒険者ギルドで登録をしましょう。メニューからマップをひらいてください。》


 言われた通りにメニューをひらいてみるとマップの表示が光っていたのでタッチパネルのようにそれを押してみる。

 すると、ボォンと音がしてこの町の地図らしいウインドウが表示される。

 地図の上には『中立都市イニーツィオ』と書かれていた。


 《マップには行ったことのある町やフィールドが表示できるようになります。色々な場所に行ってマップを完成させましょう。》


 《マップに表示されている冒険者ギルドに行ってみましょう。》


 アナウンスが流れなくなったので、冒険者ギルドに行かないと次に進めないみたいだ。


 さて、さっさとチュートリアルを終わらせようか。


 冒険者ギルドは結構立派な建物だった。

 思ったより人が少ないと思ったが、チュートリアルが終了すればプレイヤーで溢れかえるだろうと思い直す。


 入り口正面には受付けのカウンターがあり、右手には食堂だろうか?テーブルに座って飲み食いしている人たちがいた。

 他には依頼が貼ってある掲示板や、二階に行くための階段もある。

 よくある定番ファンタジー世界の冒険者ギルドって感じだ。


 《冒険者ギルドに到着しました。受付けに話しかけてギルド登録をしましょう。》


 アナウンスに従ってカウンターに行くと受付け嬢に笑顔でこんにちわと挨拶をされる。


 笑顔の似合うスタイルのいい美女で、やはり受付け嬢は美人でなければいけないのだろうかとどうでもいいことが気になった。


「初めての方ですね。今日はどのようなご用件でしょう?」


「あ、ああ。冒険者登録をしたいんだけど。」


 俺の顔を見て初めてだと言ったということは、もしかして受付けに来た人を全員覚えているのか?受付け嬢、記憶力良すぎだろ。

 ゲームの中の住人にそんなこといっても仕方ないかもしれないが。


「どうかされましたか?」


「いや、なんでもないです。」


「そうですか?えーと、それでは登録をしますのでこのパネルに手を置いてください。」


 パネルとは急にハイテクになったな。


 そんなことを考えながら言われた通りに手を置くとしばらくパネルが淡く光って消えた。


「はい。大丈夫ですよ。こちらがギルドカードになります。」


 渡されたカードを受けとると簡単な自分の情報が記載されているが、あまり多くは書かれていない。


  ポーン


 《ギルドカードを入手しました。このカードはこの世界でのあなたの身分証になります。また所持金はこのカードに登録されるので買い物はカードですることができます。紛失することはありませんが、大切にしましょう。》


 《「チュートリアル1、冒険者登録しよう」をクリアしました。報酬1000リルを獲得しました。》



 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 セイ


 職業 : 刀士

 所属 : 中立都市イニーツィオ

 冒険者ギルド:F


 所持金:1000リル


 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 チュートリアルを達成したことで報酬が貰えたようだ。


「ギルドカードには依頼の情報が読み込まれますので依頼を受けるときや依頼を達成したときは冒険者カードを提出してください。」


「それは便利だな。」


 依頼達成の証明や討伐部位などを持ってこなくても、このカードさえあれば確認できるということか。

 リアルな世界をうたってはいるが、ゲームだからかちょくちょくハイテクな部分がある。

 そちらのほうが便利だし、あんまりリアルすぎてもって話なんだろう。


「冒険者ギルドの説明を希望されますか?」


「じゃあ、お願いします。」


「かしこまりました。」


 受付け嬢の説明をまとめると


 ・冒険者のランクはF~A、一番上のSランクまである。


 ・依頼は自分のランクのひとつ上まで受けられる。


 ・依頼達成数が一定に達するとランクアップすることができるが、Bランクからは試験を受ける必要がある。


 ・犯罪を犯す(レッドプレイヤーになる)とギルドから除名される。


 ・依頼を達成できなかった場合、違約金を払わなければならない。


 ・冒険者はギルドの資料室を利用できる。


「今の段階で必要な説明はこのくらいでしょうか。また分からないことがあれば気軽に聞いてくださいね。」


「分かった。その時はお願いするよ。」


「はい、おまかせください。それでこの後は依頼を受けられますか?」


 ポーン


 《チュートリアル2~5が発生しました。内容はメニューのクエスト覧から確認できます。》


 予想はしていたが、チュートリアルはこれで終わりじゃなかったか。



 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 チュートリアル

 1、冒険者ギルドで登録しよう。 クリア!

 2、依頼を受けてみよう。

 3、戦闘をしてみよう。

 4、神殿でジョブを獲得しよう。


 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 ここからはチュートリアルを達成する順番はどれからでもいいらしく、この後の行動はプレイヤーの自由。

 まあ、ゲームを進めるうえで意識しなくとも自然とチュートリアルは達成されるくらいの簡単な内容だ。


「なら依頼を受けてみるか。どれかおすすめはあります?」


「それでは、こちらなんかどうでしょう?」



 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 ランク F

「プチスライムの討伐」

 内容 プチスライムを五匹討伐する。

 報酬 50リル


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 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 ランク F

「薬草の納品」

 内容 薬草を10本納品する。

 報酬 50リル


 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 どれもFランクの簡単なものか。受けるには無難な依頼だな。

 戦闘でチュートリアルをひとつクリアできるし討伐系の依頼を受ければ一石二鳥だ。


「依頼を2つ受けることは?」


「はい。依頼は3つまで受けることができますよ。」


「じゃあその2つを受けるか。」


「かしこまりました。カードを提出してください。」


 カードを提出して依頼を受けるとまたアナウンスが流れる。


 《チュートリアル2を開始しました。西門から出て始まりの草原へ行きましょう。場所が分からない場合はマップから確認してください。》


 受付け嬢に挨拶をしてまずはギルドの資料室へと向かいプチスライムと薬草の情報を入手する。

 資料室には職員がいたので欲しい情報を告げるとすぐに対応してくれて簡単に情報を手に入れることができた。


 職員にお礼を言ってギルドから出るとチュートリアル1が終わったからか、プレイヤーの姿が見えるようになっていた。


 マップに従って西門へと向かう。

 西門は冒険者ギルドから一番近い門だったが、それでも結構歩いたような気がするのは気のせいだろうか。


 門には門番らしき人が立っていたが、特に話しかけられる様子もなくそのまま門を通っていた。

 てっきり検問でもあるのかと思ってたんだが特にないらしい。


 始まりの草原は初心者用のフィールドらしく、サービス開始から1ヶ月経った今ではそこまで人は多くない。

 初心者装備をしたプレイヤーが何人か戦闘をしていたくらいだ。

 ほとんどのプレイヤーはとっくに初心者フィールドは卒業して他のもっとレベルの高い魔物がいるフィールドにいるんだろうな。


 さて、依頼にあったプチスライムはどこにいるんだろうか?

 受付け嬢の話では始まりの草原にはトビウサギとプチスライムしか魔物はいないというのですぐに分かるという話だったが。


 おっと。戦闘になる前にまずはステータスを確認しておくか。

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