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竜を駆るもの  作者: なろうなろう
後書き
33/33

【キャラクター評価】


ウィル:              

 最も描写が難しかった人物。心境変化が激しいけれどもそれをわかりやすい言動で表さないため、その時々の心情を追いかけるのが大変でした。要するに、何を考えているのかわからない人。

 ウィルは主人公ですので、作中のメイン視点人物として機能しました。色々重たい感情を抱く一方、実際に口に出す言葉は簡潔で、道化じみている傾向があります。そのため、会話場面においても、地の文の割合が比較的多くなるという副作用を生みました。また、元の人格は割と標準的なので、気難しいイグルクの気持ちを代弁したり、人間離れしたマグタンクヘの客観的評価を与えるといった役目も十分に果たしてくれました。

 「世を滅ぼす悪神を飼う者」という役回り上、シナリオ展開に大きく振り回される性質を避けられませんでしたが、その中でもキャラクター本来の性質を発揮する場面を最低限確保できたかなと思っています。(一章の殺人拒否反応、狂った後も見せる人当たりの良さなど)

 全体を通して駒として振る舞うことの多かったウィルですが、決して嫌いなキャラではありません。イグルクとの関わり方が少しずつ変化していくところなどは、人間味が感じられてグッドです。



ライム:

 お前は強すぎる。

 一章二話(ウィルが初めて臨むレース)の展開の都合上、桁外れの速さを持つ必要があったのですが、サラマンドラという設定のせいでそこに殺傷力・防御力・知力その他もろもろが加わり、凄まじいハイパースペックと化してしまいました。

 別に嫌いなキャラじゃないのですが、人間どもがわちゃわちゃしているおかげで、ライムの描写は後回しになりがちでした。申し訳ない、ライムちゃん。あ、ライムは雌です。

 彼女はウィルの全ての行動の源です。と同時に、妹ティナの代替品でもあります。そのため、必要以上の人格(竜格?)設定は避け、あくまで無慈悲な悪神として性格を強調しました。その設定の性質上、物語の転機となる大イベントをいくつも引き起こしてくれました。しかしそれだけでなく、平常時のウィルの心の支えとして働いてくれたのも忘れてならないポイントだと思っています。

 当初、ライムは「人喰い」という食性を持つだけの普通のドラゴンの予定でした。が、それだとどうしてもストーリーに救いが見出せなかったため、設定・世界観がどんどん膨らんでいき、それに伴い彼女もサラマンドラになりました。作者の都合によって設定が捻じ曲げられた子No.1ですね。



ティナ:

 THE・機能的存在。最初から死んでますが、ウィルの夢での登場も含めると、出番はそこそこ。物語全体の動力源としてよく働いてくれました。

 その死によってウィルの人格が形成され、ライム(=サラマンドラ)という存在を作り上げました。彼女が居なきゃ物語は成立しません。ウィルの夢にちょこちょこ出てきて、物語の核心に都度都度触れているのも、いぶし銀的働きを成したと言えるでしょう。

 実を言うと、最初は「ウィルの弟」にしようかとも思っていたんですが、そうすると登場人物が男ばかりになってホモ臭くなるのでやめました。ライムが雌になったのも、それに合わせた結果です。

 余談ですが、ティナとイナでは、ティナの方が圧倒的に美人な設定です。そりゃウィルがシスコンになるわけだ。



イグルク:

 勝手に今作MVPと思っている。彼が居なければ『竜を駆るもの』は成立しなかったでしょう。好みが分かれるタイプでしょうが、私はとてもお気に入りです。

 彼が果たした役割は、落ちこぼれウィルの最初の目標/ウィルを伝承の世界に案内する/詰めの甘いウィルの尻拭い/ウィルの心情に偏りがちな物語に、もう一つの側面を与える/ウィルが真相に辿り着く際に、最後の手助けをするなど、枚挙に暇がありません。おまけに、その殆どが彼の立場でないと遂行が難しいものなので、本当に素晴らしい働きをしてくれたと思っています。

 色々と複雑なものを抱えながら、最期まで何も解決できないという悲劇的運命も最高。……というと作者の趣味で殺したみたいですが、物語をハッピーエンドで締めるためには、彼の死は不可欠でした。

 当初彼は、ウィルを理解し励まし続けるいい奴キャラになる予定だったのですが、既にウィルの身近に理解者ポジションが二人居る(マグタンクとイナ)し、「ウィルにとってライム以上に大切な存在」が登場すると物語が破綻するので、表面的にはウィルと対立する役目に回ってもらいました。しかし、その性格設定のおかげで、イグルクだけはずっとウィルの傍に置くことが可能だったと言えます。

 因みに彼は女嫌いなので、イナと会話したこともない設定です。多分、話しかけられても「……」って感じだったことでしょう。



マグタンク:

 キャラづけが濃すぎて、事あるごとにシナリオをぶち壊してくる問題児。そのクラッシャーっぷりといったら天下―品でした。この人物だけは物語上の機能ではなく、キャラクター像が先に設定されたので、明らかにシナリオから浮き出た存在になりました。

 一章二話でいきなりウィルのいじめ問題を解決したかと思えば、騎士叙任証書を勝手にもらってきてイグルクの不遇を緩和してしまうなど、シリアス展開を次々に破壊していくこの男。それらは全て予め想定されていたものでなく、「この人ならきっとこうするだろうな……」というアドリブで生まれてきたものです。

 ポジティブな機能として特筆すべきは、やはりそのコミカルな言動。設定と主要人物の性格上、どうしても暗くならざるを得ないお話でしたが、彼がたっぷりの愛嬌をふりまくことでそういった陰鬱さが多少なりとも緩和されているかと思います。

 物語の構造上、彼の途中離脱は必然でした。常にウィルたちと行動を共にしでいれば、物語の悲壮感を一掃してしまい、ともすると彼らの抱える問題を一挙解決してしまいそうだからです。パスティナとかいうほぼ名前だけの国が登場するのは、マグタンクを別天地に送り込むため。なんだかんだ、彼も物語の都合に振り回され続けたキャラと言えるかもしれません。 



イナ:

 シリアスな物語で一人だけ色恋モード全開の女。無能というわけでもないが、ヒロインという立場が強調されすぎて、調竜師としての性格が薄い。竜騎士と比べて調竜師が何をしているか不明瞭なのは、大体この女が頭お花畑のせい。

 と散々に書きましたが、私はこのキャラクター結構好きです。献身的でいじらしく、かつ簡単には折れない心の持ち主。中盤こそ空気なものの、ラストパートでは主人公が世界を救う行動(めっちゃ大雑把な言い方)の直接の契機となるところとか、結構ヒロインしてる。

 ティナとイナは性格が対照的で、イナが社交的で誰にでも愛想を振りまく一方、ティナはマイペースで傍から見るとミステリアスなタイプ。もし二人が同じ場所に現れたら、イナは異性に人気が出て、ティナは同性に好かれるんじやないでしょうか。

 二章で一切登場シーンがないのは、ウィルが彼女のことを全く気にかけていないという点を強調するためです。本当はもっと登場機会を増やしたかったのですが、ぐっと堪えました。

 すごくどうでもいいのですが、イナは没にした別作品のヒロイン名です。没になった方のイナは「ぼくっ娘」でした。



ザスティン:

 特に語ることはないですね。本当に自軍の最高司令官としての機能を人物化しただけなので。

 作中ではとりわけ有能でも無能でもなく、凡庸な老軍人として描いたっもりです。そのニュアンスが伝わっていれば言うことなし。



ジエン:

 お母さんです。ウィルとイグルクというとんでもない部下を二人抱えて、最年少小隊長にも関わらず、損な役回りをいくつも押し付けられる。その心労は半端じやなかったでしょう。

 彼も物語の進行の過程で、小隊長という機能を記号化した人物です。なのでキャラづけは薄いですが、ノートルの存在の示唆や、ウィルに良心の呵責を与えるなど、それなりの機能を果たしてくれました。

 全く状況が掴めぬ中で、次々と非常事態に見舞われる彼は、ある意味ウィルたちよりしんどい思いをしたでしょう。もし登場人物たちで完結記念打ち上げがあるとしたら、真っ先に労ってやりたい。



ソドム:

 彼も記号ですね、荒っぽい先輩騎士という。

 ウィルに立ちはだかる試練その2、ウィルと他隊員の仲介役として働いてくれました。ウィルがノートルのところから戻ってくるとき、戦死しているのは誰でもよかったのですが、消去法で彼になりました。南無阿弥陀仏。

 因みにソドムはジエンと同期生で、ノートルとも面識があります。



ゲディ:

 ソドムとギャラが被ってますね~。被りまくりです。そもそも私が「荒っぽい男戦士キャラ」を一パターンしか書けないのが問題。強いて彼らの差異を見出すなら、「ゲディの方がより小物っぽい」点でしょうか。

 その正体はユウェインが送り込んだシルデン側のスパイなので、果たした役割は意外と大きいです。イグルク=スパイというミスリードを誘うなど。

 典型的なイザ人なので、見た目もソドムらに似ている設定です。



ユウェイン:

 この手のラスボスは多いですよね。謎に満ちた、芸術家肌の美人系お兄さん。

 言わずもがなかと思いますが、彼の主たる機能は、空に浮かぶ蒼星(=ウィルやイグルクを苦しめる存在)の擬人化です。メルセルの軍団を率いることで、蒼星の化身に恥じない嫌がらせを二人に施しました。因みにその理屈だとイナも蒼星を嫌いにならないといけないはずなんですが、あの部分は脳死で書いたため矛盾してます。まあイナは現在進行形でメルセルに苦しめられているわけではないし、既にトラウマを乗り越えたとでも解釈しておいて頂けると幸いです。

 実際に登場しなくても話は成立するため、出そうかどうか迷いましたが、例の星をいつまでも蒼い星蒼い星と連呼するのは疲れるので、なんとなく出しちゃいました。案の定特に素晴らしい働きをしたわけでもなかったですが、何もしてない訳じゃないので許してください。

 彼が伝承を厭うのは、「病の婚約者が精霊に槌ったが、結局救われなかった」という体験に依るのですが、本筋と一切関わらない上に面白くもなんともないので、全編カットしました。

 結果、最後まで何考えてるのかよくわからないふわふわ系お兄さんに!この辺は、私か物語の深みよりテンポを優先したということでご容赦ください。



ハイス:

 彼は物語の構想時に、未実装の必要諸機能の集積として作られたキャラクターです。即ち、絶望感を与える強大なラスボス/チートキャラマグタンクを再び退場させる/ウィル・イグルクの関係を比喩するための存在です。この役割が先行したために、彼のキャラづけはかなり大味になってしまいました。お前ラスボスのくせに、ソドムやゲディと言動ほとんど同じやんけ!つて声が聞こえてきそうです。正直もう少しキャラを掘り下げてもよかったのですが、どうせ出番少ないしな……と手を抜きました。ごめんなさい。

 あとこの人、持ち物である大槍も影薄い。色々不遇な方でした。



クヴィス:

 記号です(何人目だよ)。敵側にはハイスやユウェインという個性のあるキャラが配置されていますが、標準的なシルデン軍人も登場させないとリアリティが無さすぎるだろうと思い、設定されました。

 敵味方共に周りが化け物だらけのため目立ちませんが、彼もそれなりに有能な指揮官という設定です。強大なイザ軍相手にシルデンがうまく持ちこたえたのは、彼がしっかり陣頭指揮を執ったからでしょう。

 クヴィスはハイスとも面識があるはずですが、ハイスは彼のことをすっかり忘れています。作中で横の繋がりがほぼ皆無の稀有な人物。



ノートル:              

 他の登場人物だちとは全く違う原理で動いている異質な存在。その登場はかなり遅いですが、構想の初期段階から頭の中にありました。

 彼の主たる役目は、ウィルとの対比。即ち、「ウィルが影で、ノートルが光」です。

 ウィルもノートルも、自分の相棒を守るために訓練所を飛び出しましたが、その後の軌跡は非常に対照的です。ウィルが自分の感情を麻庫させて独り殺戮を続け苦しむ一方、ノートルは信頼できる仲間たちと楽しく自由に生きています。これによってウィルの不遇を浮き彫りにし、二章終盤の陰僻な空気を醸している訳ですね。

 イグルクが平面的な物語にもう一つの側面を与えたとしたら、ノートルは全く同じ形の色違いオブジェクトとして存在し、物語に立体感を与えたと思っています。(めちゃくちゃ大げさな言い方ですが)



メイズ:

 ウィルに、「一般には知られていない伝説の一端」を伝えるためだけに作られた存在。それだけだとなんか寂しいので、適当にノートルといちゃいちゃさせる役目を担わせました。ノートルの仲間の中で唯一名前が出ているキャラクターなので、その特性を活用して隊商内でのごちゃごちゃした会話を比較的わかりやすく整理することができたかなと思います。

 個人的には、与えられた役目を過不足なくこなしてくれた優等生キャラって感じの評価ですね。

私の書きたいことは以上です!!

まだまだ解説しきれていない部分が多いので、もし気になることがあれば感想欄等にて問い合わせて頂ければ幸いです。

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