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体質が変わったので 改め 御崎兄弟のおもひで献立  作者: JUN


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チビッ子編 / 初めてのお留守番(5)ニセモノ?

 テレビをつけよう。晴の好きなテレビを見せておけば、大人しくなるはずだ。

 直はそう思ってテレビを点けたが、時間は昼過ぎで、アニメも暴れん坊の再放送もしていない時間だった。

 大体、チャンネルも知らないし、ビデオも知らない。

「何だこれ」

 3人はテレビに映ったそれに釘付けになった。


 女の人が、部屋でたったひとりで震えていた。

 と、ドアがカチャカチャと音をたて、ビクッと体をすくめる。

『開けてよ。私よ』

「嘘!そんなわけない!」

ピーンポーン、ピーンポーン、ピンポン、ピンピン、ピンポン

「いやああああ!!」

 それがやがて静かになり、恐る恐る女は玄関の方を見た。

 するとそこへ、外から声がする。

『どうしたんだ、真由美。いないのか?』

「その声は啓輔さん!」

 女はパッと立ち上がって玄関に走り、ドアを開けた。

「啓輔さん!」

「やあ、真由美」

 そこにいたのは、長い髪からも白いワンピースからも水を滴らせ、顔は傷だらけで血にまみれた、どう見ても生きていないだろうという女で、暗い穴のような口をにいっと開けて、

「まーゆーみぃ」

と言いながら両手を挙げて迫って来た。


「ぎゃああああ!!」

 怜と直と晴は、叫んで抱き合った。

 たまたま映ったのは、ライバルの女を殺した犯人のところに殺された女が化けて出て復讐するというドラマだった。

「お化けが!お化けがぁ!」

 たまたまそこで、ドアチャイムが鳴った。

 ピーンポーン。

「ぎゃああああ!!来たあ!!」

 3人はしっかりと抱き合って震えた。

『開けてくれない?鍵忘れちゃったのよ』

 すぐに立ち上がろうとした晴を、怜と直が止める。

「待て、晴ちゃん!」

「お母さんのフリをしたお化けだったらどうする」

 晴は青い顔で、座り直した。

『ちょっと、開けてったら。直?晴?怜君?いるんでしょ?』

「どうしよう?」

「兄ちゃん助けて」

「お兄ちゃん」

『ねえ、ちょっと。

 え、何ですか?警察?町田はうちですけど――は?ネグレクトぉ?何の事ですか?』

 電話の相手がネグレクトかもしれないと思い、通報したのだ。

『会えばわかりますよ。留守番を頼んで買い物に出ただけですから。

 だから、ねえ。ちょっと。開けて。なーおー、はーれー、れんくーん』

「偽物!帰れ!」

『え、晴?あ、ちょっとやめてください、お巡りさん、ねえ!』

 誤解が誤解を生んだ末のドタバタは隣の人が出て来るまで続き、直の母は、重い買い物袋を下げて玄関で警官と睨み合い、怜達3人は震えていたのだった。


 


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