月夜
ぼんやり夜空を見上げれば
ぼんやりと、まあるく見える
ほの黄色い輝きが
白い雲の衣を纏って
光をぼかす
都会の薄明るい街空に星はなく
あるのは衛星のわざとらしい
煌々とした
点が一つ
明かり無きベランダで
燈る不完全燃焼の蛍は
何もない空の彼方を自由に浮かぶ
衣を纏い輝く天女に
一体どの様に
見えるのだろうか
あぁきっと
つまらなかったのだろう
丸い天女は衣を厚く重ね
そっぽを向く様に
夜の暗闇に紛れてしまった
退屈は彼女たちを
衰えさせてしまうから